登山者情報388号

【1999年03月7日/百石山/井上邦彦調査】
05:30に目が覚めてふと山を歩きたくなった。地図箱を開けて百石山に決め、概念地形を頭に入れる。緊急出動箱から私物缶と合羽・ワカン・ストックを出し、車に乗り込む。伊佐領地内で山の様子を遠望し、大まかなルートを決める。初めての山であるが、雪があるので何処から登っても問題はないだろうし、雪崩も出尽くしているようだ。駐車スペースを考慮し、伊佐領小学校から登り始めることとした。
百石山

百石山は国道113号線沿いのすっきりとした山である。木内茂雄さんのホームゲレンデであり、話は良く聞いている。西側斜面は蕨園になっており毎年火入れがされ、草地となっており雪崩の多発地である。
06:08標高210mの伊佐領小学校を出発する。杉林に入るとツボ足となり、長靴にワカンを付ける。杉林を抜け、草地との境の沢から右手の斜面を登る。息がやや乱れ汗ばんでくる。350mで台地状になる、楢を中心とした薪炭林であり、アガリコとなったブナも散見できる。アガリコの切り口が高い所にあるのは今年の雪が異常に少ないことを示している。羊羚の足跡がやたらに多い。
アガリコのブナ

傾斜が次第にきつくなる、ワカンの爪を雪面に食い込ませ高貝式に蟹の縦歩きで登る。柴の間をスキーで滑った跡がある。こんな斜面をよくスキーで上り下りできるものだと感心する。もしかしたら齋藤弥輔さんかも知れない。那須野・齋藤さんは伊佐領小学校のOBであり、スキーの腕前も確かである。眼下の伊佐領集落の中を米坂線のディーゼル列車が走って行った。
06:51標高598mの山頂に到着する。振り返ると飯豊連峰が連なっていた。生憎と曇り空であるが、前景に邪魔の入らないまことにすっきりした姿である。木内さんの話から想像していたより遥かに素晴らしい。彼が通い詰めるのも納得が行く。
百石山頂から飯豊連峰
景色に見とれていると身体が冷えてきた。見下ろすと結構な急斜面である。ワカンのふたつの爪をしっかりと堅雪に刺し、ところどころ柴を掴んで下る。
07:16伊佐領小学校着。