登山者情報600号

【2002年01月14日/白太郎山/井上邦彦調査】

年末年始は毎日のように自宅の除雪に明け暮れ,山には登れなかった。雪がフルと山に入れなくなるのは地元の定めであるが、ようやく雪も落ち着いてきて、久々の快晴である。足慣らしに白太郎山を選び、ゆっくりと朝食を終えて五味沢に向かう。関宅に車を止めると、関さんが迎えてくれた。昨日途中まで登ってきたこと、段差のあるところはいきなり潜ること、今日は午後から雪がザケテ着てスキーでは滑りにくくなること等のアドバイスを受ける。関宅の標高は330m、08:50堅雪になっていたのでスキーを担いで裏手のy間に取り付くが、時折クラストが壊れて潜る。仕方なくスキーを履く。シールが外れないようにスキーの先端にカラビナを付け、スキーアイゼンを取り付けて急な斜面を登る。杉林の台地に出ると雪はさらに堅くなっていた。林の中は凹凸があり、歩きにくい。
09:16杉林を抜けると雑木林になり斜度が出てくる。スキーアイゼンを外す。広い尾根は二次林の中に太いブナやナラが点在している。09:23〜30、ブナの根元で休憩。下着1枚に手袋なしでちょうど良い。右手の尾根上を歩くと飯豊連峰が遠望できる。傾斜が出てくるとシールが効かないので再びスキーアイゼンを付ける。09:55下降時の尾根迷いを防ぐためにデフ(赤布)を枝に結ぶ。このあたりで左斜面の杉林も上限となる。無線機からXXNの声がした。川向こうの樋倉山あたりを登っているらしい。雪の状態が変わってくる。表面だけがクラスとしており、スキーを踏み出すと水溜りの氷のようにスキーの周辺だけが割れる。雪庇は殆ど発達していない。堅雪の上では獣の足跡は見つけられないが、雪庇の端だけに新雪が積もっており、兎の足跡が続いている。
10:18、786m峰に到着する。ここから改めて白太郎山を見上げる。飯豊連峰が白く連なっている。良い展望台である。ここでコースは大きく左に曲がる。昨日のものと思われるOTJの足跡がこの先まで続いていた。ODDやNOOと無線を更新しながら高度を上げていく。
11:09、標高1,002m白太郎山々頂に到着すると、眼前に祝瓶山がそそり立っている。山頂は結構広く見晴らしは申し分ない。雪庇がないことを確認し、竪穴を掘ってラーメンを煮る。風は全くなく気温0℃、カッターシャツとカッパを着る。これだけの景観は早々お目にかかれるものではない。大朝日岳・中岳・西朝日岳はもとより、竜門岳・相模尾根・寒江山・以東岳まで見える。
展望と食事を終えて、シールを剥がし滑降の準備に取りかかる。ODDに出発の連絡をし、スターと直後OTJの声が無線機から聞こえた。彼も白太郎山の山中にいるらしい。改めて堅い雪面を斜滑降で滑る。スキーは全く潜らない。ターンをしようとしてスキーに力を加えた途端、雪面が破れ、乾いた雪にスキーが埋もれ思いっきり転倒する。雪が深く手やストックを使ってもなかなか起き上がれない。何度試みても私のスキー技術では回転できない。前身雪だらけになった挙句、回転を諦めて斜滑降とキックターンを組み合わせて降る。786m峰付近からようやく雪が安定してきた。そうなれば後はブナ林の中の快適な滑降を楽しみ、12:52関宅に到着した。

五味沢から白太郎山を遠望する 取り付きの甚五郎沢を見下ろす
時折デフ(赤布)を縛り付ける 山頂がようやく見えた
樋倉山を見下ろす 取り付きより樋倉山を仰ぐ
ブナ林の中を登る
尾根はブナに覆われている 遠くに飯豊連峰を見ながら登る
飯豊連峰全景
頂上への尾根 遠く三面に顕著なピークが見えた
白太郎山々頂から祝瓶山 白太郎山々頂から大朝日岳
白太郎山々頂から朝日連峰を望む
白太郎山から小枕山・雄飯豊連峰方面
山頂の兎の足跡 山頂にて