登山者情報590号

【2001年10月06日/大日杉〜地蔵岳〜飯豊山/井上邦彦調査】

先週の寝不足と子供連れを配慮し、自宅をゆっくりと出発した。大日杉に着くと、下の駐車場までかなりの数の車が止まっており驚く。橋の袂の登山者カード記載所で書こうと思うと、入山者用のカードはなく「下山者カード」のみである。仕方なく下山者カードに入山であることを付け加え記入する。橋を渡ると、小屋に宿泊客も大勢いるようだ。広場で準備をしているグループもいる。広場から大日杉沢沿いに進み、左に折れて杉林を抜け、ブナ林を登って鎖場となる。二人とも鎖は使わず足場をよく見て急斜面を登りきる。ここでガスボンベを忘れたというグループに、本山小屋管理人に伝えておく旨を約束する。暫く尾根を登った所で、息子が空腹を訴えたので食事とする。気温は13℃。ここで二人とも上着を脱ぎ、それぞれランニングシャツとTシャツ姿になる。御田には美味しそうなツキヨダケ(毒茸)が倒木に群れていた。クリタケらしい茸をビニール袋に入れて持ち歩いている登山者もいた。息子も次第に身体がなれてきたらしく、登山者を次々に抜き去り順調に高度を稼ぐ。何時しか周囲が紅葉に包まれ、滝切合に到着する。SPO2/脈拍数は(97/102)、余裕のあるペースである。見上げる地蔵岳は見事な紅葉に染まっている。気温10℃、休憩をしていると寒く感じる。ODD・GZK・VQO(横峰付近)・AQL(休場ノ峰)と無線の交信を行う。とにかく登山者が多い。ひと登りで地蔵岳山頂に至る。三角点でこれから目指す飯豊山を眺める。降り始めてすぐ右手に2箇所ほど地蔵清水に降る道を分ける。勿論水はないが、草の紅葉が綺麗だ。1,508m峰を越えて鞍部から若干登ると目洗清水に着く。すぐ先の広場で飯豊山を眺めながら食事を摂る。緩い登降を繰り返しながら徐々に高度を稼いで行くと突然、息子が小さな叫び声を上げた。思わず私も息を呑んだ。眼前が一面、黄葉で覆われている。私達はこの黄葉に包まれた。ダケカンバが出てくると、二人とも幸せな光景の中を進む。サラサドウダンの見事な紅葉、ナナカマドはきつい紅葉、カエデ類は鮮やかな紅と黄色である。ミヤマナラが黄色と紅色の二種類があるのはどういう訳なのだろう。御坪には鉄剣が立てられていた。草履塚の鉄剣が盗まれたと聞いていたのでほっとする。ひと山越えて御沢分レを過ぎ、ダケカンバの林を登る。この辺りで息子はやや疲れが出てくるが、登りきると全身が吸い込まれそうな眺望と紅葉に再び元気を取り戻す。私は殆ど水を飲んでいないが、息子の水筒は少なくなってきたので、御沢の源流で水筒に水を汲む。この先のトラバースは笹に覆われている。道刈りが不十分なので靴が滑りやすく歩きにくい。小屋水源地の小沢を過ぎると、ホースの先端から水が勢い良く迸っていた。冬になるのでここで遮断したのである。切合小屋利用の方はここまで汲みに来ることになる。1分で種蒔山分レ、ここで稜線の登山道と合流する。裸地化した小山を過ぎて、10:10(種蒔山分レより4分)切合小屋に到着した。食事をし、風があるので上着を着て出発する。大日岳方面は見えない。手が冷たい。草履塚の途中に水が出ていたので水筒に補給する。草履塚、姥権現、御秘所を通過し、いよいよ御前坂の登りとなる。途中のSPO2/脈拍数は私が(98/149)なのに息子は(95/89)に過ぎなかった。一ノ王子まで登ると水場の分岐と本山小屋が見えた。小屋の中で軽い休憩を取る。VQOは切合小屋、AQLは飯豊山々頂にいるとの無線があった。11:51飯豊山々頂でAQLと合流する。視界がないのでそうそうに本山小屋に戻り、ラーメンを煮る。凍らせて持参した缶ビールが解けていないので、お湯で戻す。その内にVQOが例によって大きな荷物を背負って小屋に到着した。12:59本山小屋を後にして降り始める。登山者がぞくぞくと登ってくる。切合小屋で休憩し、来た道を戻る。16:46大日杉に到着した。
{通過時刻}
自宅05:32→06:33大日杉駐車場→登山者カード記載所06:39→07:53ザンゲ坂上07:57→07:06食事07:13→長之助清水07:18→御田07:24→08:07滝切合08:10→地蔵岳08:28→1,508m峰08:46→09:01目洗清水09:07→御坪09:30→御沢分レ09:35→御沢源頭09:54→小沢10:03→ホースから水10:05→種蒔山分レ10:06→10:10切合小屋10:33→水を汲む10:47→草履塚10:53→御秘所標柱11:07→御前坂標柱11:17→一ノ王子11:34→11:38本山小屋11:41→11:51飯豊山々頂11:53→12:03本山小屋12:59→一ノ王子13:02→御前坂標柱13:18→姥権現13:26→草履塚13:37→13:53切合小屋13:57→種蒔山分レ14:00→御沢源頭14:08→御沢分レ14:26→御坪14:31→14:50目洗清水14:56→1,508m峰15:12→15:29地蔵岳15:41→滝切合15:52→御田16:17→長之助清水16:20→ザンゲ坂上16:32→16:46大日杉登山者カード記載所

滝切合から地蔵岳 地蔵岳山頂から飯豊山を望む
目洗清水の休み場から飯豊山を望む
種蒔山を望む 御坪にて
飯豊山を右手に眺めながら登る
トラバース道の小沢で水を補給する 種蒔ノ分レ手前ホースから水が出ていた
切合小屋で休憩を取る 御秘所を登る
御前坂を登りきった一ノ王子(右の標識は水場の分岐)
飯豊山々頂にはAQLが待っていた 飯豊山々頂にて
本山小屋にて記念撮影 本山小屋のVQOと
御前坂から草履塚を見下ろす
剣ケ峰を降る 姥権現にて
草履塚の登りから飯豊山を振り返る
草履塚の下りから切合小屋を望む
切合小屋・草履塚・飯豊山を振り返る
草履塚と飯豊山 紅葉の中を降る
種蒔山と飯豊山を振り返る
ダケカンバの黄葉 1,508m峰(右背後は地蔵岳)
1,508m峰から地蔵岳(右の尾根は大日杉への登山道)