登山者情報356号

【1998年07月05日/飯豊連峰山開き:梶川尾根〜丸森尾根/井上邦彦調査】

昨夜の雨も上がり、集合したAコース2班の顔も明るい、ストレッチで身体をほぐして出発。オオコメツツジの咲く急坂を順調に登る。滝見場から石転ビ沢を覗き込むと、黒滝付近に大きな穴が空いている。草付き(中ノ島)は全て露出し、小屋直下に僅かな雪が残っている程度だ。
滝見場から石転ビ沢


再び急坂に喘ぎ、五郎清水となる。皆で水場に下る。手が痺れるような冷たさである。戻る途中で誤って土砂崩れ跡に入ってしまった方が数名。間違う人が多いので踏み跡がしっかりついてしまった、ロープで誘導する必要があるかもしれない。
マイヅルソウ・カラマツソウ・シロバナニガナ・ツクバネソウ・ヨツバムグラ・ヤマトウバナが咲く中を登り、三本カンバ(俗称)で一息を入れる。残念ながら主稜線は雲に覆われている。ミヤマコウゾリナが美しい。
トットバノ沢源頭の草地には、僅かに雪が残っており水も取れそうであるが、それもあと1週間程度が限界だろう。ここの水場は足場が良くなく利用できる期間も限られているのでエアリアには記載していない。
ひと登りで梶川峰標柱に至る。このあたりから雲の中に入ったが、足元に展開する可憐な高山植物鑑賞会となった。蔵王から参加した草苅さんが花に詳しく、私のつたない説明をホローしてくれた。ヒメサユリが登山道を包み込み、ニッコウキスゲが鮮やか、思いのほかハクサンシャクナゲが多い。他にはゴゼンタチバナ・アカモノ(終わりかけ)。ケルン(俗称)付近には、チシマギキョウ・ハクサンフウロが風に揺れていた。のんびりとお花畑を楽しむ。トキソウ・ヨツバシオガマ・クチバシシオガマ・ミヤマリンドウ・タカネニガナ・チングルマ(終わりかけ)・マルバコゴメグサ・イワイチョウ(終わりかけ)・イワカガミ・ウラジロヨウラク・ガクウラジロヨウラクキソチドリ(?)。
扇ノ地紙で
LFDとOTJが、ギンギンに冷やしてくれていた缶ビールとかき氷をいただく。アオノツガザクラを見学に行った方もいたようだ。次の班が登ってくる頃に、身体が冷えてきたので出発。稜線ではコキンレイカ・マルバシモツケ・ミヤマダイコンソウ(終わりかけ)が咲いていた。イイデリンドウを1株見つけたが、雲の中なので微かに綻んでいる程度、それでも皆ミヤマリンドウとの違いは確認できた様子であった。
地神北峰から下り始めた途端、風は止み視界が広がってきた。チングルマ・イワカガミ・イワイチョウ・ミヤマキンポウゲ・モミジカラマツ・ニッコウキスゲ・ミヤマキンバイが咲いている。丸森峰直前の休み場でザックを降ろす。水場には僅かに雪が残っており、多少濁りはあるものの使用できた。付近にはハクサンコザクラ・ハクサンオオバコが咲いていた。気がつくと休み場の左手(上から見て)の小沢にも残雪があり水が取れた。共に後1週間程度で使用できなくなると思われる。トットバ沢源頭と同様にエアリアには記載していない。後はひたすら下る。1,030mの水場も多少温度が温いが十分使用できた。
標高700mピークから岩場となる。眼下に飯豊山荘と天狗平ロッジの屋根を見下ろして、ぐんぐんと高度を下げる。そろそ足が思うように動きにくい方も出てきた。最後の水準点で班員を確認し、急な木の根坂を一歩一歩下る。無線連絡があり、途中でザックからコップを出す。登山口では、体調を崩した方をサポートして先に下っていたMXLが、冷た〜いビールを抱え、笑顔で迎えてくれた。A2班の皆様、お疲れ様。

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