登山者情報1,766号

【2014年04月12日〜13日/日中飯森山/加賀谷亮調査】
 土日とも晴天の予報だったので、飯豊を眺められる山として喜多方の日中飯森山に行って来た。日帰り山スキーばかりで鈍った体の調整も兼ねて、一眼レフ+三脚+ガソリンバーナー、水物など敢えて重量を増してのテント泊である。
 飯森山は昔の飯豊山であり、今は別名「古飯豊」とも呼ばれる。今の飯豊山信仰は空海や役行者らによって、山岳信仰の舞台がより高い山に移行していく流れで飯森山から遷移したものらしい。その名残として、飯森山には今でも・地蔵・血ノ池・種蒔等、飯豊と同じ地名が存在している。なお、山頂の神社付近が広くなっているのは、40年程前までそこで熱塩加納の村民が御篭り=雨乞いの神事を行っていた名残である。
 出発地点は国道121大峠トンネルの喜多方坑口駐車帯である。途中国道の気温表示盤は9度をさしていたが、道路脇の日陰には昨晩降り積もった新雪が残っている。駐車帯でパッキングをしていると、木製カンジキに亀裂が生じているのを発見し、応急的に針金で補強したりで10時半頃に出発。嫌な予感を抱きながらのスタートとなる。
 壊れかけのカンジキを温存するため、ツボ足で登る事とする。山スキーの際にはすぐ南側の沢を詰めるのだが、今回は藪の出始めた尾根を直登する。始めは藪混じりだったが15分程度登ると雪が続く様になるが、今度は気温が上がってきてなかなかペースが上がらない。
 一登りすると、幹の下部と上部で樹皮の様子が著しく異なる樹が数本、以前から気になってはいるが何の樹だろうか?(上部樹皮の感じだと樺の類と思われるが、夏季に葉を確認するつもりも無いので・・ウダイカンバか?)
 緩急を繰り返しながらブナ純林のなか高度を上げ、ブナ平(1185M)に12:05頃に到着。雪が腐り、抜かる様になってきたので、ここでカンジキを装着して小休止し、急斜面に取り付く。ここの急斜面は最大斜度30度+程度はあり、下りでは雪質次第で注意が必要な箇所だ。一登りで痩尾根(1365M)手前に上がる12:50。ここまで来ると一気に展望が開け、鉢伏山・飯森山・磐梯・吾妻・安達太良が望める。
 痩尾根部は雪尾がズリ落ちており、クレバスが新雪で隠されているので慎重に通過する。さらに一登りで1462M尾根合流点。ここは年によっては雪尾を切って這い上がるところだが、今年は難なく上がれた。ここから鉢伏山までは、東側の雪尾が不安定なので西側の樹林内にルートを取って進む。望む鉢伏山・飯森山の頭は雪煙が舞っており強風が吹き荒れているようだ。
 13:30頃・鉢伏山に到着するが、烈風でそそくさと種蒔(鞍部湿地帯)に降りる。種蒔は昔、田植の神事を行っていた湿地帯である。14:30頃・ジャンクションピークに到着するが烈風+雪煙でなかなかにツライ。
 風を避けられる東側の雪尾の陰にブロックを積んでテントを設営する。テントを設営して中の整理をしていると、なんとヘッドランプが無いではないか!快晴で月が大きいのが幸いだが、暗くなる前に水を作ったり、あらかた食事を済ましたりで忙しい。カンジキの破損と言いどうもリズムがおかしい。明日の下山は要注意である。夕方の撮影タイムは残念ながら飯豊は雲の中で、明日朝に期待である。夜9時頃から風が収まり、静かな夜となった。
 明朝は雲ひとつ無い快晴・しかも空のレジ袋を放置しても飛ばされない完全な無風である。4:30頃起床してコーヒーをススリ、撮影に出ると、飯豊が大パノラマで望まれる。飯豊・朝日・蔵王・葉山(村山)・吾妻・安達太良・磐梯・御神楽など360度の絶景である。
 しばらく撮影して日が高くなったのち、テントで食事をとり、随分とのんびりして10時前に下山開始。喜多方坑口 12:40着・カンジキもなんとかもってくれてヤレヤレであった。
今回のコース
喜多方坑口の駐車スペースから取付
ウダイカンバ(鵜松樺)だろうか?
飯森沢の奥に目指す山頂が覗く
ブナ平 幹周り1.5m超のブナが林立する
急斜面を振り返る
痩尾根1365Mに上がる(右奥は鉢伏山)
尾根合流点1462mへ登る
鉢伏山手前の雪尾(右奥が飯森山)
飯森山から飯森沢左岸の尾根
痩尾根1365mを振り返る
飯森山頂に巻上がる雪煙
鉢伏山までもう少し
鉢伏山から種蒔〜飯森
飯豊は霞の中
種蒔より飯森
夕照の飯豊は雲の中
夕照の鉢伏山
飯豊に続く残照の尾根
夕闇に包まれていく
夜明けが訪れる
朝焼けの飯豊
朝日が昇る(JPより)
朝日を浴びる鉢伏山
雪尾の造形
快晴の飯豊連峰
ブナのシルエットが雪面に映える
帰りの国道沿いで福寿草

おわり