登山者情報616号

【2002年04月13日/赤芝峡枝沢踏査/菅野享一調査】

山岳会総会前の技術訓練と称して9:30横根道の駅に向かう。独断で計画している場所は急斜面が想定されることからロープとハーネス登攀用具を持って出かけた、途中でODDから無線が入る、前を走っている車両がODDの車であった。本日の参加メンバーを確認、GPNは都合でこれなくなったとのこと、EHJも朝来れないとの電話があったのであとの参加者はいないだろうが一応地図とコンパスで読図のオサライをしながらしばし停滞。昨年はまだ残雪のあったスキー場も今年はまるでダメ、急遽「訓練」から「探検」に切り替え前々から行ってみたいと思っていた気になる滝を踏査すべく2人で赤芝へ向かう。天候は黄砂の影響かスッキリ晴れ渡った空ではないが小春日和である。赤芝の横根トンネルから旧国道に入り、いけるところまでと思い車で突っ込むが程なく雪崩のデブリで車道が塞がれていた。車を降り地図と照らし目指す滝の位置を確認する。ODDはスパイク付長靴、自分はスパイク地下足袋で足元を固める、いまでは狭い国道の面影を残した舗装のされた遊歩道といった感じの道を荒川沿いに散策気分で歩く。遠くから確認できた滝も近づくにつれ山肌に消えどの沢なのか近くでは分からなくなった、歩き出してまもなく初めの枝沢に着く、水量も多く上部の水源は大きいようだが車止めで確認した方向とは違うようだ、地図で周辺の地形を確認しながら進む、道脇の斜面にはカタクリの花が咲いている、川面にヤマザクラやマンサクと思ったらアブラチャンであったが今が盛りと春を謳歌している。クロスベアリングで3番目の沢に当りを付け右岸の峰を登ることにする。地図で登り口付近は標高121mの表示がある、目的の滝はどれくらいの高さなのだろうか、うまく遭遇できることを期待して登りにかかる、ODDが先行しルート工作。まだ葉が出てない為見通しがきく、落ち葉の中にピンクのイワウチワが点々と咲いている。途中でODDのXさんからHZUが呼んでいるとの無線が入る。HZUは本日日帰りで梅花皮小屋まで行く計画で昨日お誘いがあったのだが、先日の栂峰で足をひねってしまい足手まといにならないよう本日のコースにしたのだが、好きなことをしているときはたいてい悪いところは直るものでなかなか調子は良い。ODDがHZUとつながり情報交換、梅花皮小屋へ入ると無線が取れなくなるのか途中途切れる、言葉尻に変調を来たしているところをみると多分ドーピング中なのかも・・・どうゆうわけかこちらはノンアルコール登山である。山では健康と事故予防の為「飲まない吸わない」を心がけようとのことである。・・・(真相は別にあるのだがここには記載できない。)
登るにしたがって小沢が分かれ下からは見えなかった数段の滝もあり、また違った様相が眺望できた。誰が運んだのか名前の分からないヤドリ木がやけにみずみずしい緑の若葉を広げている。なんでこんなにコブができたのか不思議が多い。登る途中地図を見ながらODDは位置の確認をしている、GPSやナビが身近になった昨今ではあるが、やはりシンプルイズベストで軽量で壊れにくいものが良いと思う、多分自然の中で自分を試す知識や技術を習得することで楽しみも倍になるような気がする。
11:30ようやく目的地らしい滝を確認する325m付近。やはり角度が違うせいか下からは吹き出ているように見えたがたまたま上部が見えなかっただけで特に素晴らしいという感動はなかった、それにまだ残雪は残っているだろうに水温は暖かく水量が多いわりには不純物も多くいささか気落ちしてしまったが、ここから眺望する荒川と山並みは初めての景色であり、永い年月に刻まれた渓谷の造形を前にある種の感動を与えてくれた。折角だからと思い目的地到達記念に採取した滝の水でお約束のラーメンをつくる。2人で1つのラーメンを啜りながら石転び沢を千鳥足で下ってくるHZUの安全を祈りつつ12:30下山を開始した。今まで見とおせた飯豊連峰も灰色の雲に覆われ天候も怪しくなってきた、車道到着13:00丁度良い時間だ。行くときには気付かなかったが道路下に一株キジムシロ(バラ科)の黄色い花が目にとまる、マンサクやタムシバも見られたが最後にイカリソウが見れたのは今回で最高の出来事であった、初めてみる花はまだ葉は縮んだままで真っ白な花は薄暗い岩場に隠れるように咲いていた。そんな愛しい花々にまた会えることを期待して「迷水の滝」踏査を終了した。

地図を確認するODD 踏査沢の下部
登攀開始のODD 325m地点の滝
325m到達記念 滝からの眺望
アブラチャン ヤドリギ
イワウチワの群落 イカリソウ