登山者情報1,208号

【2008年11月22日/鷲ヶ巣山(偵察)/井上邦彦調査]】

 三連休の最終日は知人の祝賀会、二日目はKEBと二王子岳、さて初日はどうしようかと考えた。登山口まで車が入れる所でまだ歩いたことのない山として選んだのが鷲ヶ巣山である。この山は小国町境に近い旧朝日村(現村上市)にある。鷹ノ巣山に登った時に眺め、何時か登ってみたいと考えていた。
 PCで検索すると「ひまわりのように」がヒットした。まことさんとひまわりさんのblogである。斜め読みすると、アップダウンがあり1,100m級の山という安易な考えは持たない方が良いと掲載されていた。また上部は藪になっているようだ。
 岩崩集落までは除雪されているだろうという安易な考えで、地形図・コンパス・高度計を持って、スパイク長靴で登ることにした。念のためストックはリングの大きな冬用、ワカンは通常の高坂カンジキである。
 目が覚めて、町内のコンビニで食料を買い、村上市に向かった。国道沿いの吉野家が開いていたので、ここで朝食を取る。早朝にもかかわらず客がぽつりぽつりといる。
 市街地を抜けたところで、標識とカーナビに従ってセブンイレブンで右折し、朝日スーパー林道に向かう。途中の学校(廃校?)で私のカーナビが「目的地に着きました」と表示。私が持参した古い25,000地形図「三面」は林道が掲載されていない。そこで三面橋手前まで行き、右の車道に登ったら通行止めのゲートがあり、右の林道に「鷲ヵ巣山」の標識があった。
 僅かに戻って「縄文の里」の駐車場に車を止めた。小雨の中出発の準備をする。猿の鳴き声が聞こえる。ここは携帯通話が可能であった。高度計を80mにセットし、06:46アラレが降る中、歩き出す。
 すぐに朝日スーパー林道が「岩崩れのため通行禁止」のためゲートが閉鎖されている。ゲートの右手に林道があり、この林道もゲートが閉鎖されている。ゲートの脇をとおり林道に入る。
 06:55林道左手にある標識から杉林の中に入る。ほどなく右手は桧の造林地となり、雑木林に入って行く。雪が出てきた。雑木林に標識がありルートが間違っていないことを確認できた。
 07:06標高210m、道は右の杉林を横断し、沢に出る。おそらくタケシ沢だろう。07:09沢を渡り左岸の杉林を登る。杉林の中は雪がない。07:15雑木林のじぐざぐ登りとなる。雪は数cm。
 07:21標高320mで尾根上に出て、あとはひたすら尾根を直登する。ナラ枯れキクイムシの仕業であろうか、ブナの樹に無数の穴が開き、水が浸みている。07:56標高580m雪が硬くなりストックが刺さりにくくなる。積雪は30cm超、青空が見えた。
 08:22-28標高720m避難小屋に到着する。避難小屋には扉がなく、机と椅子があって横になるスペースはない。気温は+2℃、ここでカンジキを履いた。 この先、ブナが太くなり道が分かりにくくなる。一度広い場所に出て、また登る。平坦になると藪が出てくる。天候のせいか夕方のような暗さだ。
 09:02前ノ岳山頂、高度計を890mから825mに直す。さて下り始めようとしたが、道は不明、視界なし。コンパスを地形図に合わせて強引に下る。ワカンで藪を漕ぐのは相変わらずしんどいものがある。09:16左側に明瞭な尾根が見え、躊躇するがコンパスに従ってそのまま下る。 09:21目の前に高い山が突然現れて驚く。09:21標高670m鞍部に降り立つ。この付近は携帯が不通になる。地図を開いて改めて凄い山だと感心する。
 09:51小ピークを通過し、09:58-10:04食事を取る。眼前のピークの右側にそそり立つような峰が見えた。まさかあれが鷲ヶ巣山か?うんざりするような山に見えた。ここからはひたすら高度を稼ぐ。樹木が次第に低くなり灌木に変化していく。
 10:47-52坂を突き抜けたら、左にわずかに高い所があり、潅木もない。行ってみると風でバランスを崩しそうになった。こんな場所で転落してはたまらない。視界は殆どないが、瞬間的に左下にダム湖のようなもの、右手前方に主尾根のようなものが見えた。後から調べるために携帯電話GPS(北緯38°13′43.286″東経139°39′13.896″)で位置を測定する。
 10:00〜11:00頃には山頂に到着という軽い気持ちできたので、そろそろタイムアップである。それに先ほど見た山頂直下の登りではアイスアックス(ピッケル)が欲しくなりそうだ。楽しみを取っておくのも良いだろう。下山を決める。
※ 緯度経度で確認すると、1,004m峰から西に400m、鳥居記号の場所であった。ここが「中ノ岳」であろうか。
 11:30に7774m峰ピークまで下り、11:43-53食事を取る。12:26前岳を通過し、12:40-48避難小屋で食事とした。ここからは日本海が見えた。避難小屋にて携帯電話GPSで位置測定を行う(北緯38°13′43.985″東経139°38′15.141″)。この場所は登山道沿いの標高660m地点であった。
 13:02ワカンを脱いでさらに下る。約5m先の登山道から、背面が青灰色の鳩のような鳥が、まるで燕のような滑らかさで飛び去った。跡には両側に白い班が規則的な模様となっている黒い羽根が、一面に散らかり雪が赤く染まっていた。明らかに猛禽類による採食である。もしかしたら飛び去ったのはハヤブサかも知れないと思いつつ尾根を下った。
 13:20沢を渡ろうとして濁りに気づいた。対岸で土砂が崩壊したらしい。13:28林道に出た。雨の中、携帯電話GPS(北緯38°14′08.199″東経139°37′37.543″)で位置を測定する。最新の25,000地形図に記載されている林道の標高145m地点である。GPSでログを取っていないので正確なルートは記載できないが、ここから南の杉林に入り平坦な植林地を通って、砂防ダムすぐ上、標高200m付近でタケシ沢を渡渉し、300m付近で尾根に上がったのだろう。ともあれ、地形図の登山道とは違っているようだ。
 13:38駐車場に到着し、今回の山行を終えた。

今回のコース(想像です)
朝日スーパー林道は閉鎖されていた 林道の登山口
雑木林の中の標識
タケシ沢を渡る
尾根道に出た
僅かに残る紅葉
ブナの樹に開いた無数の穴
獣の足跡
鷲ヶ巣山避難小屋
飲み込まれた標識
ブナ林になる
このような藪の中、ワカンを履いて進む
前ノ岳山頂
山頂から振り返る
突然に現れた中ノ岳
鞍部付近のブナ林
遠くに異様な山が見えた
鷲ヶ巣山である
中ノ岳山頂、何も見えない
左下にダム湖らしきものが見えた
これが主稜なのだろう
下山を開始し、中ノ岳を振り返る
左が中ノ岳、右が鷲ヶ巣山
再度、鷲ヶ巣山
前ノ岳に向かう
トレースが残っていた
光兎山遠望
この付近はブナが多い
三面貯水池
中ノ岳を振り返る
ナナカマド
二子島
紅葉
食い散らかされた鳥
カワラタケの仲間
林道のゲート
朝日スーパー林道のゲート
縄文の里「朝日」
三面側総合開発記念公園
ここに車を置かせていただきました
三面川と鷲ヶ巣山
国道7号線から遠望する鷲ヶ巣山
鷲ヶ巣山の拡大画像