登山者情報1,399号

【2010年10月16-17日/権内尾根-頼母木小屋-大熊尾根/金野伸調査】

 今年も飯豊連峰には足繁く通ったが、同じコースを歩く機会がやけに多かった。長者原、大日杉から登ってばかりではいい加減飽きてくるものである。なんだかんだで今年は杁差岳方面(頼母木小屋より先)には一度も足を踏み入れていない。そこで、関川村の大石ダムからの杁差岳周遊コースに挑戦してみることにした。
 なにはともあれ、久々の単独行である。連日の熊出没のニュース、本来ならば単独で山に入ることは避けるべきであるが、たまには一人で登りたいこともある。寝具、調理器具、食料、自分が使うものだけを一式背負うのは久しぶりな気がする。もちろん熊スプレーの装着は抜かりない。行動中鳴らすラジオも持っていくことにした。
 16日
 6時前に大石ダムに到着、管理施設近くの駐車場に車を停める。帰りは大熊尾根を下ってくるので今回はここから歩き始めることになる。天候は出発の時点ですでに雨。カッパを着て黙々と舗装路を歩く。いきなりガサガサと近くの藪から音が。思わず身構える。猿だった。数分後、また藪から物音が。今度こそ熊か!?カモシカだった。また数分後、脇の藪からいきなりバサバサとヤマドリが飛び出す。心臓に悪い。40分程でゲート着、ここからは長い林道歩きだが、途中朝食を取りつつも1時間強で終点の1号橋の前までたどり着けた。さらに2号橋を渡り、尾根歩きが始まったころに雨が止み、空が明るくなってきた。9時20分、カモス頭を通過する。ここより上の辺りから紅葉の色づきがはっきりとしてくる。権内ノ峰から千本峰の辺りがピークのようだ。だが美しい紅葉を楽しめたのも束の間、10時10分、千本峰に到着とほぼ同時にまた雨が激しく降り始める。ガスが濃くなり景色も見えなくなる。11時7分前杁差岳を通過、このあたりで風も強くなってくる。11時34分杁差岳山頂到着。長居せず、頼母木小屋を目指してすぐに歩き始めた。稜線はとても風が強く、まっすぐ歩けない。強烈な突風が吹き、よろけてしまった。思わず雄叫び(奇声とも言う)をあげて気合を入れる。顔を前に向けると割と近くに登山者がいた。こっちを見ていたがにこやかにあいさつをして誤魔化し、足早にすれ違う。雨粒がバチバチと顔に当たってくる。気を紛らわすために歌を歌いながら歩いていると、曲がり道の先からいきなり登山者が現れる。こんな悪天のときに動いているのは自分くらいだろうと思っていたのだがなかなか油断できないのである。まったく物好きな連中だなぁなどとブツブツいいながら、12時22分大石山を通過し、12時52分に頼母木小屋に到着した。
 17日
 目が覚めるとすでに外は明るくなっていた。天候も回復していた。昨晩は少し飲み過ぎた感があるが、手早く荷物をまとめ、6時30分に小屋を出発。杁差方面はすっきりと雲が取れていて良く見えた。昨日に比べれば天国である。さわやかな稜線歩きを楽しみ、8時に杁差岳着。大熊尾根へは小屋のすぐ近くの分岐から下りていくことになるが、その前に頂上へちょっと寄り道する。景色を堪能した後、下り始める。このコースを歩くのは初めてである。アップダウンはないものの、急な道だった。9時16分、一杯清水を通過し、10時に大熊沢の橋にたどり着いた。そこから10分程行くと大熊小屋が現れた。思っていたよりもずっと立派な小屋で驚いた。中を覗くと結構広い。快適に泊れそうだ。機会があったら今度は泊りで来てみたいと思った。尾根歩きが終わってからは、トラバース気味の道が延々と続いた。ここがとにかく歩きづらい。油断すれば右側の斜面に足を踏み外してしまう。道の刈り払いも、今年はされていないようである。このコースで大変なのは、急な尾根よりも、小屋からこっちの道であると思う。また、何度も何度も枝沢を徒渉するのだが、いったん沢底に下り、徒渉し、対岸でまた登る、これが結構疲れるのである。対岸の道も見つけにくいので要注意である。大分ペースが落ち、ダムに架かる吊り橋にたどり着いたのは13時、大熊小屋から3時間近くかかってしまった。あとは舗装路を黙々と歩き、トンネルを抜ければゴールである。13時25分駐車場着。とにかく長いコースであった。

ここからスタート
1号橋
整然としたブナ林
大境山
権内ノ峰を見上げる
雨量観測所
千本峰
嵐の杁差岳山頂
大石山
雲海がきれいだ
杁差小屋が見える
ハクサンイチゲの生き残り
鉾立峰と杁差岳
鉾立峰山頂
アゴク峰と二王子岳
新六の池を見下ろす
大熊小屋
道が悪い
向かいに行くまでがめんどくさそうだ
山が深い
ようやくダム湖が見えた
吊り橋を渡れば舗装路だ
トンネルをくぐればゴールは近い
おまけ