登山者情報 第1135号

【2008年02月20日/日中鉢伏山(熱塩加納)/吉田岳

  「トラウト君、山スキーにチャレンジ第2弾」は、またもや雪降りだった。今回選んだのは、熱塩加納町日中にある鉢伏山(1576m)。ここは例年もう少し遅い時期に飯森川の周遊コース(登山者情報第888号)で行っているところであるが、この鉢伏山ピストン山行は初めてとなる。このコースは、難しい登山技術が要らない、悪天候の影響を受けにくい、林間がある程度広く、快適なツリーランが楽しめる、ということで選んでみたのだが・・・・。
 大峠を越えてすぐの待避所に車を止める。ここが登山口となる。8時45分、シールを付けて出発。トラウト君も2回目ということでだいぶ要領が良くなってきた。最初の急斜面を抜け、綺麗なブナ林が続く斜面をひたすら登っていく。ここは本当にただひたすら登っていくという、体力勝負の山である。
 1時間ほど歩くとますます斜度は急になっていった。ここはさっさとかんじきに履き替えた方が早いと判断。私がかんじきを履き、トラウト君にはスノーシューを履いてもらう。雪が深いと思ってスノーシューを持ってきたのだが、スノーシューを使うには少し斜度がきつすぎたようだ。そのため、急な斜面は私がトップを切り、緩やかになるとトラウト君にトップをお願いする。といってもほとんどが急な斜面のため、私がトップの距離が圧倒的に長かったのだが・・・・。「スノーシューとかんじきどっちが良いのですか?」という質問をよく受けるが、どちらが優れているという問題ではない。かんじきにも種類があり、スキーや坪足も含め、その場所や雪質に応じて使い分けることが大切だと思う。
 雪は相変わらず降り続く。ブナと雪とのモノトーンの風景がなんとも神秘的である。しかし急斜面の膝上ラッセルは、さすがに堪える。トラウト君も、この深雪急斜面を滑れるのかどうか不安げである。12時15分、斜度が緩んできた所でランチタイム(1340m)。ここから尾根道となる。
 いよいよ山頂が近づいてきた。スキーを履き、再び登り始める。しかし程なく、崩壊しそうな雪庇が張り出す痩せ尾根が待ち受けていた。登りはいいとしても、下りでこのややクラストした狭い尾根道をトラウト君が滑ってこられるか不安である。聞いてみると「いやー、厳しいっすねー」との返事。この悪天候で雪庇を踏み抜かれたら、面倒なことになる。第2弾ということで、またしても山頂直下(1400m)であっさり断念ということにした。
 シールのまま少し下ったところで、滑降の準備にかかった。ここでトラウト君はプラブーツからゲレンデブーツにチェンジ。13時30分、いよいよ大滑降開始。相手の手ごわさに武者震いを感じた。いきなり急斜面の核心部である。あまりの気持ち良さについつい奇声が出てきた。トラウト君は最初はもがいていたもの、だんだんと調子を上げてきた。「雪質や斜面が突然変わること」と、「ブナの木に体当たり」には注意するようにと声をかけた。
 駐車場まで大分近づいてきたところで小休止。終わってしまうのが非常にもったいない感じである。「あとは怪我をしても引きずって下ろせるから」と声をかけ、先に駐車場へと滑り降りていった。
 14時30分、無事下山。トラウト君は、「第2弾でいきなり難易度が上がっちゃいましたねー。今度は立木の無い大斜面がいいっすねー」との感想。確かに第2弾としてはちょっとレベルが高かったようである。それでも1時間でちゃんと滑ってこられたのだから、大したものである。またしても抱いてしまった悔しさをバネに、次回への闘志を早くも燃やし始めているトラウト君であった。
どんどん急になっていきます
ここ滑って下るんスか?
今日はここまでにしましょう
まーしょうがないな
雪庇踏み抜かないでね
なんか凄いっスよ
スライディング、セーフ!
ぶつかる前に転びます
ちょっと微妙です