登山者情報282号

【新発田市:二王子神社〜二王子岳/1997年05月27〜28日高橋金雄調査】

今年の春は低温が続き、連日天候が悪い。今日は久方ぶりに天気が回復するという予報なので、登り始める。本コースは初見参だが、山中にしては二王子神社がずいぶん立派な建物なので驚く。
最初は杉林の中で、林床のシダがきれいだった。それが終わるとブナ林になるが、ホオの木やサワグルミ、イタヤ、トチなどの方が多く、あまりきれいでない。神子石辺りまでは沢の中なので水場の心配はいらない。
二王子小屋の水場は確認しなかった。今夜の酒のサカナ用にキノメ(アケビの芽)、トリアシショウマをすこし摘んでゆく。コシアブラを期待していたが、この上でももう開き切っていた。その後、ブナの二次林を登って定高山に着く。
定高山から上部もブナの大木は見られず、新緑はきれいだが、すべて二次林でがっかりする。ムラサキヤシオもなぜか少ない。林床のカタクリがきれいだった。
油コボシの先からようやくコース上に残雪が出てくる。登山者が多いためにトレースがしっかりと残り、道が分からなくなることはないようだ。ルート旗で誘導している箇所もあった。
3〜4箇所、雪渓上を歩き、二王子小屋に着く。3人ほどが休憩していたが、小屋の裏手の山頂に行ってみると、10人以上もの登山者がいた。今日は平日のど真ん中にもかかわらず、である。聞いてみると、二王子岳はいつもこんなもので、平日でも人が途切れることはない、と言っていた。新潟県人の登山意欲に驚くが、この人たちは仕事やっているんだろうか?とさえ思ってしまう。
ミネザクラが咲き始めの山頂からは、飯豊のパノラマが圧巻だそうだが、厚い雲に覆われて何一つ見えない。登山者が不満そうに下り始め、3時過ぎには誰もいなくなる。これは晴れそうにない、と思い、ビールを飲み、夕食を作る。小屋の水場は雪渓の下だったので、雪を溶かして水を作る。
夕暮れ間際、外に出ると、ようやく厚い雲が切れ始め、三脚をセットして撮影の準備をしていると、あっという間にガスが切れ、雲海上に北股岳、大日岳が顔を出し、そのうち、全山が姿をみせた。素晴らしい眺めではあったが、どうもいまいち、すっきりしない。パノラマが広すぎてまとまりがつかないという、ぜいたくな悩みであった。