登山者情報2,138号

【2018年08月05日〜06日/小白布〜御西小屋:合同保全作業下見/井上邦彦調査】
 9月8日から10日までとして計画されている「飯豊連峰合同保全作業」の下見を行った。同時に御西小屋で販売するレトルトご飯の荷上げも行うことにしたが、14:00玄山道分岐集合なので、それに合わせて荷物の量を調整した。
 同時に2019年版山と高原地図の調査も兼ねて、小白布沢から横峰に出る作業道を通ってみることにした。ここは登山道ではなく、なにかと課題のある所である。飯豊連峰は長期間雨が降らず、どこの水場もきつい状況になっている。山麓でも、「暑いね、畑がからからだよ」が挨拶になっている。前回期待した台風も想像を絶するコースを辿り、こちらには雨が降らなかった。全線を伴った低気圧が近づき、天気予報に雨マークが出た。しかし低気圧と前線のコースは秋田県と山形県の境界付近、もしかすると飯豊連峰はまた降らないかも知れないという感覚もあった。
 05:00駐車場発。車道を下って鍵のかかっている林道に入ると、数人の登山パーティが先を歩いていた。沢で水を汲み、タオルを濡らす。05:52-06:04水場分岐で食事を取る。06:38長坂道に合流、ここからは下ってくる登山者が多くなる。06:54-07:01地蔵山を巻く途中にある水場で食事とする。07:11地蔵山から下ってくる道と合流する。07:38剣ヶ峰標柱。07:47水場分岐、ここの水場は渇れているし足場も悪い。
 07:52-08:08三国小屋で管理人の金子さんに挨拶をして食事をしていると雨が降ってきた。川端さんから電話がかかってきた。切合小屋にいるとのことで、昨年使用しなかった保全資材をどうするかとの相談。「担げる範囲で本山小屋まで上げて欲しいが、私は荷上げ品があるのであまり当てにならない」旨を伝えた。
 08:22駒返し、梯子と鎖があるが、3段目の梯子が壊れて取り外されているので、2段目の梯子は避けて左にルートを取るのが良い。08:40-45本降りになってきたのでカッパを着る。08:47七森標柱。09:09種蒔標柱
 09:27-36切合小屋で佐藤さん長谷川さんに挨拶しお茶をご馳走になる。大日杉から登ってくる登山道にはまだ残雪がたっぷりと残っていた。滑落事故が心配される。ホースから流れている水が細くなっていた。心配した保全資材はなくなっており、川端さん達が全て担ぎ上げたようだ。
 09:46-53草履塚の上りで食事、脇に雪がある。御西小屋の管理人をしている草刈君とすれ違う。管理食材を届けれくれた方を送るついでに保全資材を荷上げしようと、背負子を背負っていた。残念ながら川端さん達が全て担いでくれたことを伝える。
 10:13草履塚通過。御秘所で下ってくるパーティとすれ違う。全員が長いストックを手にして岩場の通過に苦労されていた。岩場では予めストックを使わないことが原則だと思う。またそのうちの1名は靴底が剥がれかけていた。下山するだけなのでこのままでも大丈夫だとのことだが、途中で酷いことになるのは目に見えている。直そうとしたが、私の私物缶に針金が入っていなかった!切合小屋で針金を調達して直すことを勧めて分れた。私の経験ではテーピングテープや紐はすぐに切れたり外れるので、針金が一番良い。
 10:48御前坂は想像どおりに風が吹き荒れていた。11:12一ノ王子の水場分岐標柱に沢山のペットボトルが括り付けられていた。トイレで使用する水が相当不足しているようだ。11:19本山小屋で川端さん達と合流し、時間調整をして出発。
 玄山道分岐に着くと、前日に登っていた柴田さんが待っていた。現場を確認し、全員御西小屋に向かう。御西小屋で伊藤さん堀さんを加え、楽しい夜となった。

 翌、08月06日はカッパを着て出発。時折、真面目な雨が降る。玄山道分岐の現場は登山道を水が流れ、観察するのに絶好の条件となった。思ったより登山道上部からの水は少なく、登山道の上に広がる斜面からの水が多いことに驚いた。
 飯豊山々頂でダイグラ尾根を下る柴田さんと分れ、本山小屋で皆んなと分れる。08:52一ノ王子水場分岐から水場まで下ってみる。下り2分、登り3分であった。晴れてきたので姥権現でカッパを脱いでいると、登ってきた亮さんとばったり。
 切合小屋に着いた途端、梶川尾根五郎清水で道に迷い沢を下っているという方から電話がかかってきた。正確な位置を確認するため、110番が119番に救助要請を行うことを勧め、小国警察署と救助隊帳の政信君に連絡する。政信君は別件の事案で山中におり、要救助者を無事発見したばかりとのことである。急いで小国警察署に向かってくれるとのことである。石転ビ沢で負傷し梅花皮小屋にいるという要救助者も気になる。
 三国小屋で金子さんに挨拶もそこそこに下る。12:14地蔵岳水場、途中で五郎清水の要救助者を門内小屋管理人の矢沢さんが助けてくれたとの連絡が入った。13:15-51作業道の水場でのんびりと食事をし、13:48林道終点の駐車場。13:57大規模林道に出て、14:05駐車場に戻った。
既に数台が駐車
橋の上から覗くと雪崩の跡が
林道を歩く先行パーティ
ここで林道は終わり
長坂道に合流する
北海道方式の保全作業がされていた
ロープで注意を促していた
よく工夫がされている
この水場も使えたが、何時もよりだいぶ細い
七森沢源頭部
この赤い岩から岩稜が始まる
磐梯山
岩稜を辿る
三国小屋から種蒔山方面を仰ぐ
昨年の施工箇所に標識
御沢(雪渓)コースはもう歩けない
大日杉小屋から来るコースは危険がいっぱい
切合小屋の水も細い
草履塚の登り、ここも保全の対象かな
水場の様子(6日撮影)
本山小屋内に貼り出されていた「法度」
お互いが気持ちよく山歩きをするために、気をつけたいですね
駒形山の標柱
玄山道分岐にて現場の打ち合わせ
ここに土のうを設置しては
この穴には登山道刈り払いで出た笹を入れたいね
翌7日、御西小屋を出発
草刈君が施工した所にイワイチョウが生育していた
こちらはナンブタカネアザミのようだ
雨が強くなり登山道に水が流れ出した
みんな「これで水の流れが分かる」と喜ぶ
上部から流れ込む水より、斜面から落ちてくる水が多い
草履塚近くまで来ると雨がやみ視界も良くなってきた
姥権現
御秘所を通る今回の出席者達
上の梯子は使わないほうが良い
作業道の途中にある水場 細いが出ていた

終わり