登山者情報1178号

【2008年08月02日/梅花皮沢登山道整備/井上邦彦】

 毎年のことであるが、赤滝のヘツリが土塊のずり落ちで状況が悪くなっている。梶川出合も心配である。そこで一人で整備道具を背負って出かけた。まずは天狗平ロッジに顔を出し、武田顧問と情報交換をしながら朝食を取る。
 車(排気ガス)の周りにはメジロアブが来るが、まだ気になるほどではない。うまい水で喉を潤す。婆マクレから雪渓を覗くと中央部は崩壊の真っ最中、地竹沢手前から雪渓歩きとなる。材木の散乱している滝沢出合はやや右岸寄りを通る。梶川出合下流崖崩れ箇所は、想像どおりに大きな穴が開いていた。慎重に右岸ぎりぎりの雪渓を歩いてみたが、亀裂を越える所もあり、もはや安全の限界値に達していると判断した。
 梶川出合すぐ上流左岸の水場は、例年5月連休に露出する大岩の頭が、ようやく僅かに露出し始めた。さらに上流部では、左岸の夏道に上がるのだが、雪崩跡があるので、雪渓末端近くまで進んでから大岩の手前で夏道に上がった。
 雪渓はこの大岩から石転ビノ出合直前まで、途切れている。ヘツリを上がって行くと、ロープをセットした灌木のある土塊が落下して登山道を覆い、その先は以前に掘った足場が全て地滑りで隠されてスラブのトラバースを余儀なくされていた。そこで、鍬をふるい土塊を除去した。作業中何度か雪渓が崩壊する雷のような音が響いた。
 ここまで来たついでなので、石転ビノ出合まで足を延ばしてみた。石転ビ沢は合流点のすぐ上流から暫くの間、雪渓が消失している。また石転ビ沢左岸の水場は露出している。現状では、水場に向かって雪渓を横断し、大きな岩の間から右手の尾根上にある夏道に出るのが良い。
 帰途、梶川を徒渉し巻き道に取りつき、支障枝を除去し既存のロープに加え新しいロープも設置した。なお、翌日聞いた話であるが、ロープのある箇所でスズメバチらしき蜂に刺されたという登山者がいたので注意して欲しい。

婆マクレの雪渓は崩壊しているので、地竹原から雪渓に上がる
振り返る、下山の時は夏道に上がる場所を間違えないこと
梶川出合下に大きな穴がある
右岸も限界だろう、左岸の高巻きとなる
高巻きにロープを張った、スズメバチ注意!
梶川の徒渉地点
梶川から見た雪渓
梶川出合を通過して振り返る
高巻き道全景(左)
高巻き道全景(右)
梶川出合上流の水場、大岩の頭がようやく姿を現した
ここから夏道に上がったが、もう少し下流からでも良い
赤滝のヘツリになる
ここが核心部の崩壊地
下の大岩から夏道に上がった
いよいよ核心部、土塊が落下してロープがおかしくなっている
ここも右上から土塊がズレてきて道を覆っている
施工後、上の画像と比較して欲しい
ついでに石転ビノ出合まで足を延ばしてみた
石転ビノ出合、ルートは正面の岩と岩の間に向かう
門内沢の雪渓はしっかりしている
雄大な石転ビ沢大雪渓
登って行く登山者が見えた
石転ビ沢は出合のすぐ上で雪渓が途切れている
この尾根に夏道がある
右岸の水場で憩う登山者
石転ビノ出合から下を振り返る