登山者情報571号

【2001年8月20日/御西小屋遭難/小椋秀春調査】

本日09:00頃、飯豊山方面から来た登山者(60歳)が、御西小屋水場分岐で転倒し、右足首を骨折した。無線でPWD・ODD等に連絡。10:55新潟県警ヘリコプター「きたがぜ」により救出された。
小椋は明日下山し、御西小屋は無人小屋になる。

【2001年8月10〜13日/石転ビ沢〜梅花皮小屋/木内茂雄調査】

タイム
8/10 飯豊山荘4:55〜5:10温身平砂防ダム入口〜5:50ウマイ水〜5:55彦衛門の平〜6:25梶川出合6:30〜6:55石転出合7:15〜7:55本石転出合8:00〜8:35黒滝〜9:30梅花皮小屋
8/13 梅花皮小屋6:30〜9:30温身平砂防ダム
注意事項
(1)タイムはその日の温度、湿度、体調、荷物の重量でかなり左右されるし、休憩時間の取り方でト−タル時間が変わるのであくまでも参考である。
(2)雪渓に穴が開き始めたので十分に気を付ける事。
(3)石転沢出合で右側の門内沢に迷い込まない様に、霧の時要注意。
(4)落石は落ち着いたようであるが、行動中常に上部には注意の事。
(5)浮き石が多いので人為的落石を起こさない様、細心の注意をはらう事。
記  録
(8/10)平日なので登山客は殆どいない。天気は良好、飯豊山荘前で釣り客と挨拶しながら温身平へと砂利道を歩き始める。今山行は初めてスパイク地下足袋を採用してみたが、夏場はなかなか重宝である。歩き始めて間もなく顔や手に虫がプツプツと当たってくる。小国で言うメジロである(目の辺りが白い小さな虻みたいな虫)、これに噛まれると痒くてひどい。少し噛まれだしたので、温身平砂防ダム入口で“ハッカ油”をスプレイしようと立ち止まったところ、ストッキングに猛然とメジロがたかってきた。まるでミツバチが巣に集まる様に忽ち真っ黒になった。慌てて体のあっちこっちにハッカ油を付けた。効果抜群でたちどころにメジロが来なくなった、しかし一瞬の内にかなり噛まれた。生憎、周りに私以外誰もいなっかたのでメジロは私に集中して攻めてきたようだ。それにしてもハッカ油は良く利く、慌ててスプレイしたのでズボンの上から大事な部分周辺にもかけてしまったらしい、暫くの間その辺がス−ス−して参った。使用には十分に注意が必要だ。
夏道で、赤ペンキ、赤、黄の布等を目印に見落とさなければ道を間違える事は無い。梶川出合近くで巻道が有るが状況によっては河原を歩ける。梶川を飛び石で渡り残雪を避けて草付きトラバ−スするが、後10日もすると歩きやすくなるだろう。初めて履いた地下足袋は軽くて具合が良いが、最近は下駄、草履等を履かないものだから、親指と人差し指の間に痛み程ではないが違和感がある。石転びと門内出合にはまだタップリと残雪が有る。晴れていれば問題無く左の石転び沢に行くのだが、霧がかかると右の門内沢に入ってしまうので注意する様に、私が3日間いる間にも二人迷い込んでいる。
石転び沢に入り右岸の大石まで行くと一旦残雪は無くなる、約200mも夏道を登ると本格的な残雪の上となる。一般には此処からアイゼンを付けるのだが私の地下足袋のスパイクは良く効き、一度も滑らなかった。残雪に乗って約150mも登ると右岸(上に向かって左)より沢水が流れて来ていて、良く水をとる。この辺り雪が大分薄くなっているので、要注意である。二日後に単独行者が雪を踏み抜き5〜6m落ち肋骨を折る大怪我をした。これからは日に日に残雪状況が悪化していくので、情報は参考までに聞き、自分で現場を良く確認して登ることだ。
心配した落石も無く、黒滝で雪渓は終わった。後は夏道でお花を楽しみながら登る。ハクサンコザクラ、ヨツバシオガマ、カラマツソウ、そして盛りのシナノキンバイをカメラに収める。それから、ノウゴウイチゴが食べ頃でうまかった。諸条件に恵まれ梅花皮小屋に予定よりかなり早く着いた。小屋番の関氏が冷たい物を用意して待っていてくれた。早速“生きている充実感にしたった”。
(8/11) 
天気は高曇り、少し晴れ間有り。関氏がギルダ原に登山道の草刈に行ったので小屋番をしたが暇で退屈した。小屋の周りに出て花の写真摂りをする、イイデリンドウ、マツムシソウ、コゴメグサが盛りでイワインチンが蕾を出し、トリカブトが少し咲き出した。
(8/12)
天気は昨日より悪い曇りである。昨日同様退屈していたところ、石転びを登って来るK氏の連れが“腰を打った”と言う無線連絡でユックリ登ると連絡有ったが、あまり遅いので迎えに長靴で降りていった。途中、単独行者に話し掛けられ“雪渓の下で別の単独行者が雪渓の下に落ちたので助け上げたが、どこか怪我をしたかも知れない”と言うことであった。早速、関係者と無線連絡し、私の地下足袋を黒滝まで届けてもらった。それから、本石転沢出合まで降りて見た。誰も登って来る様子も無いし、助け上げてから4時間以上も経っているので下に降りたと判断し、後は下に居るNOOに任せる事にして、私は小屋へと登り返した。その後のNOOからの連絡で温身平で怪我人を収容、飯豊山荘まで搬送、救急車で小国病院に搬送の報告を聞く。
この騒ぎでK氏の連れの腰を打った件を書き洩らしたが、黒滝下部で上から頭大の落石を受けたとのことであった。人為的な落石なのに当事者から“落石”の発声も無く、また“スミマセン”の挨拶も無かったとの事、常識の無い素人登山者に疑問を禁じ得ない。
(8/13)
朝から霧雨である。小雨になったので高校生を一人連れて、石転沢を下る。昨日、落下事故を起こした現場に行き、残置していったザックを回収する、カメラ器具が入っているらしく20キロ位は有るようだ。此の辺り、上から見ると良く判るが雪が大分薄い、踏み抜いた雪が5〜6m下の河原に転がっていた。落方によってはもっと大怪我をしたろう。

イイデリンドウ シナノキンバイ
トモエシオガマ トリカブト
ハクサンフウロ タカネマツムシソウ
北股岳とマツムシソウ 蝶とマツムシソウ
夕焼けとシシウド