登山者情報1,253号-1

【2009年06月27-28日/石転ビ沢〜梶川尾根/井上邦彦調査】

 今回は1年前から計画されていた「あざみ山遊会」の山行である。メンバーはYUMIちゃん・YOUKOちゃん・YOSIKOちゃん・TOSIMIちゃん・TOMOちゃん・KATOちゃん・YOSIOさん・TUYOSIさん・HIROSIさん・NOO・DTG・HZU、総勢12名である。超ベテランもいれば、始めて本格的な登山をする人もいる。
 06:00天狗平。06:23砂防ダムより登山道に入り、ツブテ石登り手前で呼吸を整え、07:18うまい水で休憩する。天気予報は2日間とも良好だが、蒸し暑い。女性陣はこの日に備えて登山用タイツを購入したが、タイツ姿が恥ずかしいらしく、タイツの上に長ズボンを履いているので茹で上がりそうである。結局はタイツ姿になる。
 昨日の小屋番であるEHJとスライドする。缶ビールを雪で冷やしておいたからとの話に、一同の意気が上がる。
 08:02-17梶川出合は河床を歩く。梶川を跨ぐ部分が滑りやすいのでサポートし、休憩。この後もそのまま河床を進み右に上がるのだが、増水時の巻き道がはっきりしているので、そちらに迷い込みやすいようだ。
 数日前にDTGが道刈りをしていてくれたので、快適に進む。赤滝のヘツリを過ぎると、石転ビ沢の雄大な景観が待っている。既に大勢の登山者が先行している様子が見えた。
 08:57石転ビノ出合に到着、記念撮影をして雪渓を渡る。09:03-31石転ビ沢右岸の水場で休憩を取り、腹ごしらえをする。
 アクシデントは歩きだした直後に発生した。YOUKOちゃんの足が止まった。一歩も動けない。本人を背負って近くの石の上に行き、苦痛を訴える大腿四頭筋に血流マッサージを行う。
 暫くして再度歩行に挑むが、数歩進んだ所で足が止まった。DTG・NOOと共に雪渓の冷気が来ない所で暫く休んでもらうこととし、残りのメンバーで登り始めた。全員が小国で生活しているので、雪の上は慣れている。基本的な雪渓の歩き方を指導するだけで十分である。
 幸いにもLFD夫妻が石転ビノ出合まで遊びに来ており、状況によって我々を支援してくれると申し出てくれた。だんだんと出合が遠くなる。私の頭はLFDにサポートしてもらい下らせるしかないだろうと判断していた。
 無線でDTGから荷物なしでゆっくりと登り始めたとの連絡が来た。同時にLFDから彼女がホン石転ビ沢出合に登るまでは、このまま待機し見守ってくれるとの連絡も届いた。再度DTGから無線で、TUYOSIさんとHIROSIさんを荷物担ぎ要員として待機させて欲しいとのこと、残り7名で登る。
 11:12-55先発隊がホン石転ビ沢対岸に到着、休憩とする。ホン石転ビ沢はまだ雪渓が豊富で落石の可能性もありそうだ。何時もの水場は埋まっているので、若干上流の枝沢で水を汲む。この枝沢は足場注意である。ここで休憩とし食事を摂り、アイゼンを装着する。あらかじめ各自の靴に合わせて調整し、履き方を練習してくるようにしていたのだが、女性陣は始めての方ばかりなので手間取る。そうこうしている内に、YOUKOちゃんが追い付いてきた。素晴らしい頑張りである。
 アイゼンを履いて歩く際の注意事項を説明する。暫く登った所でYUMIちゃんが遅れた。聞くと右足のアイゼンが緩んで外れるという。締め直してみるが、また緩んできた。安全な所へ移り、アイゼンを点検してみると、調整のネジが中途半端で固まっている。私物缶から工具を出してネジを動かし、靴のサイズに合わせて固定した。
 12:55-13:10北股沢出合に全員到着。清水はまだ埋まっている。ここで気を引き締めて危険地帯へ入る。黒滝は上部の落石が全て集まる所だ。中ノ島(草付キ)を通っている人が見えるので、人為的落石の可能性もある。
 少しでも落石の可能性を避けるために、左岸沿いに登り、絶対に途中で立ち止まらないこと、万一の場合は右に逃げるようにと話した。案の定、先頭のKATOちゃんが落石を発見、「ら〜く!」の大声が響き右に逃げだすと、皆をかすめるように石が落ちて行った。
 13:44中ノ島(草付キ)に取り付きアイゼンを外し、手に持って登る。ミヤマキンポウゲ・シラネアオイが咲いている。浮き石だらけなので歩きにくい。落石を起こさないように慎重に一歩一歩登る。皆の息が乱れる。
 途中の水場が開いていた。ここは上で滑落すると落ちてくる場所だ。落石も来る場所なので、あまり近寄りたくない。
 14:23中ノ島(草付キ)上端でアイゼンを装着する。最難関の急斜面斜登である。登山者が多いので、しっかりとしたトレースが付いていたが、スタンスが広い。HZUが数m下で滑落者に備え、通過する。
 アイゼン・ピッケルを持参しなかったYOSIOさんには、ナメ棒を持ったDTGがしっかりとサポートする。
 トレースを登りきると、夏道の左の小沢に出た。そのまま直登して、最後の雪渓を登る。私の到着を待ちかねたナベちゃんとコダマッチが迎えに来てくれた。
 14:49ようやく梅花皮小屋に到着!管理棟のドアを開けるとバケツに詰まった雪の中にはガンガンに冷えた缶ビールが12本入っていた。EHJに感謝である。
 ザックを降ろし、登山靴を履いたままで、乾〜杯!干上がった喉にビールが浸みこんでいった。
 水洗トイレが順調に機能していることや水回りのマンホールを確認し、水場に向かう。途中にはイワカガミ・ヒナウスユキソウ・ミヤマキンバイ・マイヅルソウ・キバナコマノツメ・オヤマノエンドウが咲いていた。
 翌日は清掃終了後、08:04ゆっくりと梅花皮小屋を出発した。ヒナウスユキソウ・オヤマノエンドウ・キバナコマノツメ(盛)・ハクサンイチゲ(終)・ミヤマキンバイ・ハクサンチドリ・マイヅルソウを見ながら登山道を登る。
 08:33-51北股岳山頂からの展望を楽しむ。天狗ノ庭は既に露出している。下りにかかると、ハクサンイチゲ・ミヤマキンバイ・イワカガミ・マイヅルソウ・コケモモ・キバナコマノツメが咲いている。
 ギルダ原はミヤマキンバイの盛りであり、撮影のため歩みが遅くなる。お花畑を満喫しながら進む。
 09:55-21門内小屋に着くと目黒さんが小屋の準備をしていた。7月10日から管理人が入るが、昨年までの石井さんが辞めたので、日替りに近い状態の管理体制になるとのことである。遭難時の連絡体制が心配である。
 10:45扇ノ地紙を通過する。広場の標柱が露出し始めていた。11:08-12:08植生復元試行現場で大休憩とする。緑化ネットには草の新芽が顔を出していた。
 昨年に石ダムを作った箇所を若干手直しして、12:27梶川峰を通過する。トットバノカッチにはまだ雪が残っていたので、滑落に備えて下部に配置したが、笹藪の中に作った道が露出しており、ルートを正確に取れば危険性は少なくなった。なお下降時にこの道を見つけられずに左に行くと滑落の危険性がある。
 タニウツギ・ナナカマドを見ながらどんどんと高度を下げる。13:25五郎清水の広場は露出していたが標柱が雪圧で倒れ掛っていたので皆で直した。清水に降りてみると雪が消えて間もない雰囲気、岩の亀裂から噴き出す冷たい水で喉を潤す。なお五郎清水には手前にも数個所水場がある。
 14:24滝見場で昨日登った石転ビ沢を眺める。ヤマツツジの咲く道を辿り、ひと登りして15:20-36湯沢峰で休憩する。
 この先の下りが梶川尾根の本領である。16:27飯豊山荘を眼下にして楢の木曲りで一休み。思うように足が動かないメンバーが続出。
 17:45天狗平に到着!SATIEちゃんが出迎えてくれた。林道に出た途端、YOUKOちゃんとTOSIMIちゃんが座りこんだ。二人とも涙が止まらない様子。
 HZUの車の下にLFDが準備してくれた発泡スチロールの箱を開けると、氷に覆われたトマトが現れた。これも準備されていた塩をつけて頬張る皆の顔は、涙と一緒になってぐしゃぐしゃに崩れた。

出発前の腹ごしらえ
ツブテ石の登り
うまい水で休憩
慎重に婆マクレを通過する
梶川出合に到着
左岸の縁を進む
石を拾って歩く
数度の施工で水量も多くない
梶川の渡渉がポイント
石を飛び越える
大丈夫かな?
次々と渡って
ここで休憩です
ビデオカメラマン
梶川上流の様子
休憩後、梅花皮沢沿いに進み
ここから道に出ます、左上に伸びる踏み跡は巻き道です
両手を使って
正面に門内沢と右端に門内小屋が見えました
ここから赤滝ノヘツリに差し掛かります
先行しているLFD夫妻
LFDから見ると
岩場になります
赤滝を抜けると
石転ビ沢の壮大な景観が待っていました
最後の頑張りで
石転ビノ出合に到着しました
雪渓を渡ります
ようやく暑さから解放され
笑顔が戻ります
石転ビ沢右岸の水場
ここで休憩です

続く⇒