登山者情報1062号

【2007年01月21日/町境:餓鬼山/井上邦彦調査】

 前夜は布団の中で殆ど眠れないままで過ごした。ぼうとした頭で装備を整える。08:00集合場所のコンビにでは既にECBが待っていた。霧の中、車を走らせると前方にぽっかりと餓鬼山が見えた。
 09:06北部小中学校に車を置き、県道を僅かに戻って雪に上がる。私はスキー、ECBはスノーシューを履いて、林道を太鼓沢の奥に向かう。雪が少なく放射冷却現象で凍みており、快適に進む。テン・キツネ・ウサギ・リスの足跡が路上に散乱している。左上杉林の中にヤマドリが走っている姿を瞬間だけ見ることができた。
 10:02-12沢が3つに分かれる所で、スキーとスノーシューをデポしてワカンジキに履き替えた。杉林の急登に取り掛かる。体調不良の私に代わりECBが先頭を勤める。表面がクラストしている雪にてこずりながら何とか登り終えると、二次林の平坦な尾根になる。
 11:06-16食事を取る。餓鬼山々頂が見えた。予想通りに北東面は荒々しく、雪崩跡がさらに厳しさを演出していた。県境ラインは裏側に期待する以外になさそうだ。南には飯豊連峰が遠望できた。
 12:37-45食事を取る。クロベが出てきて痩せ尾根となる県境が近くなると再び急登になる。慎重に登っていくが、とうとうECBがギブアップ、足場を固めてハーネスを着けロープを出す。
 実践でロープを使うのは始めてというECBにビレイを任せ、先ず私が登る。県境直前でいきなり「ロープなし!」の声、仕方なく右斜面の潅木を支点にして確保体制に入る。ECBに注意すると、「ロープなし!」と言ったのではなく、「ロープなな!」つまり残り7mとのこと。何時もの事ながら声が通りにくい。やはりMDEのように無線を使用するのがベストなのかもしれない。
 13:30県境に出ると暫くは問題ないが、練習のためECBにトップをして貰う。山頂を見上げると県境は新潟県側もすっぱりと切れ込んでいる。高度間の出る正面の急登以外にルートはなさそうである。
 確保を頼み、雪を掘って潅木の枝を出して支店を取る。ビレイ点まではロープ不足と感じ数m戻って潅木にセルフを取る。カンジキをここにデポする。所々で潅木からの支点の取り方をECBに指導する。何回か繰り返しているうちにECBも要領が分かってきたようだ。
 岩場はECBがトップを勤め、二つの岩を左から巻く。最後は私が斜面を登ると、ひょいと見覚えのある山頂に飛び出した。
 14:50-15:05餓鬼山々頂の展望は相変わらず朝日連峰主稜や三面の山々はもとより、飯豊連峰・栂峰・吾妻連峰が望めた。時間がかなり押しているので、お互いに記念写真を撮り、早々に下山を開始する。
 下降も確保を行い、15:30-40分岐でロープをザックに仕舞う。藪の尾根を下ると、15:54ブナ林となった。16:16一面ブナに覆われた583m峰に到着する。ルートを思案したが、雪が少なく雪崩の心配が殆どないことから沢身を下ることにした。
 14:42最低鞍部から沢に下る。沢筋には雪がなく、また滝もないのでそのまま下る。杉林となり、なおも沢を下ると、17:05右岸に林道と思しきものが出てきた。17:35ヘッドランプを点ける。ECBはヘッドランプを車に忘れてきたという。
 17:53ようやくスキーデポ地に到着、スキーを履くとこれまでの苦労が嘘のようだ。スノーシューの速度に併せて、18:23北部小中学校に到着。

今回のコース
沢が3つに分かれる所でカンジキを履く 雑木になる GPSで位置を確認するECB
徳網山方面 平坦な尾根を辿る 熊穴のあるナラ
熊の出入口 昔の狩人が開けた覗き穴
覗き穴から中を見る 尾根が痩せていく 黙々と登る
徳網山周辺 徳網山
西朝日岳方面 餓鬼山々頂
次第に朝日連峰が姿を現す 松尾根を登る 急になってきた
餓鬼山々頂とECB 傾斜が増してくる 県境(町境)に出て山頂を見上げる
ロープを伸ばす 両側は切れている 山頂直下
餓鬼山々頂に立つ 筆者 朝日連峰
登ってきた尾根 町境を下る
徳網山・祝瓶山方面 ずんずん高度を下げる まだ積雪量が少ない
ブナ林まで下る 583m峰はブナに覆われている 餓鬼山を振り返る
ブナ林を辿る 沢を下る 雪が少なく沢が露出していた