登山者情報2,068号

【2017年07月01日/石転ビ沢整備・桧山沢吊橋/井上邦彦調査】
 午後からの飯豊連峰山開きに備えて、石転ビノ出合手前までの登山道を整備してきました。この時期は町発注の刈り払いなどは全くされていません。そこで小国山岳会の有志が集まってくれました。主な施工箇所は「赤滝のへつり」です。毎年土砂が上部から落ちてきて岩場の登山道を埋めてしまいます。また間違いやすい場所に目印の黄旗を付けました。赤のほうが目立つかもしれませんが、「赤布は危険なので近づくなという印」と勝手に解釈して遭難した方がいました。また一般登山者が目印を付けてしまうのですが、雪渓がなくなるに従ってルートが変わりかえって危険性も出てくるので、その撤去も必要になります。現在は黄布に「オグニ」と赤く書いているので、それを目印にしてください。
 また雪渓に落ちていた倒木を利用して、湿地をなくすような施工もしましたし、梶川出合高巻きコースも施工しました。現在の石転ビ沢は梅雨時の落石や土石流が発生しやすくなっています。十分に気をつけて楽しんでください。
 途中で全員アイゼンを履きハーネスを着装しているパーテイを見かけました。時刻的に幸七尾根など特殊なコースではないようでした。実は過去に平坦な雪渓でアイゼンを履いて雪渓の崩壊に巻き込まれた死亡事故も発生しています。アイゼンを履いていると落石や雪渓崩壊など咄嗟の時の行動が遅くなります。傾斜の緩い所ではスプーンカットを利用することをお薦めします。初心者の方はアイゼンを履かないで歩くことにより雪の上を歩く感覚が体感でき、傾斜の強くなった所でのアイゼンワークも上手くなると思います。もちろんですが、傾斜が出てきたらアイゼンを履いて、ツアッケ(アイゼンの爪)を自分の足に引っ掛けない歩き方を練習することも大事なことです。滑落注意になるのは北股沢出合、アイゼンを履いたほうが楽になるのはホン石転ビ沢出合だと思います。アイゼンの練習はホン石転ビ沢出合からで良いと思います。
 またハーネス着装はロープを結ぶことが前提になります。コンテニュアス(同時登攀)は大変難しい技術です。ロープを結んでいたばかりに事故が大きくなったケースもあります。絶対の自信がある方以外はお薦めできません。スタカット(隔時登攀)の場合は、ビレイ(確保)する人がセルフビレイ(自己確保)を取るわけですので、落石があった場合に逃げることができませんし、確保されている人も逃げることができません。何よりも時間が掛かるので、リスクが高くなります。コンテも落石に対しては大きなハンデになります。
 人間を背負って搬送する場合やパートナーが亀裂に落下した場合ならロープが必要になりますが、一般論としては石転ビ沢のノーマルコースでロープを使うことは危険度を増すことになります。ルートの状況にあった装備が良いと思います。
 その後、私は一人でダイグラ尾根取付きにある桧山沢吊橋の状況を確認してきたが、工事はまだ行われておらず吊橋は空中ブランコ状態でした。
今回は登山道整備なので、林道終点まで車を乗り入れました
登山道に流水が来ないように施工します
いったん雪渓に出ました
落合(滝沢出合手前)から再び登山道に上がります
滝沢
梶川出合直下からは雪渓を歩きます
登山道の入口に黄布を付けました
梶川出合上流の大石(水場)
オバサンの岩が露出しました
ここから赤滝のへつりに上がって作業です
登山道は土砂で埋まっています
クワやスコップで土砂を取り除きます
刈り払いも行いました
きれいになって、足場が露出しました
お疲れさまでした
作業後の様子
下山途中で雪渓から拾ってきた倒木で作業
このあと皆は山開きの会場に向かいました
空中ブランコ状態の桧山沢吊橋
上部から見た吊橋と渡渉点の位置 この日は増水していました

おわり