登山者情報 1,440号

【2011年06月08日/梶川尾根〜石転ビ沢/井上邦彦調査】 

 05日、仕事が終わり、あざみ山遊会の会合までの時間に、梶川尾根を途中まで歩いてみた。その画像を掲載する。
 08日は、03:25ヘッドライトを頼りにゲートを通過する。03:57ナラノ木曲、04:30湯沢ノ肩に上がり、04:41-55湯沢峰で食事を取る。鞍部手前で僅かに雪を踏み、尾根に戻った所は道が雪に埋もれていた。
 05:25滝見場は一面雪で覆われ、展望台だけが露出していた。そのまま雪尾根を進み、05:32-48カール状地形で食事をし、ピッケルを出して登る。目の前の急斜面は正面のガレがある藪で二手に分かれる。左手の雪面を上り、さらに左手にある藪の夏道に入る。此処から先は始めての方には大変に分かりにくい。夏道を上がり、右手から先ほどの雪斜面を合わせた雪を進み、また夏道に入る。 左側の露出し始めた夏道を拾って登る。雪は堅く、軽登山靴なのでエッジを使って高度を上げていく。
 06:10五郎清水の広場や標柱は雪に埋もれており、上から降りてくる道と、清水に降りていく道だけが露出していた。下山してきた場合、本来の登山道は雪に埋もれているので、誤って水場方向に行く可能性が大変に高く、危険である。単独男性とスライドし、雪面を直登し、06:34三本カンバを通過する。トットバノ頭は一面雪で覆われており、ここも下山時には注意が必要である。
 06:57-07:09梶川峰で食事を取り、日焼け止めを塗りたくり、サングラスを掛ける。道端にはミツバオウレンが咲き乱れ、シラネアオイやミネザクラ・バイカオウレン・ショウジョウバカマも咲き始めている。雪面をひと登りして、07:19ケルンで予想通り、ミヤマキンバイ・ハクサンイチゲと対面する。梶川尾根最大施工箇所も予想通り雪に覆われていたが、手前の施工跡を確認することができた。
 07:48扇ノ地紙は、上の標柱だけが露出し、広場は雪に埋もれていた。若干、雪庇の名残を歩いて夏道に移る。この先、ハクサンイチゲとミヤマキンバイ、新潟の山々の撮影に夢中になり、時を忘れる。
 08:17-29門内小屋は、鉄扉の窓ガラスが壊れていたが、使用はできる。水は小屋手前の鞍部に融雪水が流れていたが、清潔度と早朝に難がある。トイレは1穴が使用できるようになっていた。ギルダ原も、まだ咲き始めだが、無風快晴のためカメラが手放せない。登る途中で空腹を感じたので、09:03-10食事を取る。09:37-47北股岳山頂で360度のパノラマを満喫し、ピッケルを出して慎重に下る。
 10:00梅花皮小屋に到着。水場で水汲み、喉を潤し、お腹を膨らませる。小屋の異常なしを確認する。課題の鉄扉は、ボタンを押さないとレバーが下まで下がらない。レバーを下げると、3箇所が飛び出して固定する構造だが、これまで床穴にゴミが詰まって閉まらなかったことが多く、ヤスリで切断した。しかし今度は鉄扉がゆがんできたために、勢いをつけて閉めても、上が密着しないので突出部と穴の位置にずれが生じて、レバーが最後までおりない。宿泊した時にでも、上の突出部をヤスリで切断する必要があるだろう。なお今冬も開けることができず悲惨な体験をしたという2階の扉も、同様に上下を切断したいと思う。
 10:58下山を開始する。グリセードで下るが、雪の堅さで右手が痛くなるので、スパンを切りながら下るが、途中からタオルを手に巻いて随分楽になった。単独2パーティ(1人スキー)とスライド、中の島が僅かに露出し始めた。黒滝でヘルメットに黒サングラスの登山者と会う。誰かと思ったら、御西小屋の松葉さんで、荷上げの準備らしい。話し込むが、落石が集中する場所なので、再会を約して下山。11:40石転ビノ出合を通過する。
 赤滝下流の事故岩が露出し始めたが、すぐ下流で頭部が雪渓から露出し始めたカモシカを見た。肉を削ったように太い骨が立っており、腐敗したような腹部に蠅が集まっていた。さらにすぐ脇には見事な太さの糞が大量にあり、熊が食した痕跡が明瞭であった。熊の食事中に登山者がいなくて良かったと思う。もし、これに気づかない登山者が不用意に近づいたら、熊は獲物を横取りされると思いこみ、人間を攻撃する可能性はありうることだろう。
 滝沢出合付近の雪渓は相当に痛んできた。今回は恐る恐る雪渓を横断し、下流部を見たが、落合へのトラバースはできず、古いトラロープから夏道にあがり、12:00道でピッケルをザックに付けた。次回は梶川出合から下流は全て夏道になることだろう。道にはオオバキスミレ・ニリンソウ・ムラサキヤシオ・タムシバ・ムシカリ・サンカヨウ等が咲いていた。
 12:18-23うまい水で休憩を取る。ブナ林をゆるゆると歩き、12:50砂防ダムを通過し、13:17湯沢ゲートに戻った。
PS
 今回、筆者は皮の軽登山靴、アイゼンなしで登ったが、雪が硬くキックステップが難しく、靴のサイドを使用して登降した。常識的にはアイゼンが必携だろう。また石転ビ沢の上部はかなりの傾斜があり、途中には亀裂もあるので、熟達者以外はグリセードは避けた方が良い。アイゼンがあっても、石転ビ沢の下降は高度感が出るので充分に注意したい。
オオイワカガミ
ヒメシャガ
チゴユリ
ムラサキヤシオ
ナナカマド
08日 ヘッドライトを点けて登る
朝日が昇る
日の出
湯沢峰肩直下の倒木
朝日がブナを照らす
湯沢峰からの展望
石転ビ沢と滝見場
ダイグラ尾根
ムラサキヤシオ
滝見場 展望台への夏道
展望台から
石転ビ沢
梅花皮大滝
三本カンバを見上げる
残雪の稜を進む
カール状地形から見上げる
石転ビ沢
滝見場を振り返る
五郎清水 上から下って来る夏道
清水に下る夏道
本来のルートは雪に埋もれている
三本カンバ直下
三本カンバ
石転ビ沢
梶川出合を見下ろす
トットバノ頭(カッチ)
施工箇所
梶川峰
石転ビ沢
ケルンを見上げる
ミネザクラ
ケルンにて ミヤマキンバイ
ハクサンイチゲ
施工箇所
杁差岳
施工箇所(残雪)上から梶川峰を見下ろす
丸森尾根上部
北股岳方面
登山道にできた亀裂
亀裂が進行するとこのようになる
大日岳
地神山
扇ノ地紙
飯豊山
稜線を南に向かう

続く ⇒