登山者情報568号

【2001年8月11〜12日/大鳥池〜以東岳/山田亘調査】

08月11日曇り{7:49泡滝ダム発ー8:52冷水沢ー9:20七ツ滝沢ー9:57七ツ滝分岐ー10:20うまい水(仮称)ー10:45つづら折終了ー10:58タキタロウ山荘着ー(テントセット)ー11:30頃テン場発ー13:11 1202mピーク付近ー13:32大鳥池が見える地点ー13:56水場分岐ー14:46以東小屋ー14:57以東岳山頂(1771m)着15:22発ー15:42大きな岩塔ー16:48天狗小屋分岐ー17:03三角峰水場分岐ー17:22ログの終わり(走りはじめる)ー18:06水門着}
08月12日雨後曇り{6:31テン場発ー7:06うまい水ー7:28七つ滝分岐ー7:58七ツ滝沢ー8:43冷水沢ー9:48泡滝ダム着(9:49ログの終わり)}

この週末は天気が悪そうで、大鳥池、尾瀬沼、五色沼などの水辺に心が引かれていた。金曜日の昼休みに朝日村のHPで、朝日スーパー林道全通の文字を見て迷わず大鳥池と以東岳に決めた。前夜、パッキングをし、HPをチェックしていたら23時になってしまった。当初02時にでて、泡滝ダムの歩き出しを06時と読んでいたのだが、目覚ましを03時にセットし直して寝た。03:30に新潟市の自宅を出て新新バイパスに乗り蓮野インターで降り、R345を北上し、岩船のセブンイレブンで朝食とパンを仕入れる。三日市のスタンドからR7に出て古渡路(フルトロ)の交差点を右折し、05:10頃布部の橋を渡り朝日スーパー林道へ入る。
久々の林道は、どの位かかるのか通過時間が読めない。ギリギリのすれ違い、脆弱な路肩、長い(20km位?)がよく整備された未舗装路を無心に走っていると、山中にぽっかりと休耕田のようなものが現れ大鳥の民家が続々と出てきた。今までの道
が悪かったのですごく栄えているように見える。泡滝まで行く途中、クマタカかワシと思われる鳥がクヌギ?の木に降りるのを見る。ダムまでの道は危ない部分に付け替え道路が出来ており安心して通れた。自分の頭では朝日スーパー林道通過に1時間として06時頃泡滝ダムに行ければと思っていたが、07時過ぎの到着となった。駐車スペースは15台位ありそうであった。
ここで、チャーハンを食べ生茶500CCを飲み体を休め、07:49GPSのスイッチを入れ歩き出す。あまり寝ていないのだが平坦な道と美しい渓相に驚きながら気持ちいい歩きが続く。展望が良くないので今日以東岳まで往復して大鳥池でゆっくり幕営したいという頭があり、写真はほとんど撮らずに歩く。水は至る所にあり汗で汚れた顔とメガネを洗わせてもらう。エアリアでは地形がよくわからないので、7月に村上の益田書店で買った25000分の1の大鳥池の地形図を見ながら歩く。ここはどこなのだろうと思いながら、地形図の岩がけの表示と実景を照らし合わせここらへんは過ぎたなという感じである。地形はよくわからないがエアリアとは道が違う。エアリアでは東大鳥川を遡上するのだが、地形図ではゴウラ沢を過ぎたところから山腹をつづら折りに登り、横松で983m峰の尾根に出てピークの西側を南東方向にへつりながら、冷水沢で現在のルートと合流する道がメインである。昭和51年の測量で昭和52年10月の発行と書かれていた。普段地形図を殆ど見ないのでこんなところにも驚いてしまう。08:35のマークは水場だと思う。冷水沢の吊り橋を渡ったのは08:52であった。また同じような道が続き09:20七ツ滝の吊り橋を渡る。これらの吊り橋は幅60cm程度だろうか、かなりしっかりしていた。日程に余裕がないのだが緑が豊かでみずみずしい景色に感じ入りながらのんびり歩いていると、少し沢を離れた感じがし、程なく09:57七ツ滝分岐の標柱に出る。危険なので入るなと書いてあるが、これもステキなところなのだろう。おとなしくつづら折のコースをとる。本当に丁寧に作られている。悪く言えば効率が悪い気がする。平行移動部分が多く、ところどころ直登コースができているのもうなずける。たまに直登しながらゆっくり登る。このつづら折に主な水場が3カ所あるのだが、どれもいい感じだ。1番上の水場を10:20に通過し、飲んでみて驚いた。冷たくてとても軟らかい(まろやかな)味だ。飯豊の五郎清水に近いと思った。流量も太く安定しておりすっかりファンになってしまった。この山域の豊かさを認識しながら歩いていくと道が平坦になり、湖岸の縁まで上がったようだ。10:45一瞬大鳥池がちらりと見え、その灰色の湖面の美しさにトリハダが立つ。又見えないかと歩いていくと、右に抜ける道があり10:58タキタロウ山荘に到着する。コースタイムらしく歩けたがとても微妙な時間だ。
ここで、今後の予定を考える。@今日以東岳に往復して大鳥池に幕営するA今日大鳥池に泊まり明日以東岳に往復して新潟に帰る。B今日以東岳に登り以東岳で泊まり明日下山する。という道がある。@大鳥池に惚れてしまった。少しでも長く居たい。A明日の天気もこんなもので明日登っても展望の旨味はないと思う。B19時まで行動できるとして3時間半・3時間半で動ければとすればギリギリ帰ってこれるなといったことを思い、今日往復することにした。幕営の受付(1人500円)をし、管理の人に、これから往復は無理でしょうかと聞いてみると、「う〜ん、直登コースでいって、オツボ峰経由で降りるならなんとかなるかな」と言った。自分はエアリアでどちらのコースタイムも3時間半と書かれており、楽そうなオツボ峰を往復しようと思っていただけにこの答えは意外であった。そこで「オツボ峰の方がかかりますか」と聞くと「かかりますね。直登なら3時間半、オツボ峰なら4時間かかる」ということだった。いい情報を得た。とにかく、テントを張って荷物をデポして登ることにした。歩き出しで13.5kg位の重さだったが、デポしたら6kg位になった。えらく軽く感じ羽が生えた気分だ。ただ、フル装備のテントにマジメに12本のペグを打ち(地面は硬かった)荷物の仕訳をしたら30分過ぎてしまった。
11:30頃、時間がないので緊張して出発する。どの尾根も上はガスで見えなく、貧弱な読図力ではどこから取り付くのかどんなルートなのかわからない。エアリアでは「急登の連続」と書いてある。とにかく平行移動を早く終わらせなくてはと、
美しいはずの湖岸を余裕なくガツガツ歩く。今11:30だから15時目標、遅くとも15時半に山頂それを過ぎるようだと小屋泊まりかな、などと考える。東沢で砂地を渡り大鳥池を熊の皮に例えると右足踵あたりから熊の股に食い込んだ尾根の東面にとりつく。急登といえば急登だがそうでもないような気がする。二王子の2〜3合目か足ノ松尾根のように何か暖かいものを感じる。梶川尾根程強烈な感じはしない。とにかく登りで全力を使うんだとマジメに登っていると尾根にあわさり13:11 1202mピーク付近まで来たようだ。(当初1,110mの尾根上かと思ったが13:11のマークは北緯38度20分54.0東経139度50分26.2の地点で1,202mピークの近くだと思う)相変わらずガスで尾根の一部が見えないがどうも正面のとんがったところを越えて行くようだ。ここらへんが一番きつかった。一部足の痙攣を予感させるような時間もあったが大丈夫だった。時間がないので無心に休まず行くと急登が緩くなり展望が開けた。13:32(北緯38度20分48.8東経139度50分30.7)熊の皮を広げたような大鳥池がよく見える。ここでパンと水をとったと思う。緩やかだがえぐれた道をしばらく登り左手に地形図通りのはげた窪地を確認したころ13:56(北緯38度20分43.5東経139度50分35.5)水場の標識を見る。漸く疲れてきて普段のゆっくりペースに近くなる。上はガスの中で、いつ小屋に着くのかと思ったり、さっきの窪地が励みになりいいところまで来ていると思ったりする。右手に見えるのは小法師山だろうか。三つのピークが連なり一番右の山頂近くに標柱のようなものが見える。地形図で見ると山頂近くでもう一回急になるはずだがなどと考えながら歩いていくと、前方の見通しが開け小屋が見えた。14:46小屋に着いて一安心する。ガスのため展望は狐穴小屋への縦走路が少し見える程度だがここまで計算通りに歩けたことに満足である。外で休んでいた管理の人と話すと水場は使えるとのことだった。緩い登りで14:57以東岳山頂着。急登の連続と書いてあったが緩いところもあり、尾根への出方とかも合理的でなによりアップダウンがな
く効率的でいいコースと感じた。15:30まで休むつもりでhpへの書き込みなど試みたが無理なようだった。パンと水を採り休んでいると今朝大朝日を出たというパーテイが到着し、。15:22山頂を離れ三角点を踏んでオツボ峰に向かう。
ここから大変時間がかかった。オツボ峰の分岐が16:49なので1時間27分かかっている。ここから三角峰の水場までが17:03の通過なので14分・・・ちょっと変な気がするがコースタイム60分を1時間40分かかっている。ちなみに、下りのコース
タイムはオツボ峰まで30分三角峰まで30分下山口まで1時間半である。花をとったり景色の動画をとったりしながら下ってきたがそんな足を止めてはいない。ここまでは、懐中電灯歩きも止む無しと下ってきたが、エアリアの最後の1時間半という数字も信用できない。1時間半は2時間半かもしれない。自分は、鈍足のなのだから全力でやらねばと再認識する。水場を過ぎて下りにかかったところで、ここは全力を出すところと走り出した。(ほぼ17:22のログの終わりと一致すると思う。)幸いにも緩やかな下りだ。熊が出そうな雰囲気と一人で居るのが怖いので自作の歌を歌い必死で下る。急なところもあるが大体が下りやすい。アップダウンはない。ただ下るだけだ。管理人さんが下りにオツボ峰コースを使えといったのはこの調節のしやすさのためかもしれないと思った。沢音が近づいたと思ったらまた離れていき落胆する。だんだんきな臭いような感じで暗くなってきた。声もかすれてきた。もう一度沢音が近ずく。今度は段々大きくなる。右手の林の間から自分の張ったテントが見えた。気を抜かず、恥ずかしいので歌だけやめて走っていくとポロッと湖岸に出た。自分の時計で18:06であった。(ログを大変楽しみにしていたのだが、17:22で終わっていた。これは樹林帯で感度が落ちたことの他に走りで姿勢が安定せず、GPSが衛星をロストしたためだと思う。バッテリーの切れる音は下山後水門付近でした。)大変がんばったのだが、ボクは余裕で帰ってきたよという顔をしてタキタロウ山荘に向かう。無性に炭酸が飲みたい。あいにくオレンジジュースしかなかったが山でジュースなんて贅沢だと思う。管理人さんは笑顔で迎えてくれた。今日はランタンを除きフル装備
だ。テントの中で火を使ったら暑かったが、マルシンハンバーグ2個コーンスープという自分にしてはリッチな夕食を食べて寝た。
夜半雨が降ったがフル装備のテントには気持ちよい子守歌だ。1時に目を覚まし3時頃までゴロゴロしていた。コーンスープの残りとパンとコーヒーと永谷園の生タイプ豚汁を2食分食べたら4時になった。また雨が降ってきた。昨日登っておいてよかったと思いながら6時頃までゼイタクに寝た。軽く片づけてテン場を出たのが06:31分、雨が降っているが稜線の以東小屋がよく見える。こうなっていたのかと呟きながらカメラに納める。大鳥池に名残をおしみながら、歩き出す。すぐに湖面が見えなくなる。つづら折りを下りはじめ07:06うまい水(仮称)を味わう。他の水とちがいこの雨でも濁っておらず
流量も変わっていなかった。07:28に七つ滝分岐を通過し平行移動に移る。07:58七ツ滝沢で雨具を脱ぐ。来るときはゆとりがなかったが、沢の合流するところは低く川岸が広がるようだ。08:43冷水沢を通過する。左岸に美しいブナ林が広がっている。トルマリンのような沢の色を楽しみながら、ゆっくりと歩き09:48泡滝ダムに着いた。(行きよりも時間がかかってしまった。)ここでペヤングヌードルを作って食べたら大変うまかった。10:30に出発し朝日屋さんに着いたのが10:50頃距離は12km位であった。風呂を聞くと夕方まで入れないということだった。鶴岡までは1時間、村上までは3時間かかると教えてくれた。迷わずスーパー林道を選びかなり乱暴な運転で12:45頃スーパー林道を抜けた。(大鳥集落から村上まで71km、うちスーパー林道62km位だと思う。)大場沢?で猿沢方面に右折し、標識に従ってR7に出るとすぐ右手にまほろばの湯が見えた。気持ちのよい汗を流し、Fuutaさんの店に寄って新潟市の自宅に戻った。
昨日のことなのだが遠い昔のようだ。色々工夫が出来たので勉強になった。画像と動画は2日で160枚位になった。ログにはきれいなところより、ポイントとなる地形や迷ったところ考えさせられた所を貼り付けた。この週末休みがとれたら飯豊に4日入るのだが、その装備面の取捨選択という点でも有益であった。もう一度、大鳥池に一泊して何もしないで過ごしたい。自分は大鳥池に行くと寿命が伸びるような気がする。本当に豊かな山域と思った。
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