登山者情報 第1148号

【2008年05月04-05日/古寺〜大朝日岳/平田健治調査】

 09:40古寺鉱泉朝陽館前の橋を渡り出発。鉱泉裏から尾根に取付き高度差100m登れば平坦な尾根道となる。
 10:04〜10:17アップダウンの少ない夏道もここまで、休憩を取りおにぎりを頬張る。この先は所々雪を踏むようになり900m付近から全面雪道となる。今冬の降雪は、初冬は比較的少なかったが後半多かったため積雪量は例年どおりと聞く。いつもの年よりも残雪が少ないのは後半の積雪は融けるのが早いのだろうか、ブッシュが邪魔で避けながら回り道をして進まなければならない。
 11:45〜12:07ハナヌキ峰と古寺山の分岐1140mで休憩。今日は雲ひとつない快晴であるが、古寺山は手前にある尾根に隠れているため、この按部からは山頂を見ることはできない。
 13:15〜13:20その尾根の1450m付近に上がる。ここは目標となる物が無いため、赤旗で誘導しているが、視界の悪い時は要注意。以前、下山中のパーティが尾根伝いに下り遭難事故が発生した場所である。
 13:30〜13:50古寺山1501mで休憩、今日4回目の腹ごしらえをして、小朝日岳に向かう。雪尾を行くが夏道との境が薄くなっており、これからは雪解けを見極めてコース選択をして行く必要がある。
 14:35〜15:00小朝日岳。古寺山へ降る登山道は雪尾が崩壊してクレバスが所々に見える。月山、以東岳、中ツル尾根、遠く飯豊連峰の本山・石転び雪渓など四方をグルリとカメラに収めて、熊越へ2〜3分下った所で5回目の腹ごしらえをする。
 15:50〜16:15山頂を目前にして、1580m付近で休憩。予定していた初日の行動食と水がこれで最後となって不安になる。17:00大朝日小屋に到着。
 小屋では、一階に大江山岳会のメンバー2人、堀・武田両氏が陣取っている。二階には15名程入っている模様、武田さんとは前回山行以来の再開であり同席させてもらうことにした。2人は鍋を囲みアルコールもだいぶ進んでいる様子でキムチ鍋と日本酒を分けてもらいながら、こちらも食事の準備に執りかかる。ザックに入っている食材、餃子・獅子唐・キャベツ・玉葱・舞茸・牛肉・豚肉・生うどんを適当に焼物や鍋物にしてお湯割りの酎杯を飲む。8時までの予定が9時を過ぎ、川の字になってシュラフに潜り込んだ。
 翌朝4時、二階の人達が起き出し騒がしくなって目が覚める。いつも起きるのはすでに明るくなってからであるが、聞けば日の出の時間とのこと、外に出てみれば一面雲海、朝日にきて初めての光景である。月山が雲海に孤島のように浮かんでいる、やがて御来光となってやたらにシャッターを切る、とても言葉では表現できない、とにかく下手な写真を見て欲しい。やがて、朝陽で赤く染まった雪や山並、拝んでいた周りの人達の頬、足元の雲海が次第に白々となってショーもクライマックスを迎えた。
 小屋に戻り朝食の準備をしている時、大江山岳会の安部さんから無線、春山技術訓練についての照会であった。カイラギ小屋1泊で例年5月下旬、石転び沢で行う雪上訓練であるが、特別の参加制限はなく技術向上を目指す方に好評で初心者の申込も多い。当初は小国山岳会単独の訓練であったが、現在は県指導員会と遭難対策員会合同の行事に昇格した。
 6:58下山開始。コースは鳥原山経由を計画していたが天候不安もあり、堀・武田両氏と共に小朝日岳〜古寺山〜古寺へと昨日登った道を戻ることにした。前回の下山もこのコースで、その時聞いた安部さんの話が「キブノリ」。それはブナの木などの大木や老木に生えるコケ類の一種で、飯豊朝日ではなかなか見つからないが月山に多くあると言う。以前は地元の人がよく食べていて酒の肴にも良いと聞いたので、昨日はそれを探しながら登り、ブナの大木に長さ30cm程の薄緑色の鬚のようなものが風になびいているのを見つけたが、果してそれなのか実物を見たことがないことから分らない。安部さんによると、鬚のように長いのが「サルオガセ」、苔のようにモジャモジャとして短いのが「キブノリ」で味や食感が違うと言う。
 帰ってから調べてみると「キブノリ」は「木生海苔」と書き、修験者が好んで食べることから山伏食と言われた。別名をヨコワサルオガセ(横輪猿麻?)と呼び、山伏食には他に「ダケノリ」(岳海苔)、別名「ホソバエイランタイ」(細葉衣蘭苔)があるらしい。下山中、探しながら歩くが3人共本物を知らずそれ以外は見つけることが出来なかった。
 12:30古寺駐車場に到着。
現在、登山口は古寺のみ、白滝口は通行止め・日暮沢口は除雪ならず車の乗り入れができないので確認の上、登山計画をして欲しい。

古寺鉱泉
ハナヌキ峰分岐手前のトラバース道
古寺山を仰ぐ
 1450m付近から古寺山、小朝日岳
1450m付近から大朝日岳
古寺山から小朝日岳
古寺山から小朝日岳
小朝日岳から鳥原山への登山道
小朝日岳から古寺山、月山
小朝日岳から中ツル尾根@
小朝日岳から中ツル尾根A
小朝日岳から中ツル尾根B
大朝日岳
日の出
日の出
日の出
日の出
日の出
雲海に浮かぶ月山
左から平田、武田、堀
小朝日岳から古寺山、月山
キブノリ? サルオガセ?
キブノリ? サルオガセ?