登山者情報391号

【1999年04月18日/石転ビ沢/井上邦彦調査】

梶川〜石転びの予定であったが急用が入り、新発田市まで車を走らせる。

関川村バイパスから見た杁差岳
黒川村胎内から見た杁差岳(手前は胎内スキー場)

用事を終え、大渕の駐車場を出発をしたのが10:30 である。鎖で封鎖された車道を自転車で走り出そうとした時、私より早く歩き始めたご夫婦に右岸壁から轟音を発して雪崩が降り注ぎ、たちまち車道はデブリで埋め尽くされた。あっけに取られている二人、「早く逃げろと!」と私,「危機一髪」と驚いている二人に、「珍しい事ではないですよ」と私。この季節は雪崩などの危険があることを前提に行動することが必要だ。

車道を塞いだ雪崩

その後は小さな雪崩跡が2箇所あったが難なく、登り道は自転車を押して(変則付きの自転車だと楽なのだろうが)進む。天狗平まで全て舗装されたので楽なものである。おおふたがり沢からの雪崩跡はかろうじて玉川を埋めているものの、例年に比べればやはり小さい。飯豊山荘は今月(4月)28日からのオープンと聞いている。付近は1m程度の積雪である。28日以後はここまで車で入れるようになるだろう。湯沢から砂利道に入る。荷台に横付けしたスキーが時折雪壁を擦る。温身平の十字路付近に何台かの車が止まっていた、熊狩りが入山しているのだろう。

温身平のブナ林

11:12 下の砂防ダムで除雪道は終了。自転車を降り登山靴に履きかえる。積雪約90cm。4人程のパーティがが「やっと着いた〜」と降りてきた。聞けば昨日石転ビ沢から登った仙台パーティで、上部は一昨日(?)積もった新雪が腐り、40cmのラッセルだったとのこと。続いてスキーで軽やかに3人パーティが降りてきた。
11:23 山スキーを履いて出発。私のスキーにはうろこが付いているので緩傾斜ならシールなしで充分である。ブナシズク(清水)からの流水は使用できそうだ。11:36 上の砂防ダムは階段が出ていたのでスキーを手に持って越える。小沢から再びスキーを履く。下ツブテの登りもスキーを持って越える。小沢は例年どおりデブリで覆われている。下を見ると、先ほどのスキーヤーは下ツブテ石まで梅花皮沢筋の左岸を進み、ここで右岸に移り、下流のスノーブリッジで左岸に戻ったものらしい。下ツブテ石付近は薄いので私は遠慮しておきたい。山スキーで彦右衛門の平を進む。ウマイ水付近で水が取れそうだが、付近は雪崩の巣なので充分注意を要する。
12:;11 ババマクレの降り口は夏道が出ていた。スキーを脱ぎ、キックステップで沢筋まで降りスキーを履く。上ツブテ石から雪渓が始まっており、地竹沢迄の間には、数カ所穴が開き、雪解け水の音が周囲を震わせている。ここで対岸に渡り(まもなく薄くなる)地竹原に出ると、広々とした雪渓になる。今はどこでも歩ける(1週間後は保証しません、雪渓の変化は早いのです)。

地竹原

12:32 梶川出合通過。喉が乾き腹も空いてきた。12:35〜49 左岸の水場で飯にする。全コース中、安心して使える水場はここだけである(ここですらブロックが絶対来ないとは言えない、あくまでも相対的な安全度である)。ここから多少急になるので、スキーアイゼンを着け快調に登る。13:07〜14 石転ビノ出合着。

石転ビノ出合から仰ぐ石転ビ沢
門内沢を仰ぐ

山はやはり新雪が積もったらしく途中から色が変わっている。石転ビ沢雪渓には何本かの雪崩跡が確認できたがさほどではない。先程すれ違った仙台パーティのトレースが延々と続いている。帰るには早く、小屋まで行くには遅い時間なので、途中まで登ることにする。新雪部分まで行くと雪が腐ってきた。私はスキーなので問題はないが、彼らのトレースは20〜30cm潜っている。

ここから滑ることとした

13:44 大きな雪塊から降ることとし、登山靴を締め直しバンドで締める。スキーを脱ぐと登山靴のくるぶし上まで潜る。11:52 滑降開始、荷物は軽いのだがスキーが潜り、思うように曲がれない。それでも転ばずに何度かターンを繰り返していると、雪がしまってきてなんとか格好がついてきた。13:58〜14:09 出合で飯。出合の左岸から赤滝にかけてが現在雪崩の旬である。あとは楽しいスキー滑降で、14:17 上ツブテ石まで。彦右衛門の平に登り返す。多少息が切れ、ブナの根元で休憩。下ツブテ石付近のデブリ上を歩いていると、どこかで「トン」と軽い音がする。慌てて見上げると、上部の岸壁に白い煙が上がっている。危ない!降り走って雪崩道から外れ息を潜める。幸い大規模な連鎖崩壊はなかったようで、ここまではブロックも落ちてこない。安心して出発。イワウチワが咲いていた。右岸で大きな雪崩が発生、ビデオカメラで余裕の撮影。14:54 砂防ダム通過。ネコヤナギが黄緑色の光に包まれ、幻想的である。帰るのがもったいなくてペースダウンする。
15:02 自転車着。靴を履き替え、スキーを括り付けて、15:10 出発。帰りはずいぶんと楽である。15:19 湯沢通過。丸森尾根登山口は取り付きだけが雪に覆われ、何人かの下山者トレースがあり、マンサクが咲いていた。
15:43 大淵で自転車を車に積んでいると、倉手山に登ってきたというご夫婦、以前に雪の学校に参加し、私を覚えて下さっているとのこと。倉手山は半分くらいは雪道で、30人程のパーティがおりたいそう賑やかであったとのことである。倉手山登山口に、蒜場山や焼峰にあるような登山者カード箱が必要だなと思った。
帰途、片貝地内の水芭蕉を写真に撮っている何人かがいた。この場所は、片貝の案内看板の近くなのですぐ分かるだろう。