登山者情報1,811号

【2014年08月04日/祝瓶山遭難/井上邦彦調査】
 朝日連峰合同保全事業の下見山行のため出かける準備をしていたところ、07:10PWDから電話があった。「昨日日帰りで祝瓶山に登った登山者が、帰宅しないので捜索要請が出た」とのことである。慌ててご飯をかきこんで警察署に向かう。朝日地区の公園管理員である初男さんからの電話に「出動できるようにして準備して欲しい」と答える。
 警察署に行くと、本人のバイクが登山口にあること、さらに登山者カードを確認したと現地に向かったパトカーから連絡がきた。コースは単純な往復とのことである。すぐに熱射病が頭に浮かんだ。「下山途中でやられ登山道に横たわっているか、それとも判断機能が狂い藪に迷い込んだか。登山道にいるとすれば、一刻も早く身体を冷やし搬送すれば助かるかもしれない」と考えた。警察署から登山口までは時間がかかるので、初男さんに「朝日班から2名、水を多めに持ってすぐに登って欲しい」と出動を指示した。
 登山口で警察官を待って登り始める。時刻が遅いので、汗が滝のように流れる。県警ヘリ月山と防災ヘリもがみが交替しながら飛来して、遭難者に呼びかけを行う。先発隊は下ってくる登山者とすれ違ったが、手掛かりは特にないが、落ちていたという手袋を確認するため、さらに登るとのことである。防災ヘリががすぐ横をゆっくりと過ぎていく。航空隊員2人が開いたドアから身体を乗り出して探している。
 しばらくして、一の戸にいる先発隊から「防災ヘリが一箇所にとどまって作業をしているようだ。見つけたのではないか?」と無線が入り、梅花皮小屋のOTJから「発見してピックアップに成功した」と連絡があった。安堵して下り、間隔があいた後発隊5人が合流し休憩する。
 大朝日岳から祝瓶山を経由して降りてきたという登山者を混じえて駐車場まで戻ると、署長や役場担当者の方々が冷たい麦茶とおにぎりを準備していてくれた。
 遭難者は、前日朝に入山し、祝瓶山登山口に着く前に大石沢にある山菜道に迷い混んでしまい、動かないほうが良いと判断してテントを張って探してくれるのを待っていたとのことである。怪我も衰弱もなかったと聞いて、私達は帰宅した。
逆沢の見立場から一ノ戸を仰ぐ
ブノグラノタルミ手前のピークから仰ぐ
大朝日岳方面
大朝日岳
一の戸
祝瓶山登山口の沢にあった亀の甲羅に似た石

おわり