登山者情報2,136号

【2018年07月30日/石転ビ沢遭難/井上邦彦調査】
 29日08:40、渡部隊長からメールが届いた。「石転ビ沢の北股岳方向で動けなくなっている登山者がいる」とのこと。ただちに県警ヘリ「月山」が小国署の救助隊員を乗せて現場に向かうが、気象条件が悪く断念。その後に防災ヘリ「もがみ」も現場に向かうが、やはり台風の影響の風で近づけない。梅花皮小屋にいた知人から届いた画像と、ヘリが上空から撮影した画像を見ながら、救助方法を検討。
 要救助者がいる岸壁の上部まで北股岳直下を横断し、灌木伝いに現場まで下降するのが第1案。要救助者が辿ったであろう小沢を詰めて岸壁下部に登るのが第2案である。両案とも未知のルートであり、間違いなく要救助者に近づけるか難しい課題である。隊長から各自登攀用具持参の指示が来た。
 隊員を厳選し、翌30日03:00小国警察署に集合。ヘッドランプを点灯して歩き出す。05:県警ヘリ「月山」が空港からフライト。05:30石転ビノ出合に着くと、タイミングよく「月山」も到着、直ちに救助作業に入った。私達は、岩に腰掛け、月山の様子を見上げる。
 隊員が下降し、要救助者を抱えて上昇すると直ちにヘリは高度を上げて現場から離脱。気流が不安定なうえ隊員が岸壁に接触するリスクを少なくするためだろう。要救助者がヘリに収容されたことを確認して、私達は帰途についた。
梶川出合 赤線は隊員が通ったルート(落石危険)、青線は登山者が通っているコース(こちらが良い)
石転ビノ出合
赤線は現在のルート これからは緑線ルートに変わっていく
要救助者(赤丸)と救助作業を行う「月山」
中ノ島(草付き)左岸側の小尾根が使えるようになったようだ

終わり