登山者情報1,886号
【2015年06月10日/石転ビ沢/井上邦彦調査】
当初の予定は、石転ビ沢を登り梶川尾根を降るつもりであった。04:30役場に若山君と集合する。
05:09湯沢ゲートから歩き始める。05:40上の砂防ダムを通過し、本年の登山道崩壊地で登山道を塞いでいた倒木の枝切りをおこなう。06:10-18うまい水で食事を取り、06:32地竹原慰霊碑通過。
06:48-07:52梶川出合の高巻きで、担いできた12mmロープ20mを3本、6mm10m2本を設置する。特に登り上がってトラバースになる部分で倒木の枝が道を塞いでいるため、溝を直上した足跡がありペットボトルが落ちていた。間違って直上し苦労した登山者が少なからずいたようだ。枝を除去し、ロープを張って間違わないようにした。また下降する場所では灌木に食い込み危なくなったロープを撤去や張り替えを行った。同時にピンクの測量用テープを何箇所も付けてルートを明示した。
梶川を飛び石で渡渉し、対岸の雪を踏んで梅花皮沢の夏道に入った。赤滝のへつり手前から雪渓に入り、薄くなっている所を避けながら進み、08:18石転ビノ出合に到着した。
出合には既に大岩が3個頭を出している。08:23-35平らな岩の上で食事を摂る。09:18-30ホン石転ビ沢対岸の何時もの場所で食事をし、アイゼンを履き、ヘルメットを被り、ピッケルを出す。
09:57-10:04北股沢出合で立ったまま食事を頬張る。登りは滞在時間が長いので落石の少ない黒滝右岸の尾根のさらに左の斜面を登る。ここはなかなかに傾斜が出てくる。尾根の最上部で通常のルートに出るが、まもなくこのルートは使えなくなるだろう。
中ノ島(草付き)も姿を現してきた。この上は雪庇と同じ理屈で夏よりも傾斜が強い。8日に遭難事故のあった亀裂を確認に行く。遭難者がいた場所から僅かにずれれば岩場と雪渓の間であり、おそらく助からなかった可能性が高いと思われた。
11:00梅花皮小屋に到着し、数日後に予定している空輸に向けて管理人の食料や救助用具など在庫の最終確認を行った。また本棟で水音がするとの情報があったので、チェックをして2箇所のバルブを締める。次に水が細いと報告のあった治二清水の水源地に行き、途中でホースが外れている箇所の応急処置を行った。さらに水源地の舛に流れ込んでいるホースの具合を調整する。その後に本棟の掃き掃除を行い、食事とした。食事を終えて確認すると、貯水タンクに水が溜まったので、水洗トイレのドアを開放して使用できるようにした。最後に治二清水を確認すると問題なく水が出ており、これで作業終了とした。
時計を見ると13:55である。予定していた梶川尾根を諦め、石転ビ沢を降ることとした。途中で登ってきたAXL・タモさんパーティとすれ違う。14:25北股沢出合でアイゼンを脱ぎ、靴スキーで降る。
14:58-15:05石転ビノ出合の大岩で休憩を取る。石転ビ沢と門内沢の間の尾根(幸七尾根)末端の石転ビ沢側で安全に水が取れることを確認する。ここは上部の平に残雪がある時だけ使用できる水場だ。他の周囲の小沢は危ないので貴重な水場だ。
赤滝のへつりは夏道を降る。岩を削って作った登山道に今年も土砂が落ちていた。歩けないという状態ではないが、撤去したほうが良いだろう。7月5日に山開きであるから、その直前にでも整備したい。
道に迷った登山者が作ってしまった踏跡をロープで閉鎖していると、登山者が追い付いてきた。彼らは登る時に誤って梶川を詰めてしまったとのことである。ピンクテープを多めに付けて、渡渉地点を教えて通過してもらった。私達は登る時に撤去したロープを回収し、梶川を降って沢なりに通過した。7日にとある団体が渡ったという雪渓は完全に崩壊していた。彼らはその危険性に無知だったのだろうが、そのような方々がこのコースに入ること自体が問題である。対応を考えさせられる事案であった。高巻きをせずに沢沿いに通過するルートは、まだ微妙なルート選択が必要であり、足場も悪く危険性が高い。
17:03湯沢ゲートに到着して今回の山行を終えた。
上の砂防ダムより |
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下つぶて石の崩壊地 |
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倒木の枝を撤去した |
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オニグルミの雄花と雌花 |
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カタツムリ |
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落合(正面が滝沢出合) |
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滝沢出合 |
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梶川出合 |
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雪渓が崩壊している |
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ロープを点検する |
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危険な箇所に新しくロープを設置する |
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梶川を渡渉 |
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合流点を見下ろす |
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崩壊した場所 |
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赤滝下の大岩 |
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赤滝直下で雪渓に上がる |
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振り返る 赤滝まで落ちてきた大石 |
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石転ビノ出合 |
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石転ビ沢 |
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ホン石転ビ沢出合から上部を仰ぐ |
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ホン石転ビ沢 |
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北股沢出合 今回は尾根の左を突き上げた |
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8日の遭難箇所 |
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北股岳に突き上げる針峰群 |
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中ノ島(草付き)が露出し始めた |
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正規のルートに出る |
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遭難現場に近づく |
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遭難現場 |
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草の上に落ちて助かったようだ |
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石転ビノ出合を見下ろす |
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梅花皮小屋 |
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最高最低温度計 |
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外れていたホース |
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とりあえず応急処置 |
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水場から梅花皮小屋とハクサンイチゲ |
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ミヤマウスユキソウ |
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梅花皮岳とハクサンイチゲ |
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イワカガミ |
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シラネアオイ |
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キヌガサソウ |
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北股岳が顔を出した |
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ミヤマキンバイ |
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ミヤマキンポウゲ |
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オヤマノエンドウ |
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コケモモ |
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登山者が登ってきた |
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大日岳 |
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修復なった水場 |
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下ると、登ってくる3人パーテイと会った |
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岳さんとタモさんだ |
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ここが頑張りどころだからね |
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北股沢出合にて |
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梶川尾根 |
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3本カンバ |
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左岸を見上げる |
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赤滝の大石が落ちていった痕跡 |
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石転ビノ出合の水場 |
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振り返る |
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遭難現場と梅花皮小屋 |
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左岸の夏道に入る(ルートは分かりにくい) |
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石転ビノ出合を振り返る |
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ヒメサユリ |
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ニッコウキスゲ |
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赤滝のへつり(土砂が堆積している) |
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赤滝下の大岩 |
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梶川出合上の大岩付近 |
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梶川を渡ってロープを回収してくる |
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梶川を降る |
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梅花皮沢に出て振り返る |
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このルートはまだ危険性が高い |
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温身平十文字にて |
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おわり