登山者情報1123号

【2007年10月19-20日/石転ビ沢〜梶川尾根/井上邦彦調査】

 今回は知人の紹介で、FさんIさんと1泊で飯豊に登ることとなった。17日夜に会食をしながら山行の打ち合わせを行う。Fさんは私と同じ年齢、既に100名山を歩いておられ、我流と言いながら丹沢で沢登りをしているとのこと。一方、Iさんはずっと若くバスケで鍛えた逞しい身体だが、山は初めてとのことである。ECBから14日に俯瞰した石転ビ沢の状況を入手していたので、天候が良ければ石転ビ沢〜丸森(梶川)尾根、悪天ならば梶川尾根〜丸森尾根、宿泊先は梅花皮小屋ときめた。
 18日夜は、梅花皮荘で山岳救助隊飯豊班の訓練兼反省会があった。たまたま同宿していたお二人も途中から参加して、山談義に花を咲かせたようである。私は帰宅し、19日朝山道具を車に入れて出発、約束通り05:15梅花皮荘駐車場で合流した。
 05:45天狗平を出発する。ブナ林を歩いて、06:12砂防ダムから山道に入る。06:32-56うまい水で始めての休憩を取る。水位がかなり下がっている。07:11近大慰霊碑を通過する。さすがにFさんは山慣れしているが、Iさんは太腿に違和感を感じて遅れ気味、ペースをダウンする。Fさんが飛んでいるスズメバチを見つけたので、大慌てで逃げる。
 07:41梶川出合を通過する。水量が少ないので旧道を行けそうにも思えたが、足を濡らすのが嫌なので何時ものように高巻き道を登った。春に購入した軽登山靴を始めて履いて登ることにしたので、ゆっくりでちょうど良いかもしれない。
 08:27石転ビノ出合で先日行方不明になった方のビバーク地を探す。どうも想像以上に上流で、右岸の水場の河床のようだ。08:34水量の少ない門内沢を難なく徒渉し、石転ビ沢も過ぎ、08:40-48休憩を取り食事とする。
 09:12-52休憩、この辺りの記録はややあいまいのようだ。いよいよ雪渓が出てくる。始めの雪渓片は問題なく河床を通るが、次の雪渓は右岸寄りに崩壊した雪渓が積み重なっている。左岸寄りに残っている雪渓の上を巻くが、足場が悪く慣れないIさんは苦戦しているようだ。途中で1回、雪渓の崩壊音があった。
 10:04-21巻き終えた所(ホン石転ビ沢出合)で河床に降りて休憩とする。10:32AQLが言っている軍艦雪を通過する。そのまま河床を詰めると黒い滝が立塞がる。ここは左岸から巻くが、足場の不安定な急傾斜である。尋ねられて「この滝の名前は聞いたことがない」と答えたら、Fさんが「秋にしか見ることができない滝ということで、秋見(アキミ)の滝はどうだろう」と提案。それも悪くないかもしれない。
 11:29北股沢を渡り、そのままガレ場を登り、11:41-54北股沢出合の清水で食事を取る。この先は踏み跡が出てくる。ルート案内の黄旗を回収しながら登る。黒滝の左岸を進み、小沢を渡って夏道を直登し、三角岩で小沢を渡った、12:25-38中ノ島(草付キ)で休憩とする。さらに小沢を横切った所で休憩し、草付の台地に上がって梅花皮小屋を見上げる。
 あとは最後の力を振り絞って、13:25梅花皮小屋に到着した。管理棟にある温度計には「現在+1℃、最高+4℃、最低-4℃」を示していた。まだ元気の残っているFさんは一人で梅花皮岳まで往復、その間に水を汲んで夕食の準備をしていると、小雨と共にFさんが帰ってきた。
 翌日の天候はあきらめて、07:53ゆっくりと梅花皮小屋を出発した。風は多少あるが雨はさほどではない。08:17北股岳山頂を通過する。視界は50m程度、09:14-40門内小屋でカッパを脱ぎ、パンを食べる。
 10:03扇ノ地紙を通過すると風・雨ともおさまり始める。黄葉の草原を進み、10:42梶川峰を通過する。ここからは急な下りが始まる。昨日に続いてIさんは膝の不調により苦闘が再開。11:07-10三本樺で一休みする。ODDに無線を入れ、下山時刻が大幅に遅れるかもしれない旨を連絡する。
 11:47-12:00五郎清水で一息入れ、12:47-52滝見場。石転ビ沢は雪渓片が微かに望めた。13:51-14:06湯沢峰、15:29楢ノ木曲とIさんは脂汗を流して頑張りぬき、16:50全員無事に天狗平に降り立った。

今回のコース
婆捲レ(ばばまくれ) 北股岳が見えた
梶川出合の高巻き道 ロープを頼りに急斜面を下る
石転ビノ出合に到着 石転ビ沢
雪渓が断片的に残っている ここに遭難者がビバーク?
ビバーク箇所のアップ 門内沢を渡る
石転ビ沢を渡る ここで休憩
夏道を終えて川原を歩く 草が生えて足下が見えにくい
大岩の間を登る 次第に河床が荒れてくる
踏み跡などはない 息が切れる
雪渓を左岸から巻く 足場が良くない
踏み外したら雪渓の下に転落する 慎重に
この足場は崩れないかな? 手に触れる石も浮いている
足下を見ると恐怖心が・・・ 足下から石が崩れていく
ルートを間違えると動きが取れなくなる 一息入れる
もうひと頑張りだ 登山道とは全く違う
今度は河床に下る 足下に気をつけて
河床は雪渓が崩壊して通れない ホン石転ビ沢出合で食事を取る
ここからは河床を詰める 見上げると左岸壁は紅葉の盛り
沢を渡る 石の間に足を挟まれたら大変だ
船のような雪渓片 脇から見るとこんな形
いや〜思ったよりキツイ 紅葉に励まされる
秋見滝(仮称です) 秋見滝を左岸から巻く
足場が崩れたら一巻の終わり
北股沢出合 北股沢を渡る
ふ〜 まだガレ場登りが続く
北股沢出合の清水で休憩 ここからは踏み跡がある
黒滝を通過する 石転ビ沢を振り返る
ここから中ノ島(草付キ)に移る 北股岳の羊岩
中ノ島(草付キ)を過ぎて一休み
最後の登りだ 笑顔がのぞく
梅花皮小屋直下の登り 北股岳
水場から見た梅花皮小屋と北股岳 大日岳に雲がかかってきた
熊汁で疲れが吹き飛ぶ 2日目、梅花皮小屋を出発
管理棟前で記念撮影 FさんとHZU
Iさんと 北股岳の登り
北股岳山頂 おっと、風でバランスを崩す
昨日と打って変った風雨の中を歩く
門内小屋にて休憩
再び風の中 イクラのようなナナカマドの実
扇ノ地紙 風が収まってきた
実証試験地
石組は問題ない
草原の中を進む 登山道の新しい崩壊
ダブルストックで下る 梶川峰
熊の糞 足の長さで下る
三本樺 ナナカマド
足を広げて慎重に
急斜面が続く
カエデ サラサドウダン
滝見場から石転ビ沢を覗く 足場をよく見て
湯沢峰から滝見場を見る 無事に登山口に到着しました