登山者情報290号

【梶川尾根〜丸森尾根/1997年06月14〜16日/高橋金雄調査】
湯沢峰まで、尾根上に残雪はもう見られなくなった。所々にヤマツツジの深紅の花が彩りを添えている。滝見場手前の鞍部でちょこっと雪上を歩くが、問題はない。林床のカタクリがきれいだった。女性の中高年二人連れがコシアブラを摘んでいた。滝見場からは梅花皮大滝はもちろん、石転び沢、梅花皮岳、北股岳と、残雪豊富な山々が良く望め、すばらしい。石転び沢を登る登山者が大勢確認できた。中ノ島もみえるが、登山者は中ノ島右手(北股岳側)の雪渓を登っているようだった。
残雪がある窪地を進み、梶川峰への急登に取り付く。雪渓がぐんと増え、何度か雪上を登る。登りの際は問題ないだろうが、下りではスリップや下り過ぎに注意が必要だろう。所々目印のテープが残されている。
五郎清水分岐の広場には雪はなく、すぐわかるが、水場に行くには急な雪渓をトラバースする必要があり、極めて危険な状態で、まだ利用不可。降り口には木の枝で×印がしてある。
再び急な登りが続き(雪道もあり)、ミツバオウレン、コシジオウレン、ショウジョウバカマなどを見ながら、ダケカンバの樹林限界に出る。ダケカンバはまだ新緑の装いで、残雪の眩しい北股岳や梅花皮岳を背に、美しい。
傾斜がぐんと緩み、間もなく梶川峰に着く。その先のケルンのあるピークには、ハクサンイチゲ、ミヤマキンバイが咲いていた。正面、左右に飯豊の山並みを見渡しながら扇の地紙に着く。ミネザクラはそろそろ終わりかけていたが、ハクサンイチゲ、ミヤマキンバイの大群落を愛でながら門内小屋に入る。このころはガスっていたが、夕方、ガスも切れ始めたのでギルダ原へ行ってみた。ここもハクサンイチゲ、ミヤマキンバイが咲き揃い、すばらしい眺めを堪能できた。梅雨の晴れ間と週末が合わさって、小屋の同宿者は約20名程度だった。水場は雪渓で埋まっているので、門内池付近の融雪水を利用(一応、煮沸させたほうが無難)。
15日。天気がまだ持ちそうだったので今日は頼母木小屋までののんびり行程。扇の地紙から稜線の道を行く。稜線東側の約10メートル降りたところにも道はあるのだが、今はまだ雪渓の下である。こっちのミネザクラはほとんど咲き終わり。
地神北峰から頼母木小屋方面へ下ると、そこも一面のお花畑で、ハクサンイチゲ、ミヤマキンバイはもちろん、ハクサンコザクラもかなり咲いていてびっくりした。ヒナウスユキソウのはしりも見られた。
頼母木小屋。さすがに日曜の宿泊者はいなく、昼頃、足の松尾根を下るという単独の人が下山すると、その後、だれも来なくなる。トイレはカギがかかって使えない。水もまだ引いていないので雪渓の雪を溶かして使用する。
16日。昨日からあまり撮影には向かない高曇りではあるが、なんとかなると大石山まで行ってみる。大石山山頂はすごいハクサンイチゲの群落で、山頂部の西半分が真っ白の状態だった。昨日の単独行者の話だと、エブリサシ岳山頂は、一番上がイワカガミの赤で、そのわずか下がハクサンイチゲの白、面白いドーナツ状の縞模様が見られたという。
小屋に戻り下山する。
地神北峰の分岐まで登るのが面倒なので、山頂手前から左手の雪渓と草付きを伝って丸森尾根に合流する。2箇所ほど雪渓上を下って丸森峰に着く。ここの雪渓はスリップの危険はそれほどないが、ガスっていれば下りすぎる恐れがある。
丸森峰から先はすぐに灌木帯に入り、展望がなくなる。
途中、雪崩が原因(?)で、植生がこわされ、広くザレ場が剥出しのところがある。ここは滑りやすく、注意が必要だ。ロープを張るとか、足場を切るとか、なんらかの整備が必要だろう。
再び樹林帯を下り続ける。ヤマツツジやウゴツクバネウツギ、サンカヨウ、オウレン、シラネアオイなどを見ながら水場の標識に着く。右へ10メートルも行ったところにゴンゴンと融雪水が流れている。その後、天狗平までは残雪も皆無で、夏と変わりなく下ることができた。