登山者情報1072号

【2007年04月14日/倉手山救助訓練/井上邦彦調査】

 小国山岳会総会前の山行は恒例になっているが、今回は担当者の企画で救助隊飯豊班との合同訓練となった。あいにくと担当者は全員が都合により欠席、山岳会からはHZU・LFD・NIY・ECB・前田・山本の6名、飯豊班からは真人・隆蔵・孝蔵・義人の4名、他に荒木・井上の2名、総計12名が参加した。
 私達は乗り合わせ(アルコール対策)で梅花皮荘に向かった。08:22梅花皮荘に全員集合する。ひどい悪天の場合は関川ドームでの訓練も考えていたが、時折青空も見えたので、予定通り倉手山に向かうこととした。
 梅花皮荘裏の吊橋を渡ってまだ除雪の始まらない車道を進む。1週間前と比べると、融雪が進んでいる。道脇にはキブシが咲いていた。08:39-50取り付きでカッパを脱ぐ。
 夏道を登って行くと、イワウチワとマンサクが沢山咲いていた。程なくアラレが降ってきた。風も出てくる。09:10展望台までは殆ど夏道が露出していた。ここで遅れたメンバーを待つが風雨が激しくなってきたので、カッパを着ても休んでいると寒い。
 展望台から上は雪道となるが、部分的に夏道が出ていた。登るにつれて風が強くなる、このまま頂上に行っても訓練ができないと判断し、分岐下の左斜面を設定した。
 09:50訓練を開始する。始めはアバランチビーコンの使用方法である。自分達が使わなくても、遭難者が持参している場合、救助隊が対応できないでは捜索ができない。また雪崩危険地帯では使用して捜索にあたることになる。ビーコンは理屈ではなく慣れが必要である、何度も繰り返す。なかなか探せないというので確認してみると、電池が弱っていた。私も経験があるが、電池が弱くなると発信をしても受信能力が極端に落ちるのだ。ここで午後出勤という前田が一人下山する。
 身体が冷え切った所で、先輩隊員達が準備してくれた休憩場で熱々の鍋に舌鼓を打つ。寒いので鍋に日本酒を注いだ食器を入れて燗酒にする。ビールは飲む気がしないので、これも鍋に入れて「燗ビール」にして飲む。なかなかおつな味である。これは沸騰させないことがコツである。
 12:31搬送を開始する。カッパ搬送法としECBが負傷者役、最初に井上が担いだが、いきなり休憩場からハング気味の雪庇登り。上から9mm×20mロープで引っ張る。脇からサポートして、何とか雪庇の上に出る。何時しか雨は止み大境山と枯松山が見えた。
 背負い手を交替しながら下る。確保は適当な立ち木があれば、ロープを直接巻きつけ、曲がっていればスリングでグリップビレイを行った。当地ではこれが最も効率的な方法である。
 今回の訓練は、「そこにあるものを使用する、状況に応じて最も効率的な方法を採用する」ことを中心にした。天候は再び悪くなったが、全員が慣れてきた。先輩方も復習のため背負う。
 今年も昨年同様に出動のないことを願いながら、今回の訓練を無事終了した。

梅花皮荘前に集合 車道の融雪は驚くほど進んでいた ブナの花が咲き始めていた
今年始めてイワウチワの花を見る 展望台から倉手山を仰ぐ アラレと雨が降ってきた
雪が表土を引き剥がす 風雨が激しくなってきた これ以上登ると訓練ができない
休憩地を作る こちらはビーコンの訓練 雪に埋めたビーコンを探す
LFD特製鍋で冷えた体を温める 熱ッ熱ッ うめえな、これ
お燗ビール どうだ旨えだろう 幸せ〜
今日はカッパ搬送法 先ずはこの斜面を登る よっこいしょ
なかなか上がらない 上からも引っ張る 力まかせで
もう少しだ 最後の踏ん張り ちょっと休ませてくれ
問答無用、さっさと登れ 後ろには枯松山と大境山が見えた 猿回し
飯豊班、新鋭の本間さん 後ろは分岐峰 疲れた〜
搬送者を交替する 山本さんが担ぐ NIY
作業分担ができてきた 飯豊班真人さん よっこいしょ
先輩からアドバイスを受ける 飯豊班隆蔵さん 身体で覚える
荒木さんが確保する 展望台まで下ってきた 若い人も慣れてきた
井上さんも様になってきた 先に下って確保の準備 ルートや足場を指示する
よ〜し交替 再び本間君 背負われるの楽じゃない〜
確保よし! また雨が酷くなってきた 足元に注意!
慎重に 確保準備して待つ 熊狩りのナメ棒を支えに
先輩の搬送は参考になる ずぶ濡れの訓練 実践さながらの訓練でした