登山者情報195号

【石転ビ沢】

石転ビ沢の旗や標識の撤去を始めました。今後は自分の力のみでルート選択を行って下さい。
梶川出合は、登山道が水害により破壊されているので若干の増水でも通行できなくなります。その他は石転ビノ出合までは全て夏道であり特に問題はありません。
門内沢と石転ビ沢の合流点から門内沢にかけて雪渓が残っています。ここにこんなに遅くまで残っているのは珍しいことです。付近の石転ビ沢には雪渓はありません。
若干でも増水すると合流点の下流の渡渉点は使用できなくなるので、恐る恐る門内沢の雪渓を渡ることになりますが、亀裂が多く崩壊している最中なので細心の注意が必要です。
門内沢の雪渓を渡り、石転ビ沢の左岸に入り、再び石転ビ沢を飛石づたいに右岸に移ります。この付近に雪渓はありません。右岸の夏道は暫く進むと草が伸びたため歩きにくいので、川原を進みます。
やがて雪渓が出てきます。取り付きの部分が薄いので充分に観察してルートを決めて下さい。右岸から取り付くことが多いのですが、岸を進みすぎると岸壁になり動けなくなるので注意が必要です。
雪渓に上ったら左岸沿いにルートを移します。ホン石転ビ沢対岸の小沢手前で左岸に降ります。雪渓の右岸側はホン石転ビ沢手前から穴が開いており、ホン石転ビ沢から上部の雪渓はズタズタに引き裂かれ土砂が覆っており、とても近づけない状態です。
ここから北股沢出合迄の間は、僅かに二箇所ほど雪渓の上を歩けますが、ほとんどは踏み跡もないガレ場を進みます。雪渓は氷化しており、傾斜が緩いところでもピッケルがないと不安です。
北股沢出合に残っている雪渓には上がらないで、雪渓を巻くように北股沢を若干上ってガレ場をトラバースして黒滝に向かいます。
黒滝手前から踏み跡が出てきます。黒滝の上は本流を詰めて下から見て右手から直接草付きに取り付くコースと、左岸を進み小沢を渡り踏み跡を直登して途中から草付きに出るコースがあります。草付きから上は夏道となり、ジグザグ登って小沢を渡り直登し台地から最後の登りで梅花皮小屋となります。
【稜線】梅花皮小屋は無人となっていますが、便所・水場ともに使用できます。常駐期間外の協力費は9月15日から一人1,000円となりました。
今回はボランティアの方々により、登山道による破壊の著しい天狗の庭と梶川尾根の補修作業が行われました。今後とも心ある人の参加をお待しております。
稜線の登山道には雪は全くなく、あちらこちらにほんのりと秋色が散見できました。紅葉の盛りまであと1〜2週間というところでしょう。
御手洗ノ池手前の水場も雪がないため使用できません。また雪がなくなったので脈絡のない踏み跡が露出して、視界のないときは迷い易くなっているため所々に石を並べたりロープで誘導しています。
花はウメバチソウが目だち、他にトリカブトやコゴメグサが見られる程度です。
なお、9月17日の朝日新聞山形版に「新種イイデトリカブト飯豊連峰で確認」の見出しで掲載されました。
発見者によると「飯豊連峰ではこれまで低地でオクトリカブト、高地でミヤマトリカブトと二種類のトリカブトが確認されている。ところが梶川尾根登山道で、これまでと違うトリカブトに出会った。詳しく調べた結果染色体数が普通の半分であった。特徴は茎と花を結んでいる花柄に生えているごく短い毛が、歯ブラシのようにまっすぐ伸びていること」
17日に梅花皮小屋から梶川尾根を下山した武田によると、特に変化はないとのことでした。
1995年09月15〜17日(井上邦彦確認)