登山者情報1,345号

【2010年05月22日/石転ビ沢〜梅花皮小屋/金野伸調査】

 天狗平への道路がようやく開通したので、早速石転びを登ることになった。メンバーはWKB、AXLそしてトラウト氏である。今回は皆スキーを持参した。私は石転びを滑るのは初めて、そのうえスキーの腕前(脚前?)は素人の域を出ていない。しかし雪がまだかなり軟らかいとの前情報もあり、まぁなんとかなるかなと思いながらスキーを担ぐ。
 朝は少し遅めの9時前にゲートを出発した。天気も良く、駐車場にはかなりの車があった。ブナの新緑美しい温身平を通り、第4砂防ダムから石転び沢への道を進む。道脇の木にスキー板がたびたび引っ掛かるのには辟易した。1時間程でうまい水へ到着し小休止。そこから30分程歩き、地竹原付近から雪渓に降り立った。ここまで履いてきたスパイク長靴をデポし、兼用靴に履き替える。いよいよ雪渓歩きだが、情報の通り、雪質は軟らかく、汚れも少ないし、スプーンカット状にもなっていなかった。コンディションは上々のようだ。他の登山者は思ったよりずっと少ない。駐車場の車の多くは山菜採りだったのだろうか。
 30分強歩けばもう石転びの出合である。夏道を歩かされればこうはいかない。この時期の石転び沢はとても楽チンである。トラウト氏は石転びに登るのが初めてだそうで、AXLは石転び沢周辺の地形地名などを説明しながら登り、昼過ぎに本石転び沢の出合に到着、右端へ寄って小休止。夏になれば水場となっている場所である。雪崩や落石が流れて来にくいので、休憩はここでするのがセオリーとのこと。しかし今年は大規模なデブリや大きな落石が雪渓上にはあまりないようだ。そんなことを話しているとザザザザザァーという音と共に我々のすぐ後方の小さい沢の上部から小規模な雪崩が落ちてきた。下まで流れていくほどの勢いはなかったが、これが呼び水となって後から石が落ちてくる可能性がある。一応ラァァァク!と叫んで下の登山者に知らせる。視界があって、雪渓の状態が良くてもここを登るときは常に周囲に気を配らなくてはならない。
 ここから少し行けば徐々に傾斜がきつくなってくる。先行していた3人組のオジサンはこの手前で早速ビールを開けていた。もう十分に雪渓を堪能したそうで、今日はここまでとのことだった。おいしそうなものを見せられて、俺も小屋まで行けば・・・と俄然やる気が湧いてきた。上部のほうもやはり雪は軟らかく、キックステップでスイスイ行けた。滑るときの邪魔になるから、トレースをあっちこっちに付けずに素直に先行者のトレース通りに登っていく。下ってくる登山者も何人かいたが、スキーの人、豪快な尻セード(全身セード?)で滑って行く人、雪ダンゴをたっぷり付けたアイゼンで一歩一歩慎重に下っている人、さまざまであった。途中LTQのパーティーをパスし、急な登りに汗をかけば、ひょっこりと梅花皮小屋が姿を現す。14時着、ちょうど5時間の行程であった。
 小屋で冷たいビールを飲み、ラーメンを食べているとLTQも到着。しばし歓談の後、駆けつけ2本開けていた本日小屋番のAXLより小屋の水道関係の操作をざっと教えてもらった。実際に操作してみないと覚えられそうにない。
 1時間程ゆっくり休み、私とトラウト氏はぼちぼち下る準備をする。今回はここからが本番である。上から斜面を見下ろすとやはりかなり急である。ゲレンデでもこんな斜面は挑戦したことはないのだが、ここまで来たらやるしかない。カッパをきて、一応持ってきたヘルメットを被り、フル装備でいざ出陣。斜滑降から恐る恐るターン。うん、この雪質なら大丈夫そうだ。コケてもなんの心配もない。そう確信し、貸し切り状態の大斜面を思い切り滑っていった。トラウト氏は冬場スキーのインストラクターをしているので、非常に上手に滑っている。存分に楽しんでいるようだ。私も山スキーをやり始めてから心から楽しいと思ったのは今回が初めてである。こんなに気持ちが良いものだったとは。あっという間に雪渓の終わりまで来てしまった。ここまで約15分。愉快愉快。
 後はスキーと兼用靴を背負い、長靴に履き替えて帰るだけだ。うまい水すぐ上のスノーブリッジが崩壊していた。朝はおっかなびっくり渡ったがやはり・・だった。17時にゲート着。飯豊山荘はまだやってないので梅花皮荘で温泉に入り帰宅した。
 
 8:50ゲート−10:00うまい水−10:40地竹原−11:30石転び出合―12:20本石転び出合―14:00梅花皮小屋 15:30小屋―15:45地竹原―17:10ゲート

新緑のブナ
雪渓が見えた
ここから雪渓へ
梶川の出合
石転びの出合
本石転びの出合
雪渓上部
小屋がひょっこり現れる
北股岳
梅花皮岳
うまい水の上。通行は注意が必要