登山者情報514号

【2001年03月11日/大舘山偵察/井上邦彦調査】

飯豊町の白川荘でおこなわれる山田守氏の祝賀会に参加することになったが、せっかくだから付近の山を歩いてみることとした。白川荘に最も近い山ということで、大館山(674m)を選んだ。山形国体の踏査競技が行われた山で、その頃に何回か審判員として登ったことがある程度だ。地図を見ると、白川荘から平坦な尾根が大館山まで延びている。
08:00過ぎに自宅を出発、白川荘を通り過ぎてから右手の宇津沢集落へと入っていくが、凄い雪壁の間を車は進んでいく。この時期の山歩きで最大の難関は車を止める場所の確保である。変なところに止めたら、除雪作業ができなくなり大騒ぎになるからである。今回は最奥の人家の僅か手前に駐車スペースを見つけた。
標高340mである。09:06カッパを着て出発しようとするが、雪壁が高すぎて登れない。ストックとスキーを壁の上に放り投げ、強引に這い上がる。スキーを履き歩き出してすぐ、ルートがおかしいことに気づく。地図と磁石で確認すると、全く見当違いの方向に向かっている。方向を変更して宇津沢川対岸の尾根に向かう。宇津沢は雪で塞がっており、難なく渡れた。ようやく尾根に取り付いたものの、かなり新雪が深い。弱層テストをしようにも、何処までも新雪でできない。どうも一晩で50cm程度は積もったようである。人家脇の里山であるから、当然ながらナラの薪炭林であるが、1本見事なコシアブラが立っていた。動物達のかっこうの餌になるだろう。09:36右手より尾根を合わせて、尾根は左に曲がる。右手は雪庇が出ている。風と雪のため視界があまりないので、ここに赤布をつけつ。そのまま雪庇の尾根を上り詰めると、09:47小さなピークに出た。ここが559mのピークであろう。
ここから平坦な尾根が延々と大館山に続いているのだが、大館山は時折姿を垣間見せる程度である。地形図上の尾根も広いが、雪庇の大きさも凄い。しかしオーバーハングになっている部分はさほどでもないようだ。平気で雪庇の上を歩いていると、2度ほどストックが雪庇の亀裂に入ってバランスを崩した。その後は、真面目に左手のナラ林近くを進むことにした。時折アカマツが混じっている。
祝賀会が11時開始である。帰り時間を計算して、10:02、530mの鞍部から引き返すこととした。小ピークに向かうと、既にトレースは風で消されていたが、表面の雪の塊でおおよその。見当がつく。途中でシールが剥がれたが、雪を丁寧に落とさず適当に貼り付けたのですぐ又外れた。今度は丁寧に雪を払い、先端にカラビナをつけて、10:25小ピークまで戻る。ここでシールを外し、靴バンドを締め、踵を固定して滑降に入る。途中で赤布を回収し、膝までの新雪滑降を楽しむ。10:35駐車場に到着。スキーを外すと、腰まで抜かり身動きできない状態であった。その後、着替えをして白川荘に向かい、山田守氏の祝賀会に参加させていただいた。

宇津沢集落の様子 駐車場から対岸の尾根を望む
559mピーク 平坦な尾根が続く
大舘山が微かに姿を見せた 山田守氏の祝賀会