登山者情報505号

20001007〜09/石転沢〜烏帽子〜御西〜文平池/木内茂雄調査】

メンバ− 行き:高橋、関、木内  帰り:行き+ゆきみ山の会3名、アル中会等3名(計9名) 
タイム  
(10/7)温身平砂防ダム7:30→8:10ウマイ水清水→9:25石転出合→11:10黒滝→12:05梅花皮小屋                  
(10/8)梅花皮小屋8:30→8:55梅花皮岳→9:20烏帽子岳→10:05御手洗ノ池→11:35御西小屋12:00→文平の池(ピストン)→13:15御西小屋13:25→14:25御手洗ノ池→15:45梅花皮岳→16:10梅花皮小屋
(10/9)梅花皮小屋9:00→9:40黒滝→11:20石転出合11:55→梶川出合→14:10温身平砂防ダム

記  録
(10/7)週間天気予報は今日と明日はまずまずの具合だが、明後日は曇りか雨のようだ。当初、ダイグラ尾根を登って梅花皮小屋に回ろうという計画も有ったが、石転沢コ−スとなった。
今回の目的は飯豊連峰の紅葉狩りと、来る冬に備えての小屋終い整備である。そのため、この3人のメンバ−となった。砂防ダムよりブナ林を歩き始めるとキノコ採りの名人S氏
の目が四方に配られ、めぼしき楢の木が有ると身のこなし良く藪に入って行き、今晩のおかずのマイタケを採って来る。大量では無いがまずザックの中に収まった。天気は良く申し分ないが、すでに秋だというのに暑く汗をかく。そして、キノコを採る木も無くなり、梶川出合も過ぎ、高度を稼ぎ、やがて、石転出合に着いた。
辺りの草木はまだ青いが、上部を見上げると赤く、或るいは黄色く色づいているものが見える。うまくすれば、稜線はもっと紅葉しているだろうと期待した。
それから、2週間前に来た時雪渓は大分残っていたが、間もなくズタズタに寸断するだろうと予測した。しかし、驚いた、まだタップリと残っているのが見えるので、カメラに収める。唯、前回は門内沢の雪の上を渡って、石転沢に降りたが、今回は雪が大分減り、水滴が落ちる小さなスノウブリッジを潜り抜けて、石転沢に出た。今シ−ズン何回も通過した飛び石で右岸に渡る。そして、夏道を雪渓末端まで進む。途中、雪解けを待ってうて遅れたイワイチョウがまだ咲いていた。雪渓の末端は2週間前に比べ、いくらか上になったかなあと思われる程度の減少にしか感じられない。
私は4本爪のアイゼンを付け、T氏はそのまま何も付けず、S氏はスパイクの地下足袋と各人まちまちの出で立ちで雪の上を歩き出した。
途中、予想した通りクレパスが大きく口を開けている処が数カ所有った。覗いて見ると5、6メ−タ−下で閉じている。それから推測すれば、まだ10メ−タ−以上は有るだろうか....?。
クレパスを避けながら登ったが1カ所は少しジャンプして渡った。その他にも少し厳しい箇所も有った。それでも、黒滝の直ぐ近くまで雪の上を歩いたので、此の時期としては楽に登れた。後は踏み慣れた夏道なので、一ピッチで梅花皮小屋に着いた。
夜までに宿泊客は三〇名位になった。我々には峡彩山岳会のメンバ−三人が合流して、その夜は“山形名物 :芋煮”で楽しい晩餐となった。

(10/8)朝から高曇りであるが、一日天気はよさそうだ。
S氏はおういんの尾根を下りマイタケ採りに、私は峡彩山岳会のY嬢と二人で御西小屋及び文平の池まで紅葉狩りにと出かけた。
最初の梅花皮岳は昨日の“大晩餐会”の名残があり息切れがする。S嬢と花の話をしながら、或るいは辺りの紅葉の具合を見ながら歩調を整える。
S嬢はこのコ−ス初めてとのことなので、梅花皮のピ−クで記念撮影をしたり、一望出来る御手洗ノ池、御西小屋、そして本山、大日岳を説明する。
梅花皮岳から烏帽子岳への起伏は大したことが無く進み、烏帽子岳のピ−クも過ぎ、その先の小ピ−クを周り込む様になり、登山道は右に行く。此処で左にクサイグラ尾根が延びているが、今はほぼ廃道となっている。私は此処の風景が一番牧歌的で気持ちを和ませてくれるといつも思う。
道を右にとり、一気に下り、後はなだらかな起伏を稜線漫歩気分で歩く。やがて、道の両側が狭まった処を少し登ると、左横に突然御手洗ノ池が現れる。此処も紅葉が始まっており、後ろを振り返り烏帽子岳をバックに池を撮る。
一休み後、迷うこと無い一本道を天狗の庭へと向かう。大きな起伏は無い道を進んで行くと途中、左斜面で脆い岩場がある。其処のスッテプが少し丸くなっていて足場の確保に緊張を強いられる。特に帰りは下りになるので要注意である。其処を過ぎ少し登りになると天狗の庭となるが、今は雨水で浸食がひどいため、右の這い松帯を登る。途中、左に開ける処があり、一段下に前上がりの緩やかな広い斜面が見える、これが天狗の庭である。昔の標識の支柱で有った倒れた丸太に気づけば此処かと思う。更に這い松帯を5分も登ると道は左に20メ−タ−位下り、左から来る旧道にぶつかり、其処を右に進む。
この辺りは、左前方遠くに本山がそそり立ち、頂上から左に起伏が多く、長いダイグラ尾根が延々と下っているが真正面に見える。そして、その山肌は紅葉が既に始まっていた。
そんな風景を見ながら或る山肌を右に回り込むと、向こうから御西小屋が目に飛び込んで来る。間もなく小屋に着くと、周辺には大日岳をピストンして来る登山客で結構賑やかであった。
私達も一休憩して文平の池をピストンする。小屋から大日岳方面に5分も下ると辺り一面チングルマの見事な紅葉である。その素晴らしさは添付した写真では表現出来ない。更に少し下り2.3回起伏を繰り返すと右下約30メ−タ−の処に待望の文平の池が見え
た。
登山道から離れ、其処に下って行くと途中にナナカマドが真っ赤な実を付けていた。その実を脇に置き目の前に池、遠くにそそり立つ大日岳という背景は本当に“絵”になる。私も池に降り立ち、暫しその風景になりきる。人、一人来ない池の畔で辺りを見回すのもまた格別である...........。
帰路は省略するが、行程の途中で狂い咲きなのか、咲き遅れなのかミヤマキンバイ、ハクサンイチゲ、ミヤマキンポウゲ、モミジカラマツ、ハクサンボウフウ、ナデシコ等が咲いていた。
それから、梅花皮小屋と無線交信していたら、一寸した事件が発生していた。内容は、「石転沢に置きっぱなしのザックが一つある」と登山者から通報があった。そこで誰か遭難者ではないかと大騒ぎになった。おういん尾根から戻って来たS氏が石転びを降りザックの処に行き、小屋からは警察に連絡をとり判明した結果は、「今年の7月に親子連れで石転びを登り落石で子供が怪我をした。その時の物であった。」その時、救助で持ち帰れなかったかもしれないが、そのまま放置とは人騒がせの話である。
それから、夜の管理人室は来客で大盛況であった。(峡彩山岳会、ゆきみ山の会、アル中会、明大の這い松研究グル−プ、村上市のI氏、等10数名で室は、はちきれんばかりの状態であった。)

(10/9)今日は小屋終いの準備をする。昨日の来客も含め全員で小屋の清掃、水洗トイレの水抜き、及び施錠をした。《小屋の周囲は前日行ったがかなりのゴミであった。マナ−の悪さに驚く。》
来年の小屋開きまで非水洗のトイレのみである。それから2階の冬用入り口の鍵を開けた。1階の入り口は10月末頃には施錠するので、それからはハシゴで2階から入ることになる。
一通り整備を済ませ、各人、各々のル−トをとり下山開始したのは9時であった。我々は9名で石転びを下山した。二日前のコ−スを辿ったが雪渓の状態は悪化していた。来る時は飛び越えられたクレパスも、一箇所は完全に駄目で一度ガラ場に降り、雪渓に上がり直したし、もう一カ所は無理して飛び越えた。唯、同行の女子達は無理であった。これからの雪渓は、ますます状態は悪化するので慎重に行動することである。それにしても、今年の残雪の多さにはたまげる。
尚、途中にはタニジャコウソウ、ヒヨドリバナ、オチクラブシがまだ咲いていた。 

石転ビノ出合から石転ビ沢 石転ビ沢のクレバス
チングルマの紅葉 チングルマの種
御手洗ノ池と紅葉 烏帽子岳付近の紅葉
烏帽子岳と北股岳を振り返る 文平ノ池と大日岳
オトミ雪と大日岳