【2009年01月12日/倉手山/井上邦彦調査】
何処に登ろうか考えていると、ハイジから「ラッセルがしたい」とのメールが届いた。二王子岳や西俣尾根はトレースがあると思われるので、倉手山に登ることとした。小国町で合流し、梅花皮荘に向かう。小国町では月が雲に輪を作っていたが、玉川口ですっきりし、道路を南下するにつれて飯豊連峰の姿が現れてきた。
何台かの除雪車とすれ違い、梅花皮荘の駐車場に到着。ここも除雪作業の最中であった。除雪の邪魔にならないように車を止め、ビーコンを身に着け出発の準備をする。07:04出発。私は昨年購入したスキーを始めて履く、ハイジはスキーを持たないのでスノーシューで後に続く。
梅花皮荘から赤い橋を渡って天狗平に向かう林道に出るが、橋から上がる所でじたばた。大渕からこの橋の間が雪崩の危険性の高い所なので、さっさ通過するにこしたことはない。旧雪の上に乾いた新雪が20cm程度積もっている。次第に赤くなる山を見上げながら進む。
07:31-49倉手山登山口から見上げる山々はすがすがしく神々しい。標識はまだ頭を出していた。ここでスキーとスノーシューをデポし、カンジキに履き替える。いきなりの急登りである。とくに最初は亀裂が入り歩きにくい。ハイジと交替でラッセルを行い、尾根を登って行く。08:25-32倉手山々頂が見える展望台(GPS505m)で休憩を取り食事とする。この先は、登山道が分からなくなり適当に歩きやすい所を登って行く。何箇所かにテープが巻きつけられていたが、本格的に積もると雪に埋もれることだろう。登っていると1個所雪が深く掘れ、そこからリスのような足跡が始まっていた。よく観察すると、深く掘れた周囲には何かを置いたような跡がある。これはムササビが着地したものだろうと推測した。
09:17-30(GPS671m)急登を終えた所で休憩とする。南側の窪地には予想通りカモシカが歩いた跡があった。ここまでテンの足跡が頻繁にあるが、ウサギの足跡はない。これまでの経験からもテンとウサギの足跡はあまり一緒にならない。おそらくテンがウサギの捕食者であるからなのだろう。
緩傾斜の尾根を登って行く。周囲にはヤマグルマとアヅマシャクナゲが多い。アヅマシャクナゲの葉がことごとく丸くなっているのは乾燥から身を守るためなのかも知れない。上部の分岐から太陽が姿を見せた。振り返れば、杁差岳を始め、素晴らしい景観が広がっている。
10:21旧道との分岐、ダイグラ尾根と飯豊山が見えた。ここから先の痩せ尾根は雪庇が出ているので慎重なルート選定が必要である。特にここの雪庇は急な斜面を風が吹き上げるのだろうか、高く聳える傾向があり、急な斜面を横切るように進むことになる。
10:38-44(GPS854m)で休憩を取る。杁差岳の空が曇ってきた。予報通り午後から崩れるのだろう。山頂からの展望がどうなるか心配であるが、まずは確実に登ることである。
広い雪原に出ると、飯豊連峰の主稜が開けた。残念ながらかなり視界が悪くなり始めている。11:09-12:22倉手山々頂に到着。写真を撮り、山頂に穴を掘ってツェルトを被り、ストーブに点火する。今日のメインデッシュはロールキャベツとカレースープである。
食事休憩を終えツェルトから出ると、雪が降り視界は閉ざされていた。荷物を片付けアイスピックを出す。下りの急斜面は足元が崩れやすく何度かアイスピックを雪面に突き刺して事なきを得る。雪庇を横切っていると表面に亀裂が入る。雪に弱層が形成されたようだが、確認するとごく浅い場所なのでそのまま進む。旧道分岐で後続するハイジの足元の雪庇が大きく崩れた。トレースの僅か30cmが切断面であった。
12:51分岐分岐から下り始めると風雪が強くなり、視界がなくなり、登ってきたトレースが見る間に消されて行く。何度か右の尾根に迷い込みそうになるが、何とかクリアすることができた。もう暫く後ならば地形図・コンパス、場合によってはGPSの出番であった。悪天時であればデフ布を結びながら登るが、快晴なので省略してしまった。トラブルはそんなミスから起きるのかもしれない。
13:33林道に到着、スキーに履き替えるが、ハイジは面倒とそのままカンジキでスキーの跡についた。おおむね来た時のトレースが分かったが、時折トレースから外れるとカンジキでは抜かっていたようだ。
14:07梅花皮荘駐車場に無事到着。梅花皮荘で風呂に入り、帰宅となった。
梅花皮荘の橋を渡り林道に出る |
林道から見上げると朝陽が当たり始めていた |
倉手山登山口から見上げる枯松峰〜西俣峰 |
西俣峰 |
地神山と頼母木山 |
枯松峰(左端) |
尾根に取りつく |
元気なハイジ |
どんどんと高度を稼ぐ |
交替でラッセル |
展望台から見上げる倉手山々頂 |
主稜を見上げる、素晴らしい天候だ |
丸森尾根と西俣尾根最上部 |
西俣峰、トレースのようなものが見える |
ここで休憩 |
ブナ林 |
ムササビの着地跡? |
670m尾根分岐付近 |
枯松山 |
杁差岳も姿を現した |
純白の杁差岳 |
傾斜が緩くなる |
大花山と朝日連峰 |
鉾立峰も見えてきた |
登るに従って姿を変えていく主稜 |
陽が差し始めた |
780m分岐を仰ぐ |
倉手山々頂 |
山頂に続く痩せ尾根 |
枯松山と大境山 |
杁差岳 |
西俣尾根 |
太陽に向かって登る |
朝日連峰 |
大朝日岳から以東岳に連なる主稜 |
光兎山 |
もうすぐ分岐 |
分岐に出た |
飯豊山とダイグラ尾根が見えた |
痩せ尾根を慎重に歩く |
潅木を握って |
力任せに登る |
急な斜面を登る |
枯松山を振り返る |
山頂だ! |
山頂の雪原を進む |
もうすぐです |
山頂到着! |
後ろは梅花皮岳 |
梶川尾根と丸森尾根 |
石転ビ沢 |
梅花皮小屋がうっすらと見えた |
杁差岳 |
頼母木山 |
山頂での休憩を終え、ツェルトを取ると雪が降っていました |
分岐手前、突然足元から雪庇が崩れました |
次第に吹雪いてきました |
登りのトレースも所々消えています |
ようやく林道が見えました |
林道に到着! |
梅花皮荘の橋を渡って到着です |