登山者情報1,275号

【2009年08月23日/大境山道刈り/井上邦彦調査】

 所用が重なり、一人で登山口を出発したのは09:00近くだったと思う。登山道は沢の左岸を進み、導水管の先で2本丸太橋を渡ると、登山口の標識がある。ここから山裾を流れる用水路沿いに進むのだが、コンクリートで整備されていた。ほどなく再び標識に従い用水路を跨いで沢の左岸の歩道を進む。一箇所ぬかるむ湿地があるのが嫌らしい。右岸に移るとまもなく尾根に取り付き、僅かに登ると傾斜が落ち広い尾根となる。この付近はナラ枯れが酷い。地元では途中まできれいに道刈りをしている。尾根がやせてくると傾斜が出てくる。右の小沢で水を得ることもできるが、今回はそのまま左の沢(水なし)を渡るまで、汗をかきながら1ピッチで登った。
 ここでブッシュ(草刈り機)に歯を取り付け、エンジンをスタートさせようとするが、なかなかかからない。眼鏡をかけて調べてみると「チョーク」のスイッチがない!前回使ったのは誰だ!と呟きながら、丁寧にエンジンに混合油を送り込んでスターターを何度か引くと、ようやくエンジンがかかってひと安心。
 試し切りとばかりに、邪魔になる場所だけを切りながらゆっくりと登っていく。混合油を補給しようとして、エアフィルターのカバーがなくなっていることに気づく。荷物を置いて下り拾ってきて取り付ける。
 ちょっとした地滑り地形で、道が分かり難い所がある。ここを右に行くのが正解である。少し広めに伐る。ここから先は草よりも灌木を伐ることが殆どである。尾根に上がり伐り進むと、倒木がある。この先で、またカバーがなくなっていることに気づく。探しに下るが見つからない。購入先の農器具店に電話をかけると、「そのような使用状態ならばそのままでも大丈夫だろうが、心配ならガーゼでもあててみたら」とアドバイス。使っていた軍手をあててみると、これがどんぴしゃのサイズ。
 県境まで登ると笹が出てくる。混合油の補給時に、パンをかじっていると涼しくなってきた。ここまで眼鏡はしているもののランニングシャツ(下は長ズボンにスパイク地価足袋)で作業している。やはり様々なものが飛んできて顔を直撃することもある。上着を着て作業をしてみるが、暑くてたまらず、元の姿に戻った。
 900mから岩場状の急傾斜になる。足場が不安定なので、最小限の刈り払いで登る。傾斜が緩くなった段階で本格的な刈り払いが始まる。休憩は混合油の補給時程度でエンジンを回しっぱなしなので、腕が疲れてくる。昨年は何とか道が分かる程度の道刈りだったので、今年は少し広げる予定である。
 やはり講習会で習った知識は役に立つ。講習会では想定外の乱暴な伐り方だが、理屈が分かっていれば効率が良くなる。と思っていた矢先に、歯の回転が止まった。エンジンは動いているがスロットル(アクセル)を引いても出力が出ない!一度エンジンを止めて再起動したが、スロットルは機能しない。藪の中でエンジンとスロットルを調べているうちに、ワイヤーが外れていることに気付いた。ブッシュの工具だけでは修理できないので、山の私物缶から多機能ナイフを取り出し、付属のペンチでつまんで応急処置を行った。
 普通に歩いても何処が山頂なのか何度も騙される山稜である。果てしのないような藪との格闘が続く。池を過ぎ、草地となれば山頂は目の前である。草地は以前と比べてだいぶ小さくなったような気がする。何故だろうか?ここにはキンコウカが種をつけていた。
 16:09ようやく大境山々頂に到着する。ここは遮る物のない360度の大展望台である。気がつくとタカネマツムシソウが咲いていた。冷たいポカリスエットを飲み干して、30分近い休憩を終えて、下山を始める。歯の回転方向から、ブッシュは右から左へ振る時に歯の先端部分に当たった場所が切れる。さらに勢いをつけて振れば直径5cm程度の灌木も切断可能である。このような伐り方だから、当然飛散防止カバーは幾ら直しても向きが変わって使い物にならない。したがって何が飛んでくるか分からないから防護眼鏡は必需品である。
 17:15頃、足元がふらつき始めた。これ以上の作業は危険であると判断し、下山に専念することとした。18:46薄暗くなって車に到着した。
※ 山頂からショートメールが送信できましたが、かなり不安定です。
※ 今回は伐採のみ行っていますので、伐った灌木はそのまま放置しています。歩きにくいと思いますので、登った方は邪魔な枝の投棄にご協力いただければ幸いです。

軍手をエアフィルターの替りにした 今度はスロットルが壊れた
刈り払い前 刈り払い後
大境山山頂からの展望
正面は枯松山、飯豊山は雲の中
小玉川方面
前日に歩いた権内尾根と杁差岳
タカネマツムシソウ 山頂にて
下りながら刈り残しを伐る 山頂を振り返る
全くの藪に見えます 夕方になってきました
麓の集落 水路の標柱
新しくなった水路 この丸木橋を渡って、右上の水路脇に標柱がある