登山者情報536号

【2001年06月02日/梶川尾根〜門内沢/井上邦彦調査】

山形山岳会小国山岳会交流会に参加するため、今回は変則的なコースとした。大淵で山菜入山券をチェックしている、顔見知りの方ばかりである、挨拶をして通過する。天狗平の駐車場は登山者と山菜採りで溢れかえっていた。
06:15(標高410m)湯沢ゲートを出発、梶川尾根に取り付くとすぐオオイワカガミが迎えてくれた。岩場はズック靴のフリクションで快適に登る。ヤマツツジが咲いている。06:40(700m)楢ノ木曲がり(仮称)直下は足場要注意である。緩登になると左手に雪が出てきて、ムラサキヤシオが咲いている。船窪で始めて雪を踏み、登山道は眩いブナ林に入っていく。07:06急登を終えると、潅木の間から石転ビ沢が眼前に出現した。瞬間的に雪を踏んで、07:10湯沢峰通過するが、標識も何もないので始めての方は気づかずに通り過ぎるだろう。07:15〜20(1,020m)ピークで一息入れる。イワウチワ・カタクリの咲く道を下ると、鞍部は残雪に覆われている。エゾユズリハ・ツクバネソウが咲いている。尾根を巻き終えると残雪があり、先行者のトレースを利用して這い上がり、すぐ夏道となる。17:32広い雪原を横断する。07:42〜55(1,130m)すっかり雪に覆われている滝見場に到着する。仙台から来たと言う単独者が休んでいた。展望地は夏道が出ているので、撮影に降る。その後握り飯を頬張り(最近何も食べずに1ピッチを登るのが習慣になっている)、プラスチックブーツに履き替え、ピッケルをザックから外す。滝見場からの出だしだけが夏道ですぐ雪の上となる。カール状地形を過ぎると傾斜がきつくなるので、ストックを背中とザックの間に差し込み、ピッケルを抜く。キックステップで登るが雪は硬めである。正面のブナで、右を巻くか夏道を行くか迷ったが、左の夏道を選びブナの樹から夏道に入る。1,270mまで夏道は続き、再び雪の斜面となる。08:20五郎清水(1,350m)は当然ながら雪に覆われて、慣れない人は何処なのか分からないだろう。ともあれここから夏道となる。ショウジョウバカマ・キクザキイチリンゾウが咲いている。08:31(1,450m)再び雪の上になるが、融雪水が流れていた。1,520mで夏道になるとすぐに、08:41(1,530m)三本カンバ(仮称)に到着する。ここからの石転ビ沢の眺めは壮観である。ノウゴウイチゴ・イワウチワ・カタクリが咲いている。08:49(1,580m)トットビ沢の頭から雪の上になる。若干登ってタオルがないことに気付き、夏道まで戻るが見つからなかった。08:52再出発。1,670mから夏道となる。ミツバオウレン・イワカガミ・ミヤマカタバミが咲いている。09:04三角点(1,692m)を通過し、09:05〜15梶川峰の標柱で食事を摂る。ミネザクラが咲いている。鞍部からケルン下まで雪を登り、09:23ケルンに到着すると、ハクサンイチゲとミヤマキンバイのお花畑となっていた。1,775mより雪の上になり、1,810mで夏道になる。イワナシが咲いていた。雲が次第に多くなってくる。1,830mより雪の上を進み、09:45(1,880m)扇ノ地紙の標柱に到着する。稜線をガスが走り、北股岳方面は視界がなくなってきた。雪の上に戻り、風を避けて雪庇の上を歩くこととした。門内小屋手前の鞍部で水筒に融雪水を満たすし、10:02門内小屋に到着した。シラネアオイ・ミヤマハタザオが咲き始めていた。さっそく缶ビールを雪に埋めてラーメンを煮る準備を始めると、無線機から私を呼ぶ声がする。アンテナを替えて外で交信をすると、PWD一行は予定より1時間早く、現在梶川出合付近を登っていると言う。慌てて缶ビールを回収し、お握りを半分食べてザックを整理する。10:17門内小屋を出発、門内岳山頂から落ち込んでいる雪渓の頭に出る。ここで靴紐を締め直し、ストックをザックに固定し、身支度を整えて、滑降を開始する。PWD一行からは私の様子が良く確認できるとの事である。とすれば転ぶわけには行かない。グリセードでターンを繰り返し降っていると、登ってくる一行を出会った。確認すると迷い込んだのではなく、門内沢〜北股岳〜石転ビ沢の計画との事、装備や雰囲気から問題なさそうなので、そのまま降る。今度はスキーを担いだ3人パーテイがばらばらに上ってきた。彼らは門内沢滑降が目的との事で、兼用靴を履いていた。周囲の景観を楽しみながら、10:52無事石転ビノ出合(門内沢出合)でPWD一行(山形山岳会小国山岳会交流会一行)に合流した。
ここからは何時もながらの信じられない豪華な食事が始まる。魚のフライを揚げ、米沢牛のしゃぶしゃぶを堪能する。見上げると石転ビ沢には蟻のように人間の列が出来ている。先週は石転ビ沢上部で落雪が発生し、1個が石転ビノ出合で休んでいる私達のすぐ上まで落ちてきた。事故のないように祈る。せっかくだからと皆で梅花皮沢に入り大滝を見物する。相変わらず迫力のある滝である。地竹原から夏道に入る。1週間で雪解けが随分と進んだようだ。遭難慰霊碑に手を合わせる。キクザキイチリンソウ・オオバキスミレ・エンレイソウ・サンカヨウ・ニリンソウ・エゾエンゴサク・イワウチワ・スミレサイシン・オオバクロモジ・ムシカリが咲くなか、夏道を進む。うまい水や下ツブテ石で雪の上を歩く他、殆どが夏道である。砂防ダムを過ぎ、タニウツギ・ヤマツツジに囲まれて、ブナ清水で喉を潤す。15:11天狗平到着。その夜は、健康の森横根で皆で酒を酌み交わした。
滝見場から石転ビ沢 滝見場〜梶川峰
梶川峰から扇ノ地紙方面 扇ノ地紙から地神山方面
門内小屋と門内岳 門内小屋から石転ビノ出合
門内沢を登るパーティ 降ってきた門内沢を振り返る(左端)
門内沢の転石 石転ビ沢全景
先ずは魚のフライ 山菜汁もありますよ
何と言ってもシャブシャブでしょう 梅花皮の大滝まで散策
地竹原上流付近の雪渓 地竹沢から地竹原の様子
ツブテ石(滑落に留意) オオバキスミレの群落