登山者情報1,321号

【2010年02月27日/西俣尾根〜頼母木山/井上邦彦調査】

 天気予報は良くなかったが、予想天気図の前線通過に期待をすることとした。当日夜は民宿奥川入で「藪山ネットの顔合わせ会」があるので、コースは西俣尾根とした。関係者に送付した登山計画書には「西俣尾根〜頼母木山(途中まで往復)」と記載した。
 06:23川入荘に車を置いて出発。06:30奥川入でスノーシューを履く。通常の尾根手前の塞がっている小沢から斜上し、最後はスノーシューを脱ぎ、柴を掴んで岩場下の尾根に上がる。そのまま坪足で岩を登るが、その上の痩せた尾根に細長く乗っている雪が嫌らしい。丸峰を過ぎると傾斜が増し、さらに嫌らしくなる。
 夏道どおりに横断し、07:28大曲に到着しワカンを履く。忠実に尾根を詰めて、08:19-30十文字ノ池に到着、ここでスノーシューに履き替える。登りの時、右左上下ともスノーシューのトレースが重なると、雪がざけて登れなくなる。間隔を保ちながら登る。雪面に雪虫が数匹見受けられた。尾根に生えているブナを観察すると、太い樹は幹の周りが均等に根開き状態になっているが、細い柴の場合は下側のみ開いている。これは融雪にあわせて柴が起き上がろうとすることから生じる違いであろう。
 いつの間にか霧雨が止み、雲が薄くなって倉手山や枯松山が見え始めた。09:31西俣ノ峰山頂に到着する。標識見当たらない
09:47-57片足が表面を隠されていた穴に落ちる。スノーシューは引き出すのに厄介である。改めて覗くと、かなり深い雪庇の亀裂であった。
 次第に鉾立峰の雲が切れてきた。山頂部を残して杁差岳も姿を現し始める。大雪原を進み、10:43枯松峰山頂脇のブナ林にあく。たちまちにして頼母木山が姿を現してくる。ここから先は、雪庇に留意して藪の踏み跡を歩く。
 10:54最低鞍部を通過、10:59次の鞍部を過ぎたが、11:07-13空腹が激しくなったので食事とする。ここで残っている食料と時間を計算し、頼母木山々頂を目指すこととした。
 11:24大ドミを通過する。前回はここから下山している。11:42無風快晴、下着だけになる。11:53ブナ林の森林限界を突破し、12:03三匹穴に到着する。ここからは左斜上をし、12:15-24ダケカンバ上端で食事とするが、風が出てきたのでカッパを着る。
 騙し峰のトラバースを考えて、12:38-50スノーシューからクランポンに履き替える。周囲には素晴らしい光景が広がる。
 13:23-31頼母木山々頂に到着。山頂には雪が全くない。じっくりと写真を撮って下山することとした。
 13:57三匹穴、14:16大ドミ、14:30最低鞍部、14:44枯松峰山頂を通過し、14:53-15:06大雪原で杁差岳を眺めながら食事をとり、スノーシューに履き替える。
 15:45西俣ノ峰、16:14十文字ノ池を通過するが、急傾斜になるとスノーシューは危ないので、ジグザグに降る。
 16:33-34坪足になり、16:40大曲をつうかし、17:16奥川入に到着。車を回収して、風呂に入り、藪山ネットの皆さんと乾杯!

十文字ノ池
雪虫
ブナ林
尾根を忠実に登る
太いブナの周囲の根開きは均等
細い幹は下方だけ雪解けが進んでいる
十文字を見下ろす
倉手山が雲の中に現れてきた
西俣ノ峰手前の急斜面
枯松山が見えてきた
倉手山も徐々に姿をあらわにする
最後の登り
県境尾根
西俣ノ峰山頂
山頂から行く手を仰ぐ
誰かのデポ品
深い穴に落ちる
落ちた穴と周辺
雲海に浮かぶ枯松山
枯松峰が見えた
左側は巨大な雪庇
雪原の向うに枯松山
このようにしてブナは変形していく
枯松峰山頂を仰ぐ
鉾立峰の雲が切れてきた
杁差岳山頂部は雲に覆われている
鉾立峰
枯松峰山頂から頼母木山方面を仰ぐ
ぐんぐんと雲が切れていく

続く⇒