登山者情報550号

【2001年7月01日/梶川尾根〜扇ノ地紙(山開き) /井上邦彦調査】

6月30日、飯豊連峰山形県側三町(小国町・飯豊町・川西町)合同山開きの儀式が天狗平ロッジで行われた。開始直前に梅花皮小屋から無線連絡があり、石転ビ沢草付キ(中ノ島)の上部で、軽アイゼンのみで登っていた女性パーティの1名が滑落、草付キに頭から突っ込んで顔面を負傷したとのこと。すわ救助隊出動かと心配したが、幸いにも前日から小屋番に入っていた関さんが下山し、梅花皮小屋に収容したとのこと。状態もそれ程の深刻ではないとのことなので、神事はつつがなく終了した。あいにくの土砂降りであったが、その後の飯豊山荘で行われた各コース毎の懇親会は悪天を吹き飛ばす勢いであった。
翌7月1日、リーダーは午前3時30分に起床、外は霧雨状態、電話で降水確率を確認し、小林総リーダーが最終的に決行の判断を下す。コースは3つに分かれ、Aコースは梶川尾根〜丸森尾根、Bコースは石転ビノ出合(門内沢出合)往復、Cコースは倉手山である。私はAコース3班のサブリーダーである。リーダーは宮下さん、小国山岳会の新鋭である。一般参加者8名、計10名は、04:40飯豊山荘を出発した。いきなりの急登である。オオコメツツジに励まされながら、05:11、1ピッチで標高800mまで登る。ここで10分程休憩し体調を整える。小雨が降ってきたので、1,020m峰を越えて、06:16鞍部のブナ林でカッパを着る。滝見場で軽く休憩を取る、石転ビ沢はガスの中にぼんやりと見える。2箇所なんとない残雪を登り、07:29五郎清水で休憩、降りてみると水は取れるが、雪が消えたばかりなので足場が不安定である。ここまでアマドコロ・イワウチワ・ウスバサイシン・オオイワカガミ・オオヤマサギソウ・エンレイソウ・オオバキスミレ・カタクリ・ギンリョウソウ・ガクウラジロヨウラク・サンカヨウ・シラネアオイ・ツクバネソウ・ツルアリドウシ・ツルシキミ・タムシバ・タニウツギ・チゴユリ・マイヅルソウ・ムラサキヤシオ・ムシカリ・ミヤマツボスミレ・ムシカリ・ヨツバムグラ・ヤマツツジ・ヤマブキショウマ・ヒロハユキザサが咲いていた。更に急登を登り、1,630mトットビ沢源頭の残雪は左側を慎重に登り、08:37梶川峰に到着する。ここからは高山帯となるが、依然として雨風は止まない。花をめでながらケルンを過ぎて、残雪を直登し、09:18扇ノ地紙に到着した。ここまでアオノツガザクラ・イワカガミ・イワハゼ(アカモノ)・ウスノキ・エチゴキジムシロ(終)・イワイチョウ・ウズラバハクサンチドリ・ムシカリ・タムシバ・イワウチワ・エゾツクバネウツギ・ゴゼンタイバナ(盛)・ショウジョウバカマ・ズダヤクシュ・ツマトリソウ・チングルマ・バイカオウレン・ツマトリソウ・ツガザクラ・ナナカマド・ノウゴウイチゴ・バイカオウレン・バイカオウレン・ハクサンチドリ・ヒメサユリ・ミツバオウレン・ヨツバシオガマが咲いていた。稜線に出ると、風が一段と強い。1班・2班の到着を待ってリーダー会議の結果、ここから引き返すこととした。1,630mの残雪は固定ロープを設置し、アイゼンを履いてもらい通過し、13:45天狗平に全員無事下山した。

五郎清水の状況 三本カンバ(仮称)への登り
扇ノ地紙で風を避けて後続班を待つ 鞍部で休憩
岩場を慎重に降る