登山者情報116号

【1992年05月09日/梶川尾根〜飯豊山/井上邦彦調査】

天狗平は雪なく、新緑がまばゆい。登り始めると、ムシカリ・タムシバ・ムラサキヤシオ・アズマシャクナゲ・イワウチワ・マンサクが咲く。780m付近に雪。その後夏道と雪上を交互に行く。湯沢峰(ブナの木に菱形の指導標あり)は露出している。滝見場から石転ビ沢を見ると、ホン石転ビ沢の対岸から大量の土石流が発生している様子が確認された。滝見場から上は、殆ど全て雪の上となる。梶川峰までの間は急斜面で滑落の危険がある。また下降時にはルート選定が難しいので注意すること。梶川峰の三角点およびすぐ先の指導標(木標)は露出している。扇ノ地紙までの間も大部分雪上となり、ガスられた時は迷いやすい。扇ノ地紙の掲導標(木柱)は露出している。

湯沢峰1,021mピークより滝見場・梶川峰を望む
梶川尾根滝見場から石転ビ沢を望む

扇ノ地紙から門内岳の間は概ね新潟県側の夏道が歩ける。胎内山の指導標、遭難碑も露出している。天候が良ければ雪庇の上も歩ける。門内小屋の入口は露出しているが便所の入口は雪で覆われている。水は、小屋手前の鞍部で登山道から汲める。門内岳からギルダ原に下る部分が雪に覆われており、ガスられた場合は道迷いの恐れがある。ギルダ原は概ね夏道を歩けるが、北股岳直下(石転ビノ出合から伸びている幸七ノ尾根との合流点から上部)は夏道が雪庇に隠されているため、厳しいルート選択を強いられる。北股岳からの下りは雪の上の急下降となり、ガスられた場合のルート選択が難しい。梅花皮小屋は全て露出しており、問題はない。便所も使える。夏期の水場がそのまま使える。

梅花皮岳から北股岳・門内岳を望む

梅花皮小屋から梅花皮岳の間は夏道、雪庇には絶対上がらないこと。梅花皮岳の指導標(木柱)は露出。梅花皮岳から雪の上を多少下り、夏道を烏帽子岳に向かう。与四太郎ノ池は雪で見えない。烏帽子岳の指導標(木柱)は露出している。烏帽子岳からは、亮平ノ池手前の鞍部に下る一部が夏道の他、全て雪の上になる。御西小屋はは2階の屋根だけが露出している。2階の入口が掘りだされており、腹ばいになると入ることができるが、外側・内側の両方の扉は閉まらない。中には多勢の吹き込みが入っており、使用できる面積は通常の半分以下である。ガスられた時は、御西小屋を発見するのに苦労することが予想される。御西岳はその殆どが雪に覆われおりガスられた時はリングワンデリングの可能性がある。駒形山の登りから夏道となる。駒形山の指導標(木柱)は露出している。飯豊山三角点から頂上小屋(本山小屋)までは、殆ど夏道である。遠望するに草履塚までは夏道のようである。種蒔山から疣岩山迄の間は、雪で覆われているように見える。

烏帽子岳より御西岳を望む 御西小屋と大日岳
御西岳から飯豊山を望む 休場ノ峰周辺の状況

飯豊山から1,890mまでの間は殆どが夏道である。岩の上を歩く部分は道がはっきりしないので、岩の色(歩いているところは色が違っている)をよく見て通ること。飯豊山手前の鞍部から宝珠山の岩稜までの間は、大又沢側の雪庇が嫌らしく神経を使う。この区間は今後ますます状況が悪くなるので十分注意をすること。宝珠山の岩稜からのくだりは雪庇の状態が悪く嫌らしい。藪を漕ぐ部分もある。1,499mピークと宝珠山の鞍部より上は殆ど全て雪の上であり、比較的危険性は少ないが、今後荒れてくる。この鞍部より下は夏道が多くなる。千本峰手前(上から見て)の鞍部の雪庇は、若干緊張させられる。千本峰の指導標(木柱)はピークやや下部の林の中に立っている。千本峰を過ぎるとイワウチワ・ショウジョウバカマ・カタクリ・マンサクが咲き出す。休場ノ峰までは、雪庇の崩壊に気を使う。ダイグラ尾根全体としては、今後は今以上に悪くなる(現時点では、雪庇の下部が下の雪と続いている部分が多いが、今後途切れると落下の確立が高くなる)と予想される。休場ノ峰と水場の間は、雪の部分と夏道の部分があり、下降の場合は迷い易い所がある。イワウチワ・マンサクが満開。水場は雪で埋まっている。オ池ノ平は雪で覆われている。タムシバ・イワナシ・マンサクが咲き、ブナの芽が赤くなる。周囲を見てもこの辺りがブナの萌えの始まりである。少し下ると、ブナが黄緑となる。ムシカリ・ムラサキヤシオ・アズマシャクナゲも咲き始める。桧山沢の吊橋(落合)は通行できる。落合から温身平の間には、スミレサイシン・キクザキイチリンソウ・カタクリ等が咲いている。

【1992年05月09日/川入口/山都町役場調査】

温泉管埋設工事のため、川入口の一ノ木地内で5月11日から31日までの間(日曜日を除く)8時30分から17時まで車両通行止めになるので注意をして下さい。