登山者情報1,883号

【2015年05月30日/春山合同訓練/井上邦彦調査】
 今年は春先から高温が続き、例年になく融雪の勢いが激しい。こんな中、天狗平ロッジまでの車道開通は余裕を見、また行政とも連絡を取って5月30日と見込み、春山合同訓練を計画した。しかし、近々になって雪崩などによる車道の痛みが激しいため、一般車両の開通は未定である旨の情報が入り、予定していた天狗平ロッジの使用ができなくなった。また、予定していた倉手山の残雪が殆どなくなり、梅花皮沢は石転ビノ出合直前まで夏道となった。残雪の多い岩魚沢を見てきたが、雪渓の崩壊が多く登山靴での歩行は困難な状態となっていた。さらに今春は例を見ないブナの花が大豊作となり、どの残雪も雄花がびっしりと敷き詰められて、訓練に適切な斜面は見当たらない状態であった。
 しかし、車道の通行が徒歩も含めて禁止されている中で、現実には多数の登山者が倉手山や石転ビ沢を始め登山を行っており、天狗平方面から下山してくる方々がいた。このような中で、いつまでも登山届出所を閉鎖しておくわけにもいかないので、予定どおり30日午前中に天狗平ロッジの雪囲い外し及び届出所の開設を行うこととした。
 「できるだけ29日夕方に車道を開放したいが、必ずということではない」とのことであり、合同訓練は最後まで翻弄されたが、訓練前日の29日午後4時30分に「現時点をもって車道を一般開放する」との確認が小国町から取れた。
 以上の経過のため、急遽訓練の日程を変更して、参加者の規模と研修内容を縮小して、下記のとおり実施した。なお本訓練は、日本山岳協会山岳共済会事業としての認定を頂いて実施された。
 研修の中では、消防が教えている「負傷者の肩を叩いて意識を確認する方法は脊椎頚椎の保護が疑問」とする質問があり、「転落ではなく突然の心肺停止だけを想定しているのではないか」といった答えがあった。またウォーキングは登山トレーニングには負荷が軽すぎる、熱疲労(熱射病)の時に冷たい水をかけると毛細血管が収縮し熱の発散ができなくなるのでぬるま湯が良いなどといった内容が参加書の興味を引いていた。
 さらにJRO(日本山岳救助機構合同会社)から寄贈頂いた「ハンズフリー救護担架」の使い心地を体験した。

場所   天狗平ロッジ
日程   30日12:00集合、13:00〜17:00研修、31日朝食後解散
研修内容 実際に役立つ山岳地のファーストエイドとはなにか?
     参加者が各団体や組織で受けている研修内容を披露しあい、意見を交換した。
講師   松橋昭夫(小国山岳会会員、医師、日本登山医学会会員)
訓練担当の吉田が進行する
山形県山岳連盟の高橋副会長の挨拶
同じく県山岳連盟の菅野登山部長が挨拶
渡部指導員の課題提起で研修が進められた
二人一組になって実習
さらに渡部指導員がポイントを解説
やり方の意見が飛び交う
要点をメモしながら進められた
ちゃんと脈は取れるかな
質問に松橋Drが答える
JROから頂いた担架を試してみる
これで良いかな
横になった状態での搬送
メンバーを替えて
いろいろ試してみた
階段を降る
懇親会は山菜づくし
お互いが持ち寄ったつまみや酒で盛り上がる
自家製そば粉とハムとワラビの1本漬け

おわり