登山者情報1,293号

【2009年10月17-18日/梶川尾根-オーインノ逆峰-湯の平/井上邦彦調査】

 永年、閉鎖されてきた加治川治水ダム・加治川ダム(掛留沢)間の林道が、徒歩のみを条件として10月01日に解放された。情報によると、11月初めには加治川ダム・湯の平間の橋が撤去されるとのことなので、急ぎ歩いてみることにした。
 このルートは、登山者情報第553号(2001年07月05日)に、土砂崩れを理由に新発田市が「車両・歩行を問わずに全面交通止め」としており、私が調査のため歩いたのは、2004年09月11日(第853号)が最後であり、山行を自粛してきた。
 この間、実際は湯の平までの歩道は毎年架橋され、小屋も利用可能であり使用されているという情報は入っており、湯の平を歩くテレビ番組まで放映されていた。
 さて、数年ぶりのコースはどうなっているか大変に興味深いが、林道8.2km+歩道3.4kmを徒歩で往復するとなると、なかなかに大変である。
 幸い孫さんとハイジが、加治川治水ダムから湯の平まで往復してくれるというので、単独で梶川尾根を登り、登山道保全事業箇所と門内小屋の破損状況を確認し、オーインノ逆峰を下り、湯の平で合流し、翌日3人で下山することとした。
 初日、05:10ヘッドライトを点けて天狗平から梶川尾根に取り付いた。すぐに暖かくなりシャツを脱ぐ。05:26登山者数カウンターでライトを消す。
 05:42楢の木曲がりから、天狗平に来た車のライトが見えた。登山者であろう。06:11湯沢峰の肩、06:14旧湯沢峰を通過し、06:20-32湯沢峰で休憩食事とした。
 06:41赤はげに出ると太陽が昇った。それまでくすんでいた山々が一斉に華麗な錦絵となった。06:59滝見場から見る石転ビ沢は太陽の影になって良く見えない。07:10-17池の近くで休憩を取り、さらに登って07:37-7:53五郎清水で休憩食事とした。この時、梅花皮小屋のWKBと無線がつながった。
 08:37-09:07トットバノ頭の施工箇所で前回の作業結果を検証する。WKBの報告どおり、土砂が殆ど溜まっていない。観察をすると侵食が狭く深いので下を水が流れているようでもある。石を運んで土砂が堆積するように目詰めをした。後から登ってくるECBから連絡があり、同様の作業をしてくれるとのことである。
 09:14梶川峰を通過し、09:24フンスイノ沢頭の施工箇所。作業した場所には問題ないが、上部の登山道に侵食防止の小ダムを作る必要があるかもしれない。
 09:29ケルンを通過し、09:58-10:07扇ノ地紙で休憩食事。メールをしながら稜線を南下し、10:14胎内山を通過する。その先で若干笹藪を漕いで旧道に入り、10:25水場(門内清水)にでた。水量は豊富である。
 10:32-37門内小屋の破損箇所を確認する。想像はしていたが、かなり酷くやられており、この程度の応急処置では冬の季節風にはとても耐えることができず、下手をすれば来春には数千万円の費用が必要になるかもしれない。特に貼られた板が風上に向かって開いている点は致命傷だろう。また小屋本体の老朽化が進んでいるので、ロープを固定している窓枠毎吹き飛ばされるかもしれない。何とかして今月中に冬を越える程度の処置が必要だろ感じた。
 稜線を歩いていると、猛禽類が2〜3羽飛んできた。イヌワシだと思ったが、後で撮影した画像を見るとトンビのようだ。WKBと無線交信をして、北股岳の山頂で一杯酌みかわすこととした。
 11:02最低鞍部を通過する。天気は良く風も殆どない。通る度に思うのであるが、北股岳直下の3人日帰りで作った登山道に愛称が欲しい。ハチベエ(藤田栄一さんの屋号)新道などはどうかな?などと他愛もないことを考えながら高度を上げて行く。
 WKBと示し合わせた時刻は11:30である。11:29に山頂着くと同時にWKBも反対側から顔を出した。始めのビールが何時の間にか焼酎になり、ラーメンをつまみにしていたら、1本開いてしまった。少々効いてきた。二人で記念撮影をして13:09北股岳山頂を後にした。
 山頂からの登山道はほとんど消えているが、20m程進むと明確な道が出てきた。笹藪の道は今年育った笹が立っているが、下るには全く支障ない。さらに灌木に入ると通常の登山道以上に快適な道である。
 洗濯平を見下ろし、懐かしさいっぱいになりながら下る。二俣(標識あり)から洗濯平に行く道はもう消えかかっていた。
 小さな草原を過ぎると右手に雨量観測ドームがあり、14:09中峰の幕営地跡に着く。標柱が倒れており、そのまま左に立派な道があった、水場?と首を傾げながらトラバースしていくと、14:11水場に着いた。14:13倒れた標柱まで戻り、沢沿いに下ると白いロープが張られていた。この沢は残雪がある時の水場なので踏み跡があり迷い込みやすいのだ。ロープから左の尾根に移る。中峰付近は間違いやすいので留意して欲しい。
 ブナが出てくると極色彩の世界に入って行く。大日岳の姿が少しずつ変化していく。14:21池を回り、14:24滝見場の標識が置いてあったが、滝は見えない。GPSは1,117mを指していた。ここから先は登り下りが出てくる。
 14:52左から峰を巻くところに標識がおいてある。15:00-43休憩食事。登り降りやトラバースを繰り返し、16:39鳥居峰の標識に到着する。ここからは下りのみである。
 尾根を下り左のブナ林を横切ると、一方的な下りになる。16:52登山道は次第に急になり鎖も出てくる。最後は鉄梯子を2回下り、17:09湯の平山荘に到着した。
 荷物を下ろし、管理人に挨拶をして、迎えに行くと女湯の手前で登って来た孫さんとハイジに合流した。その晩は、居合わせた豊栄山岳会の方々ともお酒を酌み交わし、楽しい一夜となった。
 翌日、ゆっくりと起床し朝風呂を楽しんでから、09:37山荘を出発した。登山道は前回に比べて格段に整備されていた。
 大きく下り北股沢の橋を渡って登り返し、10:14-20北股平で休憩食事。10:28岩越平の標柱には両方向とも1.7kmとあったからここが中間点なのだろう。10:30山の神、あちこちに標柱が設置されているのは前回と同じである。
 10:53-11:12加治川ダム(=掛留沢、林道終点)に到着すると、何名かのパーティがやってきた。日帰りで湯の平まで往復の様子。
 この先の林道は、うんざりするほどに長く感じた。11:49-12:06休憩食事。何度か通り雨に当たりながらカッパを着ることなく、13:11ようやく加治川治水ダムのゲートに到着した。
 このゲートは3mもあろうかという高いもので、脇に偽木の柵でゲートを「コ」の字で囲むように登山者通路が設けられていた。
 この変形した通路はバイクや自転車が進入できないように設置したものとのことだが、私のザック(カメラやコンパス・録音機を入れるポシェットを付けている)がゲートと柵の間に挟まり動けない。それではと横になって通過しようとしたが、ザックと腹が挟まれてしまった。しかたなく、腹をへこませて無理やり通路を抜け出した。
 この柵を設置した方は緑化ネットが入る大きな?ザック(亮さんに比べれば可愛いと思うのだが)を担ぐ登山者がいることを知らないのだろうか。
 ともあれ、ここからは孫さんの車で天狗平まで送っていただき、私の車を回収した。天狗平周辺は既に紅葉が始まっていた。

湯沢峰に到着
紅葉が盛りだ
梅花皮小屋も見えた
枯松山と大境山
滝見場から見た石転ビ沢
雪渓の様子
三本カンバを目指す
素晴らしい紅葉だ
そのうちに直したい
テツカエデ
倉手山を見下ろす
青空と黄葉
三本カンバが見えた
ダイグラ尾根
三本カンバより
杁差岳
撮影しながら登る
再び杁差岳
9月19日(1,282号)に施工したトットバノ頭
思ったように砂が溜まっていない
よく観察をしたら、底から水が抜けていることが判明
上から石を運んできて、砂が潜りこまないように手直しをした
この深い穴は笹と石を詰めてみた
修復後はこんな感じ
登山道は左の土を通っている
太陽の具合で撮影がうまくできない
この後に登ってくるECBに仕上げを依頼した
来年になったら本格的な道普請が必要だろう
梶川峰に到着

続く⇒