登山者情報1053号

【2006年11月05日/丸森尾根〜梅花皮小屋〜梶川尾根/井上邦彦調査】

 毎年4月に梅花皮小屋管理棟を始めて開ける時に、床から氷が盛り上がってドアを押し込めない。仕方なく石でドアの下部を叩き少しの空間を作ってはピッケルで氷を砕き指で掻き取る行為を繰り返してきた。このため鉄ドアの下部を傷つけている。何とかできないかと考えてきたが、試みに風呂用マット2枚を床に敷いてみることとした。
 石転ビ沢を登るつもりでスパイク地下足袋を新調した(現在の地下足袋はスパイクが磨り減ってなくなっている)。しかしこの時期の雪渓は状況によっては極端に危険になる。尾根にすべきか沢にするか、迷ったままで寝た。
 夜半に眼が覚めてしまった。これで時間に余裕ができたので丸森尾根を登ることと決定、登山用具を引き出し、パソコンのメールで山岳会員宛に登山計画書を送付した。
 暗闇の中を走っていると、何匹かの兎が道を横断する、まだ灰色である。天狗平でヘッドライトを点けて登る準備をするが、寒い。
 04:02天狗平から登り始める。相変わらずいきなりの急登である。04:26服を脱いで冬用下着で登る。見上げると星空が広がっている。ライトに葉のないマルバマンサクの鋸状の枝先が浮かぶ。
 04:36-45心臓の鼓動が胸を圧迫し、息が苦しい。このように異常な感じの時は無理をしないことが必要だ。コンビニで買ってきたお握りを2個食べて一息入れ、カッターシャツを着ても汗をかかない程度に登るペースを落とす。
 04:54、765m峰を通過する。下る時は特に感じないが、今日は何箇所かある急坂を意識せざろう得ない。05:03-14ライトが消えた。今までは徐々に暗くなっていたのだが、急に電圧が落ちたようだ。最近乾電池はアルカリでなくオキシライドを使用していることが原因なのかもしれない。無線機の乾電池をライトに、カメラの乾電池を無線機に、カメラには新しい乾電池を入れた。それぞれ必要な電圧が異なるので、少し工夫してみた。
 05:30ライトを消す。05:44夫婦清水を通過する。刻々と明るくなり、鍋倉山方面から赤くなってきた。06:20森林限界の崩壊地を通過する、日の出である。
 06:46-7:00丸森峰で食事を取るが寒い。これから暫くは体が慣れていないので寒さが身にしみるだろう。歩き始めて太陽があたるとほんのり暖かくなる。
 07:33-39地神北峰、07:51地神山を通過する。空腹が顕著になってきたので08:04-10食事とする。
 08:18扇ノ地紙、直前に人影が見えた。彼は梶川尾根を下っていく。08:38門内小屋でパーティと会い、ギルダ原でMDEとスライドする。
 09:30北股岳山頂、見下ろす山域にはネマガリダケの分布がはっきりと分かる。ネマガリダケの分布はそのまま雪や風、斜度などその場所の生態に重要な情報が詰まっている。石転ビ沢を見下ろすと、思ったより多い。特に門内沢に雪が見えたのには驚いた。
 09:46梅花皮小屋に到着する。ラーメンを食べ、管理棟の入口に風呂用マットを敷き、11:01梅花皮小屋を後にする。
天候はさらに良くなってきた。11:26北股岳、12:10-12門内小屋、12:29扇ノ地紙を通過する。登山道整備作業箇所の点検をし、部分的に落ち葉を除去し、12:57-13:02梶川峰で食事とする。13:26五郎清水を通過、13:45滝見場では逆光で雪渓がよく見えなかった。14:13-22湯沢峰を通過、14:35-50休憩、この辺りから下は紅葉だが、温身平のブナも裸になっているものが見受けられた。15:21天狗平到着。

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