登山者情報1,325号

【2010年03月07日/大境山/井上邦彦調査】

 天気予報がまた変わり、降水量が0mmとなった。前日の飲酒も考慮し、単独で大境山に登ることとした。何時もの路側帯に車を止め、06:49酒店脇の水路工事用道路から歩き出した。
 標柱からマツ沢に入ると、水路への取水口工事がされていた。左岸から右岸へスノーブリッジを渡り、正面の急登を登りきり、07:04尾根上に出る。この先は雑木林が続くが、ナラ枯れの黒い樹皮が痛々しい。またブナを見ると、ナラ枯れの原因であるカシノナガキクイムシが入った跡が無数に見られ、涙を滲ませているようだ。尾根の両側では底雪崩の跡がある。
 07:28−38尾根が急になる手前で休憩とする。薄っすらと新雪があるが、ここまで複数人のワカン跡が感じられた。昨夜のアルコールの脂汗もようやく落ち着いてきた。
 急な尾根を詰めて、左の沢が次第に浅くなった所で、07:56左のブナ尾根に移る。気分の良いブナ林、幻想的な雰囲気が漂う。一方、先ほどの尾根を直登すれば雪の亀裂と藪に突っ込むことになる。
 08:20ブナ林の上限まで来た所で、上からの雪崩跡が現れた。殆ど視界がないので上部の様子が全く分からない。本来であればもう少し斜上した所から右の尾根に上がりたいのだが、雪庇の崩壊が恐ろしい。
 とりあえずアイスアックスをザックから出していると、ガスが薄くなってきた。やはり上部には崩壊しそうな亀裂があるようだ。意を決して頭上の崩壊した雪塊を越えて上の雪面に上がる。ワカンを履いているのでキックステップが思うように効かない。最後は両手で藪を掴んで力ずくで、08:34尾根上に出た。
 尾根上は痩せて両側が切れている、08:36−38坪足となりリッジを通過し、08:45ワカンを履く。見上げると右から大きな亀裂が入っているので、亀裂の左端を登ることにした。
 08:55−09:04県境直下で食事を取る、また小雪が降ってきた。県境に出て左折しブナ林に向かう。09:16小峰(大セド峰)から上部を仰ぐが、良く見えない。夏道は左端だが雪庇が怖い。かと言って正面の雪面は途中に亀裂が走っている。ルートに迷うところだが、とりあえず先に進む。
 09:22−33いよいよ急斜面という場所でクランポンに履き替えるが、視界は殆どなくなった。アイスアックスで雪面に傷を付けて高低を知る程である。雪面の硬さが場所によって変化が激しい。クランポンですいすい登れたと思うと、いきなり坪足になる。亀裂は真ん中の凸部にあり、亀裂の上から凸部を登り、雪庇を越える。
 09:50−10:02右の尾根上に出ると素晴らしい光景が待っていた。食事をし、すぐ上で夏道尾根と合流する。この後はクランポンに着く雪をアイスアックスで落としながら、広く平坦な尾根を進む。何時ものように何度か騙されて、10:27−32大境山々頂に到着すると、三角点だけが露出していた。
 記念写真を撮り下山をしようとすると視界がない。風もないのでクランポンの跡を辿って引き返す。10:54−57急な斜面を下りきったこ所で、クランポンの上にワカンを履く。
 11:11−19空腹のため小峰(大セド峰)の上で休憩、カエデとブナに張り付いた雪が紅白の梅のようだ。これは枝の色がなせる技である。 11:38−46クランポンを脱ぎ、ワカンのみを履く。ここから左の尾根に移り、一気に下る。12:10水路の標識でワカンを外し、12:14車に到着し今回の山行を終えた。

今回のコース 
上の線が登り、下の線が下り
新しくなった水路脇にある標柱から右に入る
急斜面になる前に休憩
振り返る
徐々に高度を稼いでいく
ここから左の尾根に移った
左斜上気味に登る
いいブナ林だ
右手の尾根は潅木になっていく
幻想的なブナ林
ブナ林上限で雪崩跡に出たが、視界がない!
アイスピックを準備しているとガスが切れてきた
さて何処を登ろうか?
崩壊した雪塊に上がる
最後は潅木を掴んで
尾根の上に出た
周囲は雪崩の巣だ
前方に聳える斜面
正面亀裂の左端をルートに選んだ
痩せた尾根を振り返る
県境に出る
ワイ化したブナ林
まるで桜が咲いたようだ
前方を見上げると、亀裂だけが見える!
霧氷の森
幽玄の世界を進む
亀裂の先は・・・
右手に雪庇の尾根が見えた
雪庇の危険な左端を避け、雪崩に留意しながら中央部を登る
この雪庇を乗り越えることとした
雪庇を突破すると素敵な世界が待っていた

続く⇒