登山者情報519号

【2001年04月07日/二王子岳/井上邦彦調査】

土曜日の天気予報は悪天の筈が、前日となって「曇のち晴」に変更された。急遽、計画を変更し二王子岳を目指すこととした。自宅から南俣集落まで57.5km。付近には除雪などの邪魔になるので無断駐車をしないようにとの掲示が幾つか張り出されていた。恐らく、かなり登山者が地元の方に迷惑を掛けたのだろう。雪のある時期は、駐車場の確保が難しい。南俣集落から900m入った所で除雪はストップされ、既に2台の車が置かれていた。かろうじて邪魔にならないように路側に車を止める。
高度計を60mに設定し、07:02歩き始める。先行者のトレースが大量にある。07:09標識に従って橋を渡り右岸の林道を進む、積雪は50cm程度。07:18〜21田んぼが出てきた所でシールを貼り付けたスキーを履く。カモシカの足跡が田んぼを横断していた。太陽の当たる角度になると車道の雪が消えており、スキーを担ぐ場面もあった。09:35(220m)車道左手に尾根を掘って尾根の反対側に行くルートがある、目印は特にない。確か旧道があった筈だと思い、左の道に入る。斜面をトラバースするように道形が続き、まもなく大きな杉が林立し、09:35杉の巨木の間を抜け太鼓橋を渡ると、歴史の重みを感じさせる石鳥居が迎えてくれた。更に進んで比較的新しい石鳥居を潜り、左に折れて直登すると二王子神社の広場に出た。
07:46〜49(3,304歩)高度計を255mから300mに訂正する。炊事場に登山者カード記載所があり、必要事項を記入する。夏道沿いにそのままスキーで進み、08:03(380m)適当な所で尾根に取り付く、杉の枝が一面に散乱している上、硬く波打った雪面は登りにくい。08:19(460m)尾根上の雑木林で、夏道より手前の尾根を登っていることに気が付いた。カモシカの溜糞が至る所にある。頭上を一匹のウサギが駆け上っていった、耳の黒さが印象的であった。シールだけでは滑るのでスキーアイゼンも付ける。08:33(550m)右手の目の下に大杉が見える。右の沢の斜面を登ることにする。先行者のワカン跡が出てきた。08:45〜09:04(630m)露出している岩に腰を掛け、コンビニで買ってきた弁当を食べる。この先はスキーを曳いてキックステップで登る。左からの尾根が合流する地点でスキーに切り替える。左斜面すれすれにヤマドリが滑空していった。更に進むと松の葉様のヤマドリの足跡があった。
09:21(730m6,746歩)一王子小屋に到着する。2階だけが露出していたが、囲いの隙間から1階の入口が使用できるようになっていた。ここから先は登山者のトレースが続いている。この先は雪上に露出している樹木がめっきりと減る。鼻と唇と首筋に日焼け止めを塗る。家族からは使用期限が切れているので役に立たないと非難されているが、多少の効果はあるようだ。小屋の上の小ピークで単独の男性が休憩をしていた。ほどほどの斜度であり、快適に進み、10:05(1,000m8,483歩)定高山に到着する。電柱の頭が約4m露出していた。キツネともタヌキとも違う足跡が続いている。テンの足跡もある。これから先は所々に赤いポールが立てられている。10:08〜18定高山先のポールで休憩を取る。スキーを脱いでも踝程度までしか潜らない。飲んだ分だけ水筒に雪を入れるが、ぐっしょりと濡れた雪であり、これならいくら飲んでも大丈夫だろう。さらに進むが、赤いポールの上に赤いポールが括り付けられているが、1本目の先端はかろうじて雪面に露出している程度なので、2本が必要なのだろう。顔をタオルで覆いサングラスをかけた単独の男性がワカンで下ってきた。私が「雪庇もない平坦な山ですね」と声をかけたら、「視界のない時はとても登れない山ですよ」との答えが返ってきた。彼の言うとおり、視界のない中での下降はとても難しいものになるだろう。BCRと無線がつながった。空腹でペースが落ちてきたので、11:08〜12お握りを頬張る。11:18左手の主稜に黄色い小屋と、山頂の鐘台、測候所のアンテナが見えてきた。11:23右手ピークとの鞍部で主稜に出る。測候所は雪で埋まっていた。山頂に2名の登山者が見えた。
11:37(1,445mを1,421mに訂正、12,259歩)山頂に到着する。鐘台の脇に展望図も露出していた。飯豊連峰の山並みが眼前に展開している。時を忘れる瞬間である。小屋に戻ると、落し板数枚があるものの難なく小屋の中に入れた。小屋の中には先ほどのスキー場から上がってきたと言う2名の他に、2名と1匹の犬が居た。これで謎の足跡の正体が知れた。久しぶりにラーメンを煮て缶ビールを飲む。
12:35(12,952歩)小屋からスキー滑降を開始する。次々と登山者が登ってくる。大きな斜面で快適に滑る。ルートを誤らないように時々立ち止まって確認しながら慎重に下る。13:00定高山通過。13:12〜15一王子小屋。下山路は夏道沿いに下ることとする。右の尾根に登山者のトレースがあるが、沢や隣の尾根の斜面を勝手に滑る。13:26大杉を通過する。大杉の下は、夏道だけに雪が残っており、嫌らしい。杉林は滑りにくいので、右の沢沿いに下って、河岸段丘の杉林を進む。13:51〜58二王子神社で登山者カードに下山時間を記入する。ここでスキーをザックに固定し、旧道を下る。二つの石鳥居、登龍杉と名づけられた巨大な杉などを楽しみながら、14:11車道に出る。ここで今年初めてマンサクの黄色い花を見つけた。14:22田んぼ手前でスキーを履き、林道沿いに下り、14:33(20,101歩)車に到着する。

石の鳥居の広報に太鼓橋が写っている 二王子神社
一王子小屋 定高山付近から山頂方面
平坦な尾根筋が続く 1本目のポールは埋まっていた
三王子方面を仰ぐ 三王子方面を振り返る
稜線分岐から高知山方面 二王子小屋
二王子岳山頂の鐘台と展望図 山頂から三光山方面
二王子岳山頂から飯豊連峰の大展望(右は二本木山)