登山者情報1,559号

【2012年07月05-06日/石転ビ沢〜梶川尾根/井上邦彦調査】

 小国山岳会に今年入会した新人2名、サカモッチャンと4人で石転ビ沢経由で御西小屋を目指すことになった。目的はソーラーパネルの荷上げと破損した御西小屋のトイレを調査するためである。御西小屋のGPNから「肉が食べたい!」との連絡があり、たっぷりと焼き肉+野菜を準備した。天気予報は目まぐるしく変わる。前々日にようやく晴マーク、しかし翌日には雨マークとなった。雨の石転ビ沢は落石が怖い。しかし大きなパネルを担ぐには石転ビ沢しかない。
 4時前に起きてPCで状況を確認し、5時に役場に集合すると雨が降ってきた。2時間程度で通り過ぎるだろうと推測、天狗平に向かう。途中雨は激しくなり雷まで鳴り始めた。ロッジで前夜泊のサカモッチャンと合流し、準備をしていると・・・青空が出てきた。
 気分を良くして06:21天狗平ロッジ発、06:26湯沢ゲート通過。爽やかなブナ林を進むと、大雨のため出合から戻ってきたという登山者とすれ違った。06:56砂防ダム、ここからソーラーパネルの大きさとの戦いが始まった。
 07:28-41うまい水で最初の休憩を取る。地竹原を過ぎた所で雪渓に上がる。滝沢の入口はまだ続いていそうだ。しかし滝沢と梶川の間の雪渓が崩壊している。さらに梶川出合直下の崖崩壊地の雪渓が落ちている。安全策を取るなら左岸を高巻きして梶川を渡渉するところであろう。しかしそれではパネルが運べない。じっくりと観察をして、雪渓崩壊の手前で右岸に移り、素早く右岸沿いに雪渓を登りきって安全な場所に出た。
 梶川出合のすぐ上から夏道に入るが、ここで強い雨が降ってきたのでカッパを着用する。大岩付近は嫌らしく雪が残っているが、なんとか登山道に這い上がる。赤滝付近は雪渓が続いていたが、途中で切れているのを視認し、素直に夏道を進む。
 09:10-21石転ビノ出合の水場が露出していたので、食事を取って休憩する。雪渓に上がると冷たい雨がカッパを叩く。10:21-35ホン石転ビ沢出合対岸でヘルメットとアイゼンを装着する。視界がないので落石を避けるため左岸沿いに登って北股沢出合に到着する。しかし出合が何時もの緩傾斜にならないし、水場のある尾根が特定できない。そのまま傾斜がきつくなってきたので北股岳に直登している可能性を考え、トラバースしても判然としない。しかたなくいったん降って出合に間違いないことを確認する。若山君がスマートフォンのGPSで、軌跡の画像を出してくれたが、背景が衛星画像なのでピンとこない。薄らと尾根が見えたので、そのまま休まずに登り始めると、何となく見覚えのある地形が出てきた。北股沢出合の傾斜が今年は例年と異なっているようだ。足元しか見えないので最大限落石コースからずれるルートを心がける。いよいよ斜上、ここはどうしても落石コースを通過することになる。途中で仰ぎ見た中ノ島(草付キ)から土砂が流れていたのを思い出し、それを目当てにする。左方向から落石が落ちて来る音が聞こえたので、動かないように指示を出す。北股沢出合で休憩を取らなかったせいか、サカモッチャンの息が上がっている。
 12:08ようやく中ノ島(草付キ)に上がり、落石のこない場所で休憩を取る。両手にアイゼンを持ったまま登り、先端でアイゼンを付けていると、頭上から小さなこぶし大の石がゆっくりと落ちてきて、これから私達が歩く場所を通り過ぎて行った。今春の合同訓練は初日しか出れなかったサカモッチャンの足取りが怪しい。ここでバランスを崩すと真っ逆さまなので、HZUが直下でサポートする。なんとか急斜面を突破した所に、上から声が掛りOTJの姿が見えた。心配して迎えにきてくれたのだ。
 13:00梅花皮小屋到着。流石に稜線は風が強い。身体を休め、ソーラーパネルを置いて御西小屋に向かうが、梅花皮岳手前で断念し梅花皮小屋に宿泊。稜線はウスユキソウが盛りである。
 翌日は07:12梅花皮小屋発。昨日よりは遥かに条件が良いが、視界はない。07:39北股岳を通過する。ギルダ原はオノエランが盛りである。08:40-09:02門内小屋に立ち寄ると、今年小屋に入る高桑さんに亀山さんが指導していた。管理人室にはイワキさんもおり、サカモッチャンが喜んでいた。
 09:25扇ノ地紙から雪を踏んで尾根を降ると、施工箇所が迎えてくれた。施工箇所の急斜面も雪に覆われていたが、植物の発芽を見て喜ぶ。ヒメサユリを楽しみながら10:23梶川峰に到着する。トットバノ頭には予想通り雪が残っており、ピッケルをだして慎重に降る。
 11:09-33五郎清水を確認に降ると、奥の水場が崩壊していた。手前の水場は問題なく使用できる。14:24天狗平ロッジ着。

天狗平ロッジ管理人の小関さんです 皆さんをお待ちしています
これが今回上げるソーラーパネル
爽やかな雨上がりの登山道
新しくなった看板
さて、うまい水のお味は
納得!!
婆マクレ
地竹原を過ぎてから雪渓に上がる
滝沢出合(落合)
滝沢出合の先は雪渓が崩壊中
梶川出合直下は右岸を行ったが
今回が限界のように思える
今後は左岸を高巻き、梶川を渡渉することになるだろう
梶川を過ぎた所で雨に見舞われる
石転ビノ出合
かなり融雪が進んでいる
出合の水場が使用できた
いよいよ石転ビ雪渓を登る
ホン石転ビノ出合対岸からはヘルメットとアイゼンを着用
北股沢出合から上は見えない
北股沢出合でルートを見失う
何とか探し出して急斜面を登る
中ノ島(草付キ)に取り付いて、一瞬の晴れ間
梅花皮小屋で「お疲れ様〜!」

つづく ⇒