登山者情報492号

【2000年07月29〜30日/足ノ松尾根〜胎内尾根/小林元一<motoichi@ka2.so-net.ne.jp>調査】

メンバー4人:報告、小林元一
コース概略一日目 4.00、黒埼駐車場発--新新バイパス--加治川右岸R290--4.47、黒川村熊出から胎内スキー場方面へ右折--4.54、胎内スポーツセンター先から奥胎内へ橋を渡る-- 5.15、69.3k(340m)胎内ヒュッテ着、朝食の後、5.40出発、小雨。鍵の掛かったゲートを横目に林道歩き--6.27(440m)足の松尾根取り付き。雨足やや強くなるが、最初は樹陰なのでそのまま歩く--7.12、見晴らしのいいやせ尾根の稜線に出る--7.20(740 m)姫子の峰--7.47(790m)コメツツジ・ハナヒリノキ・リョウブ--7.50(800m)--岩場で「萩」の花発見--8.10(880m)滝見場。ヤレヤレと降ろしたザックの脇に丸々と肥えたマムシ。一応ゆっくり動いて頭を薮に入れたが、尻尾をザックの脇に残したままでこっちの様子を見ている。我々が出発するまでそのままで見ていた。ノリウツギ --8.43(970m)水場の標識、ポリバケツは置いてあるが水は引いてない。雨降り続く。ホツツジ--8.57(1,000m)チゴユリ・マイヅルソウ・ミドリユキザサ--9.05(1,030 m)水場「約80m下る」の標識--鞍部を越えて登り、ツルアリドオシ--9.52(1,320m) 雨量計の櫓、雨は上がり、A氏、パイプで組まれた櫓に上がって裸でくつろぐ。見晴らしよし、明日の予定の胎内尾根が二つ峰から滝沢〜池平と目の前に見える--10.43( 1,450m)風の通る稜線、頼母木小屋がよく見える。ミヤマクルマバナ

10.48、大石山 (1,567m) 快い風、晴れ〜薄曇り 11.07、大石分岐出発、すぐ素晴しいお花畑。ヒメサユリ・ニッコウキスゲ・イブキジャコウソウ・タカネマツムシソウ・ハクサンフウロ・ハクサンシャジン・ハクサンオミナエシ・ミヤマコウゾリナ(黒い萼・葉や茎に白っぽい毛)・マルバダケブキ・シラネニンジン・ミヤマナデシコ・クルマユリ・ヤマユリ・ナンブタカネアザミ・シナノオトギリ・クモマニガナ・シロバナクモマニガナ・ヒナウスユキソウ(既にやや遅かった)・ハクサンイチゲ・キンコウカ・ヨツバシオガマ・ヤマハハコ

11.50(1,630m) 頼母木小屋到着。昼食、ビール、冷たく豊かな水。日差し強く、日陰で憩う。12.45、頼母木小屋出発- -イイデリンドウが、もう「ヤンなっちゃう」位沢山ある。ミヤマホツツジ・ミヤマコゴメグサ・ミヤマクルマバナ・ミヤマウツボグサ・マルバシモツケ--頼母木山山頂、お地蔵さまと記念写真--13.35(1,790m)地神北峰(丸森尾根分岐)--14.05(1,849 .6m)地神山、ゆっくり休憩--15.00(1,889m)扇の地紙(梶川尾根分岐)--15.25(1, 887m)門内岳テント場着(計画では、14.10)、ミヤマキンポウゲ・ヤマハハコ・イブキトラノオ。好天に誘われテントの外で夕食。肉のにが手なB氏がみんなのために味付け肉を用意、たっぷりの玉葱と一緒に焼きたてをほおばる。帆たて炒め・レトルトチャーハン。18.30過ぎ、はるか白馬にいる筈の友人にケイタイのテスト通信、残念ながらダメでした(相手は村営頂上宿舎のアナボコのテント場にいたらしい)。19 .40、テント内に入る20.00頃就寝

2日目 12.20頃、美しい星空をみる。4.00起床。ご来光4.20-- 5.10、門内岳山頂出発。いよいよ、胎内尾根に足を踏み入れる。最初から道は笹薮に隠れて見えない。一歩一歩足で探りながら下るが、岩があったり、木の根があったりで、大きなザックを背負ったまま、ウシロにひっくり返ったり、横に転がったり--5. 30(1,790m)小さなピーク--次第に薮が深く手強くなる。沢状の水の流れた跡か、踏み跡か、またはどちらでもないか?覚悟を決めて薮に突入するしかない--5.55(1,640 m) ヒメサユリ・ミヤマコゴメグサ・チングルマ・イワイチョウ・ウメバチソウ、竹薮にセンジュガンピが増える--6.50(1,620m)猛烈な薮を漕いで小さなピーク着--7 .10(1,600m) 少し、楽になったと思ったとたん、トップで薮をこいでいたC氏がウワ〜ッと叫ぶ。泥沼に片足を踏み込み膝下までもぐってしまった。これを引き抜くのに少々手間が掛かった。少し行って今度はトップを代わっていたA氏があっと声を上げる。小さいが深い水溜まりに足を突っ込んだ。薮に覆われた道の真ん中で、まるで「落とし穴」。二つ峰を目の前にして稜線右下に雪渓が見える、おそらく「藤七の池」と見てそこを目指す。--7.25(1,600m) 藤七の池(?)到着。池の水面は見えない。二の峰が目の前にど〜んとそびえ立つ。大きな雪渓がようやく解け始めて下部に草花の芽生え。ハクサンコザクラを4〜5株見ることができた。他に、ショウジョウバカマ・コシジオウレン。まず、A・Cの両氏、雪解け水が音をたてて流れる小さな沢で、靴を洗う。まぶしい朝日がさんさんと降るなかで、朝食。パン・サラダ・コーヒー。

8.20、藤七の池出発-- 雪渓から踏み跡を見つけることができず、強引に斜面に取り付き、薮をこいで尾根に出て(*ここで小林、汗を拭こうとして眼鏡のないことに気付く。藤七の池で置き忘れたか、薮で顔や足や全身をビシバシやられているうちに失くしたか不明。これが、金額もさることながら、結果的に、日中は、別に度付きサングラスを持参していたのでそれを使ったが、日没後、ヘッドランプで道なき道を下山するに当たり、足下がよく見えず、大変な負担になった。)二の峰の急登にかかる。針金・鎖の急登の道に出る。鎖の脇に、コメツツジ・ミヤマコゴメグサ

9.00、二の峰山頂、今、あの(遠くあちこちからタメイキ混じりに見ていた)鋭峰の頂点にいると思うと足が震える(計画では6.30着)--9.27(1,550m) 一の峰と二の峰の中間の小さなピーク。薮のひどさはこれまでに勝るとも劣らない。日差しはいよいよ強くなる。尾根の右端に寄ると薮は楽になるが、半歩間違えば断崖絶壁を踏み外して命はない--10.0 0(1,548m) 急登を登り切って一の峰山頂。赤とんぼの乱舞。ミヤマママコナ--下り始めてすぐ、「もしかしたら?」がホントになった!刈払いがしてある! ここから先は、マトモな道が歩ける!刈られた笹や、木の枝が道に敷いたようになっていて滑りやすい。しかし、薮に比べたら天国天国。--10.34( 1,440m) 雪渓下で沢水のとれる鞍部--10.50鞍部から少し登って、平坦な歩き易い道が続く--11.20カンカン照りのなか、2回、ニセ山頂にだまされて歩き11.40(1,361. 4m) ようやくホンモノの滝沢峰三角点到着(計画では8.30)

--11.50頃、鞍部、木陰にテントで昼寝をしている人あり。立ち止まって、起こしちゃ悪いと思案していると、当人が起きてこちらを振り向く。「もしかして、刈り払いをして下さった方ですか?」「ええ、まあそうです」。すごい!(インターネット情報でこの人の存在は聞いていて、もしかして?との期待はあった)山中で天狗に出会ったような気分!中条町の人で、特注のストック兼用の頑丈な草(小低木)刈り鎌を持ち歩き、昼前まで仕事?をした後、ビールを飲んで、3時頃まで昼寝を楽しむのだという。昨年、一の峰まで刈り払いをしたと言っておられた。改めてお礼を申し上げる--12.00(1,300m)カモシカ岩--まるで、極楽から下りてきた一本の雲の糸の様に、天からほぼ垂直にロープが下がっている。有難い。慎重に登って--12.20(1,262m) 郷倉山山頂。既に日は真上にあり、暑さはピークを迎える。この山頂は遠くから見るとワリとこんもり丸く見えるが、実際には意外と巾が狭く、見晴らしはいいが、強い日差しから逃げようもない。

ここでA氏、「極度の疲れ」あり、と、思う間に、腹部を含む下半身痙攣がどんどんひどくなり、波状的に襲う痛みにのたうちまわる苦しみよう。これが、熱中症のうちのおそらく「熱痙攣」または「熱疲労」と、後で調べて推定。高温・多湿・無風状態で、多量の発汗の後、水分の摂取のみで、血中の塩分が急激に低下した場合、筋肉の痙攣・全身倦怠等を引き起こす。脱水状態の人・アルコール摂取者・高齢者などが要注意。スポーツドリンクが有効と、アトで分かった。折り畳みの傘をさして、辛うじて小さな日陰を得る。ヘリを呼ぶことも検討したが、15.30まで、3時間10分の休憩の後、少なくとも木陰までなんとか移動出来そうとゆっくり歩き始める--16.45(1,040 m) カマボコ小屋のある、雨量観測所--17.10(1,024.8m) 池平峰(計画では11.30 、5.40遅れ)--急下りを時間をかけてゆっくり下る。この辺りから、昼寝の後、下山してきた「天狗」様が追い付いて、同行して下さる

18.30、極度に疲れたA氏、「天狗」様にこの先の道の状況も聞いた上で、相談の結果、下山を断念、ここでテントを張り、1名が付いて泊ることとする。18.50 下山の2 名、夜道を覚悟、「天狗」様にガイドして貰うことにして出発--五葉の峰--19.20頃、ヘッドランプが頼りの歩きとなる。ヤセ尾根、踏み外すと危険と「天狗」様から「眼鏡をなくした初級登山者(小林)」に注意--19.35「天狗」様の案内で「近道」に入る--足場の無い急斜面を木に掴まりながら必死で「天狗」様の後を追う。天狗様のヘッドランプが見えなくなると回りは真っ暗闇。怖い。--途中、天狗様に頼んで小休憩、ヘッドランプに赤とんぼがしつこく、離れないのでやむなくつかまえて握りつぶす(南無阿弥陀仏)--20.10、ダム工事現場に近い林道に降り立つ。あ〜無事下りることができた!

それにしても、ヘッドランプの重要さ。「例え簡単な日帰りでも、すぐ使えるよう準備すること」と改めてシッカリ教わりました。トンネル手前で美味しい水を何杯もお代りして飲む--トンネルをくぐって、星空を見ながらの林道歩き。「天狗」様の「飯豊よもやま話」が楽しい。

20.45、胎内ヒュッテ前駐車場着。厚く感謝の気持ちを伝え「天狗」様と別れる--21. 35、胎内スポーツセンター着、関係先へケイタイで連絡--22.50、黒埼駐車場着。

下山途中で泊った2人は、翌朝、新潟から、迎えに行ったB氏と、見晴らし台で合流。 3時間かけて無事下山。月曜日8.30頃、胎内ヒュッテ前駐車場に到着しました。