登山者情報1091号

【2007年06月29日/山形県高等学校登山指導者講習会/井上邦彦調査】

 山形県教育委員会では、今年も「山形県高等学校登山指導者講習会」を実施、3年続けて講師を仰せつかった。
 今回の会場は鶴岡市、初日は私の講義、2日目は母狩山で実技、最終日は伊藤吉樹氏の講義である。今回は実技の様子を報告する。
 低気圧が接近し、大雨洪水雷注意報が出ている。これも教材の一つである。食堂で朝食を食べながら寒冷前線の仕組みや雷の仕組みを説明する。
 最初からカッパを着て車に乗り込む。人家から先は狭い林道を進む。両側からオオイタドリが道を覆っている。砂防ダムには数台分の駐車スペースがあった。ここから沢沿いに進む。この沢には何基もの砂防ダムがあったが、コンクリート剥き出しのダムはここだけで、他は石を組んだもので苔に覆われ、一見すると自然の滝に思えた。
 08:34最初に砂防ダムの左端(駐車場は右岸にある)を登ると、林道に出た。すぐに電柱を数本並べた橋で左岸に移る。08:42本流に朽ちた丸太が1本あったが、その脇を飛び石伝いに越えて、右岸を進む。杉林の林床はアカミズとアオミズに覆われていた。
 08:56左岸に「坂向」と書かれた標識があり、ここから沢を渡るのかと思ったらそのまま沢身を登った。沢身の草は増水跡らしく倒されていた。このまま雨が強くなった場合はどうするか、頭の中で計算が始まる。
 08:58-07右岸の登り口に取り付いた所でメンバーを集合させる。ここからは急登とのことである。
 09:16-26ブナ林の中で休憩をとった時にGPSを確認するとログが取れていない。眼鏡をだしてあれこれ操作する。結果、今回はここから上部だけのログとなった(下山時にもログを取っているが、電池切れ)。
 読図の指導を頻繁に行う。しかしどうも磁石は真上ではなくやや斜上をさしている。おかしいなと思っていると、道はジグザグとトラバースを繰り返して右に斜上した。
 09:40-46高見台に到着する。雨に打たれながら、しつこく読図を復習する。ここからしばらくは平坦な尾根が続いたが、間もなく急な登りになり、10:08分岐点に到着した。右に行く道は金峯山方面とのことである。ここでは赤布を付ける場所について説明した。
 10:16母狩山々頂に到着する。凄まじい雨で休憩するところではない。写真も撮らずに下山を開始した。
 先ほどの分岐点から若干下ったところで、灌木から支点を取る方法を説明する。また立木から直接確保を取る方法や、シュリンゲを使用したグリップビレイを説明する。
 次は私のザックを空にして、材料のみ提供し、受講者のみでガムテープ搬送システムを作成し、人間を背負ったまま、20mロープで確保しながら下山してもらうこととした。
 作り方は、昨日に1度教えただけである。後は受講者の創意工夫に任せ、危険な場合のみ指導することとした。
 雨の中、搬送が始まる。勿論人間を背負って山道を歩くのは殆どの受講生が初めての体験である。特にロープ操作には四苦八苦している。
 何とか高見台まで下った所でストップし、今度は灌木から支点を取って「のの字結び」で負傷者と搬送者を下らせる訓練。始めに私がセットし、全てを解体して、受講者で行ってもらう。
 次は動滑車で吊り上げる訓練、同じく手本を見せ、仕組みを説明して、受講者に任せる。受講生は緊張しながら無事に吊り下げ・吊り上げを完成した。
 その後は、小降りになった雨の中、14:09車に戻った。

今回のログ、右端砂防ダムから沢沿いの部分が欠落している

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