【2007年08月25日/石転ビ沢〜梶川尾根/井上邦彦調査】
9月23日に予定している天狗ノ庭植生復元実証試験で使用する緑化ネットの荷上げ山行を計画した。緑化ネットは1枚1.22m×30m、18kgである。前回の経験からザックには1枚しか入らないので、背負子を使うことにした。またそっくり入るビニール袋が入手できないので、雨の降らない日を選んだ。しかし予定していた25日は葬儀出席になったので、翌日に変更した。今回運ぶ量は1.5枚、私物を極力少なくしたので30kg程度になったと思う。
何故か目覚まし時計が鳴る前に起床してしまった。何時ものようにコンビニでお握りを買い込む。
天狗平で荷造りをする。暫く担いでいない重さなので、起き上がるのがひと苦労である。03:50ヘッドランプを頼りに歩き出す。ランプがないと道は何も見えない。04:08温身十字路、04:18砂防ダムを過ぎてもまだ暗くてランプを消せない。04:34薄明るくなってきたが荷物が重いうえに地下足袋なので足下をしっかり確認しないと捻挫をするかも知れない。無理をせずランプを点けて歩く。04:41ようやく足下が薄明るくなってきたのでライトを消す。空は曇りだ。
04:47-51うまい水で水を一口飲み、無線を開局する。小高い所に荷物を降ろす。結構疲れる。背中からは麻油の臭いがする。
05:27梶川を通過する。日帰りでダイグラ尾根を下山するという登山者が追い付いてきた。山の話をしながら一緒に歩く。
05:52石転ビノ出合着、ここから左岸沿いに進み、05:57門内沢は足を濡らさず渡ることができた。雪は全くない。右岸沿いに進んで石転ビ沢も問題なく飛び石伝いに渡る。
06:03-16川原で食事を取る。半袖半ズボン姿であるが、休んでいると寒く震えが来る。先ほどの方は先に登って行った。
背丈に近いタデのトンネルを?き分けて足場を確認しながら、06:22川原に出る。ここから暫く川原を歩くが石が草に覆われているので、足をくじかないよう慎重に歩く。
06:33左岸枝沢の所から雪の上に乗るが、ここは例年雪の壁になっているのに壁がない。雪の薄さを痛感する。この分では雪渓は何時崩壊するか、十分な注意が必要である。左岸寄りの雪渓はズタズタに割れている。
観察すると雪渓の中心部に丸く亀裂が入り陥没が始まっている。これが落ちると支えを失った雪塊が爆風に襲われ、周辺の雪渓も次々と崩壊を始めることになる。
右岸の壁をゆっくりとへつって巻き、亀裂のない雪渓に乗り、斜めに雪渓を横断する。途中の亀裂はなんなく越えて左岸寄りに登る。どうも右岸寄りは陥没が始まりそうな気配である。左岸枝沢による薄さに注意して、ガレ場に降り立ち、06:51ホン石転ビ沢対岸の枝沢を通過する。
そのままへつった後、暫く雪の上を歩くが、雪渓に丸く亀裂が入っているので、07:05左岸を巻く。左岸から出ている土石流は2m程の高さになっている。土石流の真ん中にも亀裂が何本か認められた。07:20土石流の最上部で雪渓の上に出、横断して右岸寄りを登る。ここまで来れば安心である。
降りてきた3人の登山者がトラバースをして北股沢に向かっている。大声を出して「そちらは通れない」旨を伝える。
07:35-53北股沢出合の清水で食事を取っていると、一緒に登ってきた登山者が追い付いてきた。彼が3人の登山者に話しかけたところ、ピッケル・アイゼンなしで下山ルートに迷っているとのことである。
荷物を置いたまま彼らの所に行き、話を聞く。昨日は梶川尾根を登り門内小屋に泊まり、今日は石転ビ沢を下山するという。一見するに山屋の雰囲気はない。自分を名乗り、雪渓の状態が悪いので、梅花皮小屋まで登り返して尾根コースを下るよう勧めると、承諾してくれた。
清水から踏み跡を辿って黒滝に上がり、さらに小沢を渡って小尾根に取りつく。08:12三角岩でトラバースをして中ノ島(草付キ)に上がる。
08:15水場を通過、08:34草付ノ台地に着くと梅花皮小屋が見えた。08:42-09:46梅花皮小屋に到着するとOTJが迎えてくれた。
私とほぼ同時に、昨日ダイグラ尾根を登り、今日は御西小屋から来たKEBが到着。管理棟でOTJの料理を御馳走になりながら食事を取る。
梅花皮小屋からは同じコースなので、KEBと一緒に下山することとした。昨日石転ビ沢を登って梅花皮小屋に泊まったAQLは丸森尾根を下っているとのことである。
小屋から歩き始めると、足下にはタカネマツムシソウ(終)・ハクサントリカブト・ミヤマアキノキリンソウ・ハクサンフウロ・イワインチン・ウメバチソウ(盛)・コゴメグサ(盛)・ミヤマセンキュウ・ヤマハハコ・タカネナデシコ・ヤマトウバナ・ミヤマコウゾリナ・ムカゴトラノオ・ミヤマキンポウゲが咲いている。
10:09北股岳山頂を通過する。山は霞んでおり遠くはよく見えない。オヤマリンドウ・ウメバチソウ・ハクサントリカブト・ミヤマアキノキリンソウ・コゴメグサ・タカネツリガネニンジン(終)・タカネマツムシソウ(終)・イイデリンドウ・シラネニンジンを楽しみながら歩く。
10:52門内小屋でトイレを確認する。先ず便器は中の先に突出板がある。これは小便が便槽に入らないよう分離する装置である。また脇には自転車があり、使用後はこれで便層内部のオガクズを攪拌する装置である。
内側のドアノブはガムテープで覆われ、鍵を掛けることができないようにしている。さらに外のドアノブには「使用中は内鍵を掛けないで下さい。ドアが閉まる場合があるので、この木札を裏返して使用中にしてください」と書かれた木札が下がっていた。これは中に入って内鍵を掛けると解錠できなくなって閉じ込められるケースが昨年から何件か発生しているためである。欠陥以外の何物でもない。
男性用のトイレに入ると、右手に小便専用の便器が設置されているが、詰まっているのだろう黄色い液体が溢れていた。また大便用の便器も汚れていた(女性用は比較的綺麗であった)。
小屋から直接山形県側に下り、左に折れて門内池跡(現在はテント場になっている)に行くと、正面に「←稜線」「門内清水→」と書かれた二つの看板があった。ここで右に折れ刈り払われている道を進んで山形県側に下ると、「水場」と書かれた矢形の標識があり、すぐ先に水場があった。水はポリタンクのホースから順調に出ていた。私はここで水を汲む。11:04稜線の登山道に戻ると「←門内清水」の標識があった。
11:18胎内山通過を通過する。ニッコウキスゲ・コバイケイソウ・アオノツガザクラ・チングルマ・ハクサンボウフウが出てきて、11:23扇ノ地紙を通過する。
昨年の実証実験跡を通り、11:48ケルンにはタカネマツムシソウ(終)・コゴメグサが咲いていた。11:56梶川峰で休もうかと思ったが風があるので、12:06-40トットバノ頭(カッチ)まで下り食事とする。KEBがラーメンを煮てくれた。
12:57五郎清水通過、13:18-22滝見場で石転ビ沢の雪渓を観察する。13:52-02湯沢峰で休息し、14:36楢ノ木曲リ、14:56一枚岩、15:07天狗平に到着するとナガイさんが冷たい缶コーヒーで迎えてくれた。ありがとうございます。
石転ビノ出合にて | 石転ビ沢 |
門内沢徒渉点 | 門内沢から見た石転ビ沢 |
石転ビ沢徒渉点 | 左(右岸)に道がある |
川原に出る | 雪渓に上がると左岸寄りが崩壊している |
亀裂に沿って窪んでいる | 窪みの周囲に亀裂 |
右岸に丸い亀裂 | ホン石転ビ沢 |
枝沢に上がった | ホン石転ビ沢出合から土石流を仰ぐ |
ガレ場をへつる | へつりの途中 |
一緒になった登山者 | 土石流を上から見る |
黒滝まで左岸に踏み跡がある | 黒滝から左岸の踏み跡を登る3人 |
中ノ島(草付キ) | 中ノ島(草付キ)から小尾根(左)を見る |
北股沢出合を見下ろす | 梅花皮小屋 |
梅花皮小屋とKEB | 山腹が崩壊している |
雪渓を見下ろす | 石転ビ沢 |
御西岳方面は霞んでいる | 北股岳を目指す |
ミヤマコウゾリナ | ミヤマリンドウ |
ヤマハハコ | 雪渓 |
北股岳より北の主稜を望む | トリカブトと二ツ峰 |
道は丁寧に刈ってある | 北股岳を振り返る |
トモエシオガマ | ギルダ原にて |
門内小屋と水場道 | トイレの木札 |
便器内に突起がある | 使ったら自転車を漕ぐ |
ガムテープに覆われたドアノブ | 小屋から清水に向かう |
池跡から右へ | 手前の小さな崩壊地が清水 |
標識に従って行く | これが門内清水 |
オヤマリンドウ | オヤマリンドウ |
縦走路の清水標識 | 清水は左手前に進む |
実証試験の排水路 | 麻袋を敷いてみたが・・・ |
下の排水路 | 試験場の全景 |
イワショウブ | 荒れた山道 |
雪渓の様子 | 滝見場から石転ビ沢を望む |
崩壊地を下る | |
急な登山道 | ミヤマママコナ |
ミヤマママコナ | ホツツジ |
急な尾根 | 飯豊山壮が見えた |