登山者情報1,245号

【2009年05月30日/春山合同訓練初日/井上邦彦調査】

 今回は「野外活動における応急法と搬送法試論」について、研究会を行いました。全体進行はHZUが担当しましたが、メンバーの中には「医師・看護師・薬剤師・放射線技師」といった医療のプロ、山岳救助隊中央班員が参加しており、医療と救助現場の双方から意見の交流ができました。

午前中は「応急処理」
腕を傷つけたら、水で綺麗にして、傷口を合わせ
ビニールテープを貼れば終了
出血が多い時は、止血点で出血量を少なくし、始めは緩くビニールテープを巻き、
2周目から強く巻くと強度の調節が可能です
左は普通に剥しました。右は水を浸けて剥しました。違いが分かりますか?
サランラップを負傷部位に巻きつけます
サランラップが動かないようにビニールテープで固定しました
膝を負傷した時の巻き方です
完成品です
ビニールテープは伸縮性があるので、膝の固定バンドにもなります
左足はズボンの上から膝の固定バンドを巻いたところ、右足はズボンに余裕を持たせる巻き方です
屈伸も大丈夫です
これまで主流だった三角布による捻挫固定法
これをビニールテープでやってみました
伸縮性があるのでしっかりと固定できます、靴を履いている場合は靴ごと固定します
ピッケルを使った捻挫処置法です、本番では靴を履いた状態で行います
ピッケルが短い時は紐を使うのも有効です
この後、取っ手がL字のストックでも試してみました
テーピングの技術を応用してみます
皮膚に優しいので直接張れますし、伸縮性があるのでなかなかの物です
市販のタイツと比べてみました
背負子を使い後ろ向きに人間が担げるのか、試してみました
後ろに引かれるので、バランスを保つためにはこのような格好になります
後ろに引かれないように、両足を広げてみましたが、あまり効果はありません
剛力のシミケンさんですら、この表情です
昔から日本に伝わる「おんぶ紐」で背負ってみます
後ろから見ると
完成です
両足が揃うと、担げなくなります
やはり腿の処理がポイントでした
背負われて昔に戻ったECB
EHJは様になっていますね
普通に担いでみてください
ひとりでに太腿に手が行きます、これがポイントなのです
搬送の最大課題「腿上げ」にもビニールテープは有効です
ビニールテープを使うことによって面で支えることができます
これまでとは異なる新型カッパ搬送法です
ピッケルホルダーを使わないことによって、要救助者の体の位置を高くしています
クローブヒッチとカッパズボンを使い、上半身を固定します
背負い心地、背負われ心地をチェックします
次はハーネスを使った竹田方式です
これは従来の方法
新竹田方式はハーネスを使いません
カッパ上の裾と腕を結びます
もう片方も結びます
こんな感じです
そこに細引きを通すと、ハーネスができました
この部分をザックのトップ輪に掛けるのです
あらかじめザックのトップ輪を細引きで補強しておきました
ザックの腰バンドは短くて使えませんでした
さらに腿の支点をザック背負いバンド途中から取ってみると、これは快適でした
細引きでチェストハーネスを使って、上半身を安定させることができました
応用すれば、ザックなしでも出来るかも
女性陣が考え出した、クライミングテープによる搬送法
幅が狭いので、ツェルトフライを使ってみました
短いので首が苦しくなりました
こうなると次々にアイデアが出てきます
最後に「搬送に使用したザックの中身を、カッパ下を袋にして他のザックで運ぶ方法」を勉強しました
これで午前の部は終了、午後からは「勝手に祝う会!」で盛りあがりました

※ 画像はHZU・kennrokuが撮影したものを使用しています。