登山者情報1,492号

【2011年10月09日/大熊尾根〜権内尾根/井上邦彦調査】
 大熊小屋に行く途中で、豪雨により登山道が崩壊し、修繕が終わっているとの情報があったものの、なかなか現地を確認することができなかった。今回は大石川一周日帰りなので、荷物を軽くしてトレラン用靴で出掛けた。
 自宅4:30、コンビニを経由して東俣林道彫刻公園のゲートに自転車をデポして大石ダムまで戻る。準備をして05:30駐車場を出発、既にライトは要らない。トンネルは壁のスイッチを入れて通過、05:53滝倉橋にある登山者カードを記入する。ここまでは舗装されているが、車道に砂が溜まって今年の出水を想像させる。
 山道に入り、06:04黒手沢の橋を渡る。06:14崩壊地に着く。なるほど登山道が崩壊地の中央を横切っている。近づくと、鍬でトレースが掘られており十分につうこうかのうである。しかしこの付近は河床までの高度感があり、緊張する。初心者には怖じ気づく者も少なくないと思われた。
 カジカネを過ぎ、06:51イヅクチ沢を渡る。前日に入手した新しいトレランシューズ(これまでと同型)に始めての中敷きを入れているが、土踏まずの部分が盛り上がっているので、足場が左傾斜が多いこのコースでは、足が靴の中で動き、靴底ではなく靴の脇に足が移動しているように思え、何となくぎこちない。
 案の定、左足首に痛みを感じて転倒、暫くそのままで動けなくなった。左足の左側面に体重がかかったようである。無理に踏ん張りはせずに、登山道から落ちないようにしつつ転倒したし、荷物も軽いので捻挫の心配はないだろうと思いつつ、痛みがなくなるのを待って、ゆっくりと力を掛けてみた。結果、これなら問題なく歩けそうである。以後は、足の置き方に配慮しながら進んだ。
 その先にも上から落ちてきた木の根が邪魔をしている所があったが、道は丁寧に修繕されており、草の実が足に着く以外は気にならなかった。
 07:48セガイ沢は狭い入り口に流木が掛かり嫌らしいので、安全策を取りすぐ上流を渡ったが、この時に靴をぬらしてしまった。小屋前の吊り橋は、V字型のワイヤーの片方が低くなっていたが、昔の1本吊り橋を考えればどうということはない。
 08:24-42大熊小屋で始めての休憩を取る。ここで水筒に水を汲み、ブナ林の中、08:53大熊沢を通過、標高は420mである。1,636mのエブリサシ岳まで標高差1,200m、昔ならいざ知らず、3時間程度と検討をつける。
 エアリアでは大石ダム・大熊小屋は6時間30分だが、実際は3時間弱で歩いている。大熊小屋・エブリサシ岳間は5時間20分なので、やはり3時間として12:00に山頂到着と目星をつけた。
 河岸段丘に上がると、尾根は最初こそ急だが、あとはさほどではなく、ぐんぐんと高度を稼ぐ。09:45一杯清水を確認し、09:56-07展望が広がった所で休憩とする。日本海まで見え、携帯のアンテナも反応があるが、送信はできなかった。
 この先になると登山道はジグザグを繰り返す。尾根が細い飯豊では殆ど見かけない道形であるが、このようにするとガリー侵食が起こりにくい。
 10:37峰に上がり、10:40次の鞍部は草原になっており、僅かに登ると10:42カリヤスと書かれた菱形の標識がある。草原に生育しているのがノガリヤスという植物であることから名付けられたと聞いている。
 11:05一ノ峰に上がると素晴らしい展望が待っており、山頂に人影が見えた。さらに二ノ峰を越えると、11:20新六ノ池である。写真を撮りながら最後の登りを詰めて11:32杁差小屋に到着する。小屋の中では数人が休んでいた。
 11:37-55杁差岳山頂には11名程が休んでおり、小屋周辺にも5人程姿が見えた。居合わせた登山者の方に鍋をご馳走になり、展望を満喫する。
 この分では早く帰宅できそうな感じがして、12:01長者平を通過。12:17前杁差岳では横になって日向ぼっこをしている方までいた。12:43千本峰、13:03権内ノ峰、13:32カモス峰と快調に下る。その後、注意力が散漫になったのか、午前中と同じ箇所に痛みが走って転倒する。やはり暫くそのままに横になり、痛みが取れてから下る。
 木の枝が無造作に折られて散在しているので、見上げたら登山道の真上に新しい熊棚があった。ブナやナラでは珍しくないが、名前の知らない木であり、よく見ると小さな実をつけていた。
 13:47雨量計跡を通過し、14:06東俣第二橋、14:17三吉ノ峰と下って、14:26-34林道終点で休憩を取った。14:43慰霊碑、15:01鉱山跡(金山清水)、15:21東俣大橋を過ぎ、15:28ゲートに到着。自転車にまたがって、15:45大石ダム駐車場に無事下山した。
滝倉橋にある登山者カード入れ
黒手沢の橋
崩壊地の中央に登山道がある
反対側から見る
足元は目の眩むような絶壁
中ノ俣沢出合を望む
イヅクチ沢を渡る
新しい道に付け替えられていた
頭上を見上げる
セガイ沢
ダイモンジソウ
大熊小屋手前の吊橋
片方のワイヤーが低く、使えない
大熊小屋に到着
小屋の内部
大熊小屋全景
ブナ林を行く
大熊沢に架かる橋
振り向くと日本海が見えた
一杯清水
左手に湿地があり
僅かに水が流れている
右手には幕営地
上部が見えてきた 携帯のアンテナは立つが送信できない
紅葉
眼前に峰がそそり立つ
鉾立峰方面
マルバマンサク
カエデ
ムシカリ
草原がカリヤス平の名称由来
すぐ上に「カリヤス平」の標識
標高を上げていく
通ってきたブナ林

続く ⇒