登山者情報400号

 【1999年05月22日/弥平四郎〜疣岩山/正木勲調査】

弥平四郎〜疣岩山〜巻岩山〜弥平四郎
1 弥平四郎より林道に入る鍵は、赤木さん宅に申し出て借りる。その時、登山届けノートに記載する。
2 登山口までの林道は、放水溝が横断していたり、荒れた所もある。ダートコースにつき、スピードは出さないこと。
3 駐車場は25台位、標高700mほどで見通しはないがセルラー(アナログ式)の携帯電話が使える。
4 この時期は吸血性の刺蝿(サシバエ)が団体で押しかけてくるので、早目に虫除けスプレーを使うこと。(全コースこの虫がいる)
5 コース
登山道は駐車場からいったん戻り、奥川へと下る。丸太の上に広い板が固定され渡りやすい。祓川山荘内への引水は良好。
(この先、十森の水場は雪の下)
崩壊地を三箇所ほど通過するが、良く踏まれ歩きやすくなった。急傾斜の雪渓が数カ所あり、軟雪なのでキックステップでの横断は可能。でも落ち着いて確実に。
シラネアオイ・カタクリに引き上げられ松平峠へ。標識(木柱)がなくなっている。稜頂の道となり、カタクリが登山道を埋めている。猪鼻の水場は、樹木に「清水→」と看板があるが、今は雪の下。
疣岩山頂まで夏道と残雪の繰り返し。急登部分にはなく歩きやすい。大日岳を望み、飯豊のパノラマに息を飲む。ツバメオモトを見ながら、上ノ越、八ツ小屋尾根と新緑の中。全体を通して例年より雪解けが早いため歩けたコース。ゆっくり休みながら8時間。

【1999年05月22日/弥平四郎〜疣岩山/四條とも子調査】

「飯豊の主稜が一望できるから」の言葉に、乙女のように心をときめかせ、前夜は寝付けなかった。そのためか体調が万全でなく、山と仲間に対して礼を欠くが、迷惑を承知で同行させていただいた。であるから、下山に関しての歩行時間は正確ですが、登りに関してはいつもの歩行より遅くなっています。
5月22日(土) 弥平四郎の赤木さんから鍵をお借りしてゲートに入り、登山口へのアプローチを楽しんでいると、程なく駐車場に着いた。身支度を整え、7時30分 M氏・O女史 と3人で歩き始めた。祓川山荘までのブナ林の黄緑色が、まばゆいほどに輝いていて、気が遠くなりそうだった。山に向かって合掌し、7時50分 祓川山荘に着く。
山荘は、ひっそりとしてはいたが、流し台から細く水が流れ、お手洗いも比較的きれいであった。ただ、その周りに群がる虫には閉口した。10分程休憩し、8時山荘を出発する。ブナ林を過ぎると水場があったが、十森の水場で汲むことにし、白やピンクの白根葵を愛でながら先を急いだ。急斜面だが3〜5m幅くらいの雪渓を越えると、地元の人達から「独活山」と呼ばれる山菜の豊富な所に出た。
名前のとおり、独活やウルイがそこ ここに自生していた。こりこりにされたコシアブラの木に、欲に満ちた人間共の姿が垣間見られ、ぞっとしたが、カタクリの花がゆかしく下を向いて咲き、キクザキイチゲの花がそれに彩りを添え、ツルリンドウの赤紫の実も鮮やかに人目をひいていた。ほっとした。
虫除けのスプレーを振り撒きながら、「これも環境汚染かしら」と密かに感じながら、口に出すことも制止することもはばかられた。それほど虫には参った。十森の水場は使えなかった。
9時50分 松平峠に着く。この辺りから展望が開けてきて、感動と共に少しの休憩をとる。足元のイワナシが、とても可愛らしい。
急な登りが続き息が弾むが,歩くごとにカタクリやキジムシロの群生が目に入り、花達に励まされながら自ずと重い体を運んでいる。少しの馬の背以外は危険個所はない。しかしさらさらと崩れ落ちる荒砂は、時としてバランスを失いがちになり、気を引き締めさせられた。その頃から土壌の変化によるのか、白根葵の花の色が濃くなっていた。人ひとり歩くたび、少しづつ崩れていくのをみると、近い将来、登山道の変化が懸念される。こころして歩いて欲しいと思う。
花に見とれながら、歩を進めていると、程なく猪鼻に着いた。別世界であった。三国岳〜種蒔山〜飯豊山〜御西岳〜大日岳と、眠れなかった元がそこに広がっていた。巨大な飯豊連峰の山容が現れたのだ。
11時30分、ほとんど夢心地で、地に足が着かない状態で疣岩山に立たせていただきました。何とも、形容しがたい畏敬を全身で感じ、身震いしていまった。飯豊は実に美しい山です。
13時30分、沢山の生気を自然界からいただき、例えようもない充実感を残して、巻岩山そして登山口分岐の上ノ越へ向かう。長い尾根歩きに、飯豊連峰が絶えず右に鎮座し、十分楽しませてもらえた。カタクリや舞鶴草が絨毯のように広がり、神々の「お渡り」のような贅沢を感じながらも、足の踏み場がない不自由さと、花を踏んではいないかと気遣う気持ちが交錯して、疲れた。
点描画のような木々の若芽の間から、しっかり存在を示す大日岳とわかれ、21時15分、上ノ越分岐に辿り着く。ここからはブナ林となる。透き通るように白いサンカヨウの花を見つけ、藪の中に咲いていた純白のツバメオモトを思い、タムシバのおおらかな白もステキ、と心の中で言ってみた。
濃い黄緑色が多くなり、里が近いことが分かった。3時30分 登山口着、合掌した。好機を与えてくださったM氏に心から、感謝し、敬意を表します。
疣岩山は、この時期、超お奨めのコースです。くれぐれも虫除けスプレーご持参で!実は私、右目が「お岩さん」状態です。