登山者情報103号

【1989年07月29〜31日/梶川尾根〜石転ビ沢/井上邦彦調査】

7月29日現在の石転ビ沢

梶川尾根の水場の状況
標高1,600mの水場は、登山道が全て露出しており安全に通行できますが、30日には、ふざけて素足で残雪に上がった登山者が滑落、すんでのところで大事故になるところでした。ここでは30日12時に融雪水が得られましたが、やや汚れていました。標高1,370mの五郎清水では水量・水質ともに問題なく、おいしい水が得られました。

高山植物開花状況
梅花皮小屋周辺:エゾイプキトラノオ・クルマユリ・コゴメグサ・チシマギキョウ・ニッコウキスゲ(盛)・タカネアオヤギソウ・ヒナウスユキソウ・ミヤマウスユキソウ・オヤマノエンドウ(残)・イイデリンドウ(盛)・ハクサンフウロウ・ムカゴトラノオ・タカネツリガネニンジン(始)・イワオウギ・オノエラン・ハクサンシャクナゲ・ヨツバシオガマ・タカネナデシコ・ミヤマコウゾリナ・ミヤマキンポウゲ・ミヤマダイコンソウ・ミヤマアキノキリンソウ・オタカラコウ・モミジカラマツ
その他:シロウマアサツキ(北股〜門内)、チングルマ(扇ノ地紙)、ミヤマキンポウゲ・シナノキンバイ(草付き)

石転ビ沢の状況
石転ビノ出合までは全て夏道です。石転ビノ出合には雪渓が残っていますが、土砂で覆われており、雪渓の亀裂や厚さがわかりにく。なっていますまた門内沢の渡渉点及び梅花皮沢の渡渉点はまだ露出していず使えません。このためこの雪渓の通過にあたっては、ルートファィンディングが極めて難しくなっていますので十分注意して下さい。
ホン石転ビ沢の出合を過ぎ、再度雪渓に上がります。ホン石転ビ沢はまだ雪渓が続いています。ここから先は入らないで下さい。ホン石転ビ沢に入ってすぐの所に、赤レンガの粉で線を引いています。ここから先には入らないで下さい。
ホン石転ビ沢出合付近から上は、傾斜がきつくなると共に、落石の危険地帯となります(もっと下部まで飛んでくることもあります)。初心者の場合、ここから上はアイゼンなしではきついでしょう。
ホン石転ビ沢出合と北股沢出会いの間、左岸(上流から見ると)の昨年大崩壊を起こした地点は、上から見るとまだ大きな岩が数個引っかかっているので注意してください。北股沢もまだ雪渓が続いています。ホン石転ビ沢と同様に赤い線を引いていますので、入らないで下さい。北股沢出合の清水はまだ出ていません。黒滝はまだ亀裂も入っていません。すぐ上の左岸から入ってくる小沢の雪渓は途中で切れました。また草付き(中ノ島)の左岸の沢も途中で切れたので落石の危険性は今までよりも減少してきました。右岸の沢からの落石もかなり減少していますが、まだ多少の落石はあるものと思われます。
草付きの両側の雪渓は、急斜面のうえ薄くなり亀裂が入り始めていますので、できるだけ早く草付に上がって下さい。そのまま雪渓を詰めることは大変に危険です。草付には浮石が多いので、ここからの人為落石もありますので、落石を起こさないように慎重に登ってください。万一、落石を起こしたり見つけたら、大声で「ラクッ!」と叫び下の登山者に教えて下さい。面倒とばかりにアイゼンを履いたまま草付を登ろうとする人もいますが、草付きは地図上の直線距離でも200mあります。アイゼンを履いたままですと、歩きにくいばかりでなく落石を起こしやすいので、安全な所まで登ったら早めに脱いで下さい。草付きを3分の1ほど登ると右岸方向の水場にトラバースする道があります。ここにはまだ落石が直撃する恐れがありますので近づかないで下さい。草付き上部で右岸の小沢を横断します。ここは傾斜が約45度あり、滑落事故が集中しているところです。歩数18歩ですが、慎重に渡ってください。横断にあたっては、この雪渓の手前でアイゼンを履くことになります。上部からの落石があるので、手早く行ってください。
横断を終えると、水の流れている登山道を直登し、天幕の張った跡地にでると梅花皮小屋がすぐ目の前にあります。さらに雪の斜面を登り、僅かの夏道を詰めると小屋の前です。

7月31日現在の石転ビ沢上部

梶川尾根の水場の状況
標高1,600mの水場は、登山道が全て露出しており安全に通行できますが、30日には、ふざけて素足で残雪に上がった登山者が滑落、すんでのところで大事故になるところでした。ここでは30日12時には融雪水が得られましたが、やや汚れていました。標高1,370mの五郎清水では水量・水質ともに問題なく、美味しい水が得られました。
高山植物開花状況
梅花皮小屋周辺:エゾイブキトラノオ・クルマユリ・コゴメグサ・チシマギキョウ・ニッコウキスゲ(盛)・タカネアオヤギソウ・ヒナウスユキソウ・ミヤマウスユキソウ・オヤマノエンドウ(残)・イイデリンドウ(盛)・ハクサンフウロ・ムカゴトラノオ・タカネツリガネニンジン(始)・イワオウギ・オノエラン・ハクサンシャクナゲ・ヨツバシオガマ・タカネナデシコ・ミヤマコウゾリナ・ミヤマキンポウゲ・ミヤマダイコンソウ・ミヤマアキノキリンソウ・オタカラコウ・ミミジカラマツ
その他:シロウマアサツキ(北股岳〜門内岳)・チングルマ(扇ノ地紙)・ミヤマキンポウゲ・シナノキンバイ(草付キ)