登山者情報324号

【1997年11月02日/蒜場峰/井上邦彦調査】

前日朝、自宅周辺の山は真っ白、標高700mまで雪は降りてきた。夕方心配になり蔵王のJZKに無線で相談、彼のペンションスイスは積雪なし、温泉で2〜3cm、標高1,300mで20cm程度とのことである。更にBCRと有線で確認する、本日20人程度が蒜場山に登山、烏帽子岩から雪が出てきて山頂は約20〜30cmの積雪の情報を得る。今夜の新雪が心配だが、屋根を打つ雨が止んだようだ。小学4年生の崇史の同行を決め、履き物は長靴とする。02日、06:10自宅発。加治川ダム駐車場には便所もある。偶然に周藤氏と会う、登山道工事器材の撤収に登るという。07:50駐車場発。ダムの提体上を渡ると、登山者カード記載箱がある。いきなり階段状の急な坂を登る。110m程登って右の尾根上に出る。梶川尾根を登りなれている身には、さほどの傾斜ではない。鉱山跡や鉄路の跡がある。視界が広がり駐車場が見下ろせる。途中の船窪状地で道に柵があり左に上がる。雑木に杉が混じる。08:37〜44、740mで休憩。さらに急登を詰めると、林も雰囲気が良くなっていく。道脇に雪が出てきた、崇史は雪だるまを作る。

09:19〜23、930m岩岳山頂の標識。目の前に烏帽子岩・山伏峰へと痩せた主尾根が続く。

降りきった鞍部右手のブナ林にブルーシートでつくられた小屋があった、周藤氏の言う作業器材置き場であろう。崇史がヤマグルマの耳とナナカマドの目を付けた雪兎を作る。

新潟東港の煙突と海岸線が見えてきた。簡単な鎖場を越えて、10:02〜09烏帽子岩山頂に立つ。標識があり見晴らしの良いピークだ。

雪が次第に深くなり、先人の踏み跡が一本の道となって伸びている。

10:51、登り切った所に山伏峰と標識がある。ここが山頂かなと思って登ってきただけにちょっぴり残念。さらに騙しピークを越えて、11:00に1,363mの蒜場山頂に到着。既に大勢の登山者が思い思いに陣取り、久しぶりの小春日和を楽しんでいた。我々もストーブを出し雪を溶かしてスープを沸かす。飯豊の主稜線は残念ながら雲に隠れていた。

帰り支度をし降り始めて、何気なく振り返ると、大日岳の頭が出てきた。急いで引き返すと、見る間に大日岳から北股岳に至る主稜線が姿を現してきた。

大日岳を望む
北股岳とオーインノ逆峰

12:00タイムリミットである、下山を開始する。12:07山伏岳で左に大きな尾根を分ける。12:30〜35烏帽子岩から見下ろす俎倉山は迫力がある。12:55〜13:11、下越山岳会の資材置き場で須藤氏と会い話し込む。付近の巨杉は天然杉だと聞き驚く。飯豊の他地区では見かけない風景である。13:20岩岳通過。14:12駐車場到着。
その後、湯ノ平温泉に向かう。すれ違う車の数は凄まじい。遊歩道に入っても日帰りの方とひっきりなしにすれ違う。飯豊川の清流に紅葉が映り、真っ白な高峰が切り立った渓谷の奥から顔を覗かせている。湯ノ平山荘に着くと杉原氏が出迎えてくれた。早速、缶ビール片手に崇史と露天風呂に飛び込む。程なく掛橋氏や二瓶氏も到着、熊汁と鮪の頭をつまみに乾杯と相成った。なお、当日杉原氏から二王子岳遭難事故の話を聞く。

【1997年10月30日/二王子岳遭難/新潟日報+杉原】

10月26日新発田駅からタクシーで入山し、17:00まで迎えにきてくれと頼んだまま下山しなかった登山者がいた。彼は山頂から最後に下山をした。29日、六合目付近において雪の積もった登山道で冷たくなっている男性を発見した登山者が、アマチュア無線で通報、新潟県警ヘリが収容した。推定年齢60〜70歳、ザックには「東京阿佐ヶ谷堀」の名前があり、軽装で防寒具やテントは持っていなかった。

蒜場山頂より二王子岳